2016年1月 9日 (土)

「枠を超えて考える」

Thinking outside the ”box”.日本語で言えば、「枠を超えて考える」。

これは最近、講義や講演で私が何度も強調していることである。この「BOX=枠」とは、「既成の概念」、「先入観」、「思い込み」などと言い換えることができるであろう。

「営業は断られてから始まる」といった名言も、この発想が根底にある。普通なら諦めるが、そうしない。普通でない特別に最高の業績を達成しようと思えば、「普通なら」というような発想はありえない。それは、自分自身を既存の「枠の中に納める」内向きの発想だからである。

これは、ビジネス成功のための基本中の基本である。これを受講生に本当に理解させる、つまり体得させることができれば、それで「実学としての経営学」の教育目的はほぼ達成と考えてもよい。

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2015年8月 7日 (金)

ロッテ財閥の内紛:「経営の身分化」の弊害

韓国のロッテ財閥の後継者の内紛が報道されている。簡単に定義して財閥とは、家族支配の多角化企業グループのことである。この企業グループに金融機関が含まれると、日本の戦前の三井・三菱・住友に代表される財閥と同等になる。

この財閥の経営問題について、かつて韓国内でも韓国人学者から問題点が指摘されていた。その代表は「経営の身分化」という指摘である。

企業の経営者は本来「経営専門家」として機能的に能力が評価されるべきであるが、財閥の経営者は、経営者の地位が身分として保証されているという批判である。

たとえば投資ファンドであれば、「投資専門家」としてファンドマネージャーの業績が厳しく評価される。経営者も同様であって、企業業績に応じた厳しい評価が株主総会で求められる。それだからこそ高額の報酬を受け取ることが容認される。

こういった評価なしに企業経営者が自らの地位に安住する。これは経済活動にとって経営資源の非効率な使用をもたらす。さらに国家や経済の民主主義の観点から、その政治家や経営者の地位が、その出生によって予め決まることが批判の対象になっても不思議でない。

政治家について言えば、「世襲議員」に対する批判がある。また経営者については、「幼少の頃から『帝王学』を学んできた」というような世襲を擁護・容認するような言葉が根強く存在している。

中小企業ならともかく、株式公開している大企業であれば、その利害関係者は多様多数である。その大部分が認めることは、経営者が高い企業業績を達成することである。この意味で経営成果=企業業績を厳しく評価する制度的な仕組みが求められる。これが、コーポレートガバナンスの重要な改革点である。
・・・・・・企業経営者の報酬が一部公開されるようになったが、それだけでも経営者に緊張感を与えることになる。

株式相互持ち合いの解消を含めて、このような方向に日本企業は変革を求められている。現状は、その過渡期的な段階であると思われる。日本企業はロッテ財閥の内紛を「他山の石」としなければならない。

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2015年7月28日 (火)

「子どもの権利条約」を広く教育することが最優先

日本では、国連の「子どもの権利条約」の効力が1994年から発生している。この条約は、以前に本ブログで紹介し、ベトナムでは小学校から教えていて、子どもが自らの権利を理解していると指摘した。

ベトナムに比較して日本では十分に子ども自身に教えられていないし、大人も認識していないようである。注:ここでの子ども(=児童)とは18歳未満のすべての者である。

この条約は、子どもの意見表明権や遊び・余暇の権利など、この条約独自の条項を加え、児童の人権尊重や権利の確保に向けた詳細で具体的な事項を規定している(参照:ウィキペキア)。

アイドルグループである制服向上委員会が政府批判の歌詞を歌っていることに対して、「子どものくせに」という批判があるらしい。これは、上記の「子どもの権利条約」に無知な証明である。

18歳になって選挙権が獲得できると、ようやく子どもは自分の権利を投票によって表明できる。このような教育が小学校から段階的に実施されることが、子どもの権利条約を批准し、18歳の選挙権を認めた政府の整合性ある施策であると私は強調したい。

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2015年7月27日 (月)

東芝問題:「株主資本主義」の影響は?

東芝問題の「粉飾決算」の発生原因が、株主利益を最優先する米国流の「株主資本主義」の影響があったためだという指摘がある。

「株主のために」、換言すれば、株価を高く維持するという目的のために経営者が利益を水増ししたというのである。

しかし現在の日本企業では安定株主が大部分を占めている。その理由もしくは背景は、「株式持ち合い」が依然として残存していることや、企業間の取引や提携関係を保持・強化するための「政策投資」(=株主利益追求のためだけの「純投資」と区別される)が存在しているからである。

このように考えれば、これまでの日本企業における「株主のために」という意識は、大株主である法人企業や金融機関で議決権を行使する経営者との親睦的・協調的な関係を維持するということを意味する。これが「日本株式会社」と呼ばれた日本的な企業システムの本質であった。

したがって、これまでの日本企業も「株主資本主義」の下にあったわけで、何も今更そうなったわけではない。要するに、最近の株主(=株式所有者)の変化が「利益追求」のための新たな圧力になったと考えられる。

この変化とは、外国人投資家が30%を超え、投資ファンドを始めとする機関投資家が「モノ言う株主」になっていることである。「安定株主」の減少に対応して経営者は「株主のために」意識改革が求められる。

ここでの配慮とは、単なる「利益追求」ではなく、もはや上述の「日本株式会社」システムは終焉したという自覚と行動でなければならない。東芝の経営者は、目先の変化である「利益追求」には配慮したが、より構造的な後者の認識が欠落していたのではないか。一般に、人間の意識や慣行は急には変えられない・・・。

「日本株式会社」は、日本企業の中の「慣れ合い」「無責任体制」「ご都合主義」の温床となってきた。ここからの決別が、東芝のみならず日本企業全体に求められる。理由は簡単。日本企業の活動が、日本国内の身内の論理が通用しないほどに「グローバル化」しているからである。

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2015年7月26日 (日)

東芝問題:「歯止め」としての経営理念

利益追求や目標達成のために企業は、さまざまな手段を行使する。それが「腕の見せ所」である。換言すれば、経営者から新人従業員や派遣社員を含む企業組織すべての実力が問われる。

その場合、何をしても良いと言うわけではなく、法令順守がギリギリの限度である。しかし、それだけでは「法律違反でなければ、何をしてもよい」「犯罪として摘発されなければ、何をしてもよい」という発想になる。

このような発想の「歯止め」となるのは、経営理念・社是であると思う。通常は意識されないと思われるが、これが企業組織における結束力の核になって当然である。

東芝の経営理念は、同社のHPから引用すれば、次の通りである。

・・・・・・・・経営理念・・・・・・・・・
東芝グループは、人間尊重を基本として、豊かな価値を創造し、世界の人々の生活・文化に貢献する企業集団をめざします。

1.人を大切にします。
2.豊かな価値を創造します。
3.社会に貢献します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

経営理念は当たり前のことを書いていて、それだから通常は認識されないが、それだからこそ企業活動の「原点」として認識されなければならない。

以上、利益や目標の達成のために、法令順守は当然であるし、経営理念を逸脱しない。その枠内で総力を挙げて頑張る。こういう企業経営が本来の姿であろう。だから企業にとって経営理念は重要である。

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2015年7月25日 (土)

東芝問題:利益追求の「歯止め」

経営トップが利益の追求や経営目標の達成を部下に促すことは当然である。それが経営者の役割だからである。

しかし、その指示のために何をしてもよいというわけではない。コンプライアンス(法令順守)が最低限の「歯止め」である。今回の東芝の「粉飾決算」において、なぜその歯止めができなかったのか? これが最大の問題と思われる。 

通常の会社は、その「歯止め」の一歩手前のギリギリのところで創意工夫・全力を尽くす。もし目標が達成できない時は、その目標を設定した社長の責任か、または従業員のモーティべーションの問題か。または不可抗力の外部環境の変化があったのか? これらが次の課題となるのが普通だろう。

この「歯止め」を超えた東芝は、どこか異常な会社ということになる。

報道では、企業統治制度の不備や形骸ということが指摘されているが、それより以上に東芝固有の問題点が改善されなければならない。法令順守に甘い体質の会社であれば、どのような制度改革も意味がない。

もちろん「ウィッスル=ブローイング」(社内の「告げ口」)の相互監視を奨励すれば、不正はなくなるだろうが、そういった会社が創意工夫ある革新的な企業であるはずはない。連想すれば、「北朝鮮」のような会社・・・。東芝について経営体質の根本的な改革が検討されてよい。

 

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2015年7月22日 (水)

東芝問題:企業統治の観点から

東芝の「利益水増し」問題が注目されている。この注目の理由には次の2点が考えられる。

第一に、東芝のような伝統ある大企業が、いわば稚拙な不正事件を起こすのかという疑問である。第二に、日本の企業統治がどうあるべきか、その前に企業統治の現状がどうなっているかを再検討しなければならないということである。これは私の経営学における「専門分野」である「企業論」に属する問題である。

この問題で私が個人的にご意見を伺いたいコメンテーターは、次のお二人である。現在も評論家として幅広く活躍している佐高信氏、そして日本証券経済研究所大阪研究所に私が勤務していた時の大先輩である奥村宏氏(龍谷大学教授から中央大学教授)である。

お二人は私の学生時代からの信頼出来る先生である。それをお待ちすると同時に、私自身でも、この問題をここで検討してみたい。

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2015年7月20日 (月)

ユニクロの戦略:フルラインの「品ぞろえ」ができるか?

すでに本ブログで紹介したが、『週刊現代』(7月25日/8月1日)のビジネスレポートとして「ユニクロが突然、売れなくなった」という記事(58~61頁)が掲載されている。ここでは次のユニクロの戦略について提案してみたい。

記事の中では、長沢伸也氏(早稲田大学商学研究科教授)がユニクロに対して「新しいブランド」を立ち上げて、「今とは逆に、高価格でデザイン性の高い日本製の服も展開する。ユニクロブランドだけでは、海外展開を進めてもいずれ頭打ちになるのは明らかですから」と述べている。

ここで「新しいブランド」の立ち上げは、やはりM&Aであろう。高い買い物になるかもしれないが、世界の高級ブランドをM&Aすることが、高級ブランドを自社で徐々に育成するよりも、総じて「費用対効果」は大きいのではないか。

これが実現すれば、ファーストリテイリング社は、次の3社を傘下にもつことになる。ユニクロと、ユニクロよりも低価格の商品を志向するGU(ジーユー)、そして高級な「新しいブランド」である。この中で、ユニクロの商品が価格と品質で「中途半端」になる懸念もある。企業の「競争戦略」において「中途半端」は一般に厳禁である。

しかしファーストリテイリング社の全般的な戦略から見れば、この3社体制は、あらゆる所得階層の顧客ニーズにフルラインで対応できる。さらに、それが日本国内で完結しなくてもよい。たとえばヨーロッパでユニクロが人気となり、中国で「新たな高級ブランド」が支持され、日本ではGUの顧客が拡大するかもしれない。このようにグローバル市場においてフルラインの商品を提供する。

これら3社において共通した成功の鍵は、先日に述べた「ワクワク感」「ときめき感」を顧客に対して常時提供することであると思われる。この顧客とは単一化した顧客ではなく、さまざまな階層や消費性向に属する顧客である。それぞれの顧客にきめ細かい対応をする。以上のような観点(=私見)から、ユニクロの今後の展開に注目したい。

注:先週末に近くのユニクロに行った。そこで夏向きのジャケット(2,980円)を買ってもよいと思った。Lサイズで袖丈はピッタリだったが、情けないことに「腹回り」が合わなかった・・・自覚はあるのだが。スーツの場合、私の体型は「B体」でピッタリなのだが、こういったサイズはユニクロには用意されていなかった。この不満。大きくはないが、次からは別の紳士服店に行こうということになる。

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2015年6月27日 (土)

りんくうプレミアム・アウトレットを訪問:「世界ブランド」を考える

s三菱地所グループが運営する「りんくうプレミアム・アウトレット」を訪問した。買い物ではなく見学が目的である。http://www.premiumoutlets.co.jp/rinku/20150625_120059aこのアウトレットモールには世界のブランド商品が集まり、また海側のレストランからは関西空港を眺めることができる。写真下は「関西空港連絡橋」である。20150625_095417a「アウトレット」であるから価格は安いはずだと思われるのだが、正規の料金が不明である。おそらく特定の「ブランド好き」の顧客は、そういった価格が熟知しているに違いない。20150625_093740aせっかくの訪問なので私は「名刺入れ」を探した。ダンヒル・バーバーリー・アルマーニなどを見て回ったが、価格は2万円以上、長く使えるからと自分を納得させて買う気になっていたのだが、色の品揃えが十分でなくて、結局は買わなかった。
20150625_095045aアジア系外国人の人々や若い女性グループも多く、平日にもかかわらず、なかなかの人通りであった。ところで「名刺入れ」であるが、結局、その後に大阪市内の事務用品店で「パイロット」の80枚入るカーフ革製を買った。定価2千円が20%引き+消費税。しなやかな革で大容量で使いやすい。私にとって大満足の商品である。

「パイロット」も立派な日本の信頼できる「ブランド」であるが、「名刺入れ」では10倍以上の価格差がある。これが世界ブランドの威力とも言えるが、筆記具ではパイロットも「世界ブランド」になっている。「消えるボールペン:FRIXION」は世界的人気である。どのように日本製品が「世界ブランド」と渡り合うか?

より一般に言って現在、日本企業が海外進出する場合、コスト削減や販路拡大という目的が多いと思われるが、それと同時に、これからは世界を視野に入れたブランド形成の長期的な戦略にも留意する必要があると思われる。



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2015年6月26日 (金)

スティーブ・ジョブズの名言:『経営学大図鑑』

アレキサンダー・グラハム・ベルは電話の発明に先だって、市場調査をしたかい?

スティーブ・ジョブズ(アップル創業者:1955~2011年)の言葉である(『経営学大図鑑』241頁)。

前回の本ブログでは、コトラーの言葉を敷衍して、「武道の達人」と同様に「マーケティングの達人」の領域に到達するには一生をかけた精進が必要という趣旨を述べた。

武道の相手方の動きと同様に、顧客の気持ちや行動を察知して、それに対処する。その対処法は「受け」ではなく、「攻め」でなければならない。的確な「受け」を何回続けても、「攻め」なければ勝てない。

勝つための「攻め」には、相手の意表を突かなければならない。顧客のニーズを受けるのではなく、顧客のニーズの急所を攻める。こういった心構えが、「マーケティングの達人」の要諦ではないか。

この「受け」と「攻め」は、マーケティングの具体的な方法を述べた「プル戦略」と「プッシュ戦略」とは意味が違う。目に見えない顧客のニーズという「怪物」と戦うマーケティング武芸者の「心構え」を指摘している。

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