すでに本ブログで紹介したが、『週刊現代』(7月25日/8月1日)のビジネスレポートとして「ユニクロが突然、売れなくなった」という記事(58~61頁)が掲載されている。ここでは次のユニクロの戦略について提案してみたい。
記事の中では、長沢伸也氏(早稲田大学商学研究科教授)がユニクロに対して「新しいブランド」を立ち上げて、「今とは逆に、高価格でデザイン性の高い日本製の服も展開する。ユニクロブランドだけでは、海外展開を進めてもいずれ頭打ちになるのは明らかですから」と述べている。
ここで「新しいブランド」の立ち上げは、やはりM&Aであろう。高い買い物になるかもしれないが、世界の高級ブランドをM&Aすることが、高級ブランドを自社で徐々に育成するよりも、総じて「費用対効果」は大きいのではないか。
これが実現すれば、ファーストリテイリング社は、次の3社を傘下にもつことになる。ユニクロと、ユニクロよりも低価格の商品を志向するGU(ジーユー)、そして高級な「新しいブランド」である。この中で、ユニクロの商品が価格と品質で「中途半端」になる懸念もある。企業の「競争戦略」において「中途半端」は一般に厳禁である。
しかしファーストリテイリング社の全般的な戦略から見れば、この3社体制は、あらゆる所得階層の顧客ニーズにフルラインで対応できる。さらに、それが日本国内で完結しなくてもよい。たとえばヨーロッパでユニクロが人気となり、中国で「新たな高級ブランド」が支持され、日本ではGUの顧客が拡大するかもしれない。このようにグローバル市場においてフルラインの商品を提供する。
これら3社において共通した成功の鍵は、先日に述べた「ワクワク感」「ときめき感」を顧客に対して常時提供することであると思われる。この顧客とは単一化した顧客ではなく、さまざまな階層や消費性向に属する顧客である。それぞれの顧客にきめ細かい対応をする。以上のような観点(=私見)から、ユニクロの今後の展開に注目したい。
注:先週末に近くのユニクロに行った。そこで夏向きのジャケット(2,980円)を買ってもよいと思った。Lサイズで袖丈はピッタリだったが、情けないことに「腹回り」が合わなかった・・・自覚はあるのだが。スーツの場合、私の体型は「B体」でピッタリなのだが、こういったサイズはユニクロには用意されていなかった。この不満。大きくはないが、次からは別の紳士服店に行こうということになる。