2009年12月24日 (木)

ベトナムのビール業界は?:サッポロビールの挑戦

 サッポロホールディングスの村上隆男社長が、2010年から参入する「ベトナム市場に期待を込める」というコメントを述べている(『日本経済新聞』2009年12月23日)。

 「ベトナムjのビール消費量は中国、日本に次ぐアジア第3位の規模」であり、少子高齢化の日本よりも成長性があるとみなされている。

 以下では、ベトナムのビール業界に関する私見を述べる。統計的なデータもあるのだが、ここでは私的な印象であることをお断りしておきたい。

 ベトナムのビール業界は乱戦市場である。ビアホイでは安価な生ビール系の地ビールが提供され、瓶ビールでも各地のご当地ビールがある。ハイネッケンやタイガービールなど現地生産の外国ビールに人気があり、さらに大手のサイゴンビールと、ハノイでは根強い人気のハノイビールもある。私はハノイビールが好きだが、中部のラルーも捨てがたい。南部のビジはハノイビールに似た味であるが、最近は一般に見かけなくなった。

 ハノイビールの人気の秘密は、その苦みであるが、それは確かドイツ人の技術指導に基づいている。ハノイ在住当時の1998年に私と同じホテルに彼も長期滞在していた。苦みの人気はハノイの気候に依存すると思われる。ハノイには四季があり、ハノイの今はかなり冷え込む。そういう気候だから、苦みが好まれる。

 これに対してサイゴンビール系のブランドは、あっさりとした飲み心地である。南部の暑い気候に苦みは不要であるように思われる。水代わりにビールを飲む。

 さてサッポロビールは、どのような商品戦略を採用するのか。日本のサッポロビールの特徴である苦みや渋みをベトナムで再現すれば、おそらく北部では受けるだろうが、南部では疑問である。

 もっとも日本ブランドは全国に共通して人気があるから、日本の高級ビールとしてアピールすれば一定の市場は確保できるであろう。最初は日本料理店で発売し、そこを利用するベトナム人から次第に一般のベトナム人に普及する。

 その場合、日常的に飲むビールであることを考えれば、価格に厳しいベトナム人を納得させるだけの品質と価格の「値ごろ感」が不可欠である。

 ベトナムの流通チャネルも複雑である。日本で排除されつつあるリベートが当然の世界である。若い女性のキャンペーン販売も行われる。それをやれば、日本ブランドの高級感が失われるかもしれない。

 日本料理店での普及までは問題ないが、それがベトナム人一般に普及するという段階で工夫が必要であると思われる。どのようなサッポロビールがベトナムで飲むことができるか。今から楽しみである。ビール愛飲家として同社を心から応援したいと思う。

 なお、サッポロビールの参入によって、ベトナム株式市場に影響があると思われる。上場ビール会社の株価の反応はどうなっているか。これも直感であるが、当面は大きな影響はない。外資系企業の参入といった情報は一般の投資家に普及していないように思われる。これは、ファミリーマートと提携を決めた店頭市場のフータイ社の株価がそうだからである。情報に対する反応が鈍い。以上、あくまでも私見である。

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2009年12月19日 (土)

ラオス清掃ボランティア活動の報告書を作成

 流通科学大学に久しぶりに本年9月に実施した「ラオス清掃ボランティア活動」の参加メンバーが集まった。神戸市外国語大学から楊さん・沢田くん、甲南大学から上田くんが来てくれた。流通科学大学から小西くん・木田くん・溝口くんの3名である。また流通科学大学「生涯学習の会」の中谷さんもご出席いただいた。報告書を作成する仕事のためである。その後は忘年会であった。

 このラオスのボランティア活動は7回目を迎え、本年は「エコバック」の普及活動について、ラオス商工会議所を訪問したことに意義があった。これらの活動の詳細は、すでに9月に現地からこのブログで紹介した。

 甲南大学1回生の上田くんを除いて3回生であったため、忘年会での話題は自然に就職活動になった。「戦略さえ間違いなければ、就職先は必ずある」ということが私の助言である。

 戦略を誤れば、東京大学を始めとする一流国立大学の学生でも就職内定の獲得が難しいことは明白である。理由は簡単である。いくら一流大学生であっても、一流企業ばかりを志望していては競争が激しく、就職できない可能生が高いからである。

 宇宙戦争において戦車では戦えない。地上戦で戦車は強いが、ゲリラ戦で戦車が負けることもある。自らの戦力を分析し、それに応じた勝てる戦場を選択すればよい。初めて戦場に参加することで興奮し、右往左往していては戦争に勝てない。目的は一つ。戦争に勝利することである。そうであれば、必ず勝利できる戦場を選択する。無謀な戦争はしない。戦争というと物騒であるが、まさに現在の就職活動は戦争状態である。

 企業も学生も総力戦である。このような表現をすれば、そのような戦争状態に国民を巻き込んだ政府の責任は重いし、その戦争終結に向けて政府は全力を尽くすべきである。「労働戦場」とも言いうる状況を平時の「労働市場」に復帰させる。

 学生との会話の後に以上のようなことを考えた。思考や発想に刺激を与えてくれる学生に感謝である。

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2009年12月18日 (金)

アジアビジネス交流会in東京の開催:3国を鳥瞰できる人材

 ブレインワークス社が主催する「アジアビジネス交流会in東京」で講師を務めた。約100名の方々の参加があり、盛況であった。

 私は、恒例のベトナム・カンボジア・ラオスの動向をお話しした。講演時間40分がオーバーして申し訳なかった。講演後の懇親会では、個々の国々の断片的な情報が入ってくるが、これら3国を鳥瞰した視点からの講演で視野が広がったという参加者からのコメントを賜った。

 「メコン総合開発」という国境を超えたODA支援を日本政府は決定している。これら3国の日本大使館や総領事館では、すでに人事移動によって3国に精通した専門家を育成しているように思われる。この政策の推進には不可欠の人材である。

 民間ビジネスでも、こういった人材が必要である。たとえば日本とベトナムの合弁事業という二国間ビジネスではなく、その相手先のベトナム企業が仲介してカンボジアやラオスにも進出するというようなビジネスを構想できる人材である。

  3国の経済成長の相乗効果の媒介を日本が担当する。これが理想である。たとえば日本の技術とノウハウ、ベトナムの人材、ラオス・カンボジアの天然資源や労働力といった3者が連結することがイメージできる。

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2009年12月17日 (木)

ラオスのSEAゲーム:日本の観光促進のために

 前回のブログのクイズの解答。SEAゲームは、②東南アジアのオリンピック競技大会である。この経緯やメインスタジアムが中国の支援で建設されたことは以前に指摘した。

 鳩山内閣が「東アジア共同体」構想を打ち上げても、一般の国民や報道関係者が、東南アジア諸国に無関心または無知では、かけ声だけの「絵に描いた餅」ではないか。それを「食べろ」と言われても無理である。

 観光庁が発足して1年になるが、鳩山内閣になってからその予算が4倍以上、256億円になった。この予算は観光促進に使用されるはずである。この意味では、日本が出場していないからと言って、SEAゲームを取り上げないことは報道の怠慢である。

 この観光庁の予算4倍化は、鳩山内閣の目玉でだると思われるが、観光の主体は人間である。費用対効果の見えにくい予算執行は、景気対策としては疑問があるが、長期的な日本の発展戦略として観光振興は必要であろう。

 次回のSEAゲームは、ぜひ日本のテレビで楽しみたいものである。アジアと日本の「草の根」交流が、より一層求められる。

 

 

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2009年12月16日 (水)

ラオスのSEAゲームの盛況:大健闘のラオス

 このブログは18日に書いているが、ラオスのビエンチャンでは9日~18日までSEAゲームが開催されている。

 ラオスの金メダル獲得は32個となり、予想の25個を上回ったから大健闘である。また東南アジア各国からのラオス訪問で賑わうビエンチャンを、この目でみてみたかった。

 ラオス人がラオスを応援するのは当然であるが、タイとベトナムが試合するときは、どちらを応援するのであろうか。この観客の様子を見てみたいと思った。

 ラオスに判官贔屓があるとすれば、ベトナムとの政治的な友好関係は別として、ベトナムを応援するであろう。隣国の開催であるから、タイからもベトナムからも大応援団が来寮すると思うのだが、どのような色分けであろうか。

 さて、このアセアン諸国が参加するSEAゲームとは何でしょうか。次の選択肢の中から1つ選択してください。

①東南アジアの海洋(SEA)競技大会・・・ラオスではメコン川で開催
②東南アジアのオリンピック競技大会
③東南アジアのSE(システムエンジニア)能力競技大会

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2009年12月14日 (月)

ベトナムの最低賃金が上昇:その影響と効果は?

 『日本ベトナム経済交流ニュース』(2009年12月号、5頁)によれば、ベトナムの最低賃金が2010年から引き上げられる。最低賃金の引き上げは2008年に続いてである。

 国内企業・協同組合・個人経営のベトナム人労働者について、
ハノイ・ホーチミン市など第1地域: 月額98万ドン
大都市とビンズオン・ドンナイ・バリアーブンタウなど第2地域: 月額88万ドン
その他の第3地域: 月額81万ドン
第4地域: 月額73万ドン

 外資系企業・外国機関・外国組織・国際組織・個人経営のベトナム人労働者について、
第1地域: 月額134万ドン
第2地域: 月額119万ドン
第3地域: 月額104万ドン
第4地域: 月額100万ドン

 実施期日は民間が2010年1月1日から、政府機関が5月からである。

 日本においても最低賃金の引き上げが議論されているが、大部分の労働者が最低賃金以上である場合、その効果は限定的である。たとえばパートの主婦層の所得を上昇させることがあるが、それが消費に回るかどうか。また企業の立場を考えれば、コスト削減のためにパート人員の解雇が進むかもしれない。

 これに対してベトナムでは、多数の労働者が最低賃金で働いていると想像される。また最低賃金の上昇に伴って、最低賃金を超えた既存の賃金水準も上昇させる波及効果をもつであろう。このような波及効果は日本では期待できないと思われる。

 他方、最低賃金が上昇したからコスト削減のために労働者を解雇する企業は、ベトナムで少数と思われる。労働者の解雇によるコスト削減の効果は小さいからである。製造原価に占める大きな割合はベトナムでは原材料であり、労働コストではないと一般に考えられる。

 インフレに対応して最低賃金を引き上げる。これは当然の政策である。これによってベトナムの直接投資の減少という影響が次第に表面化するであろう。しかしインフラ改善、相対的に高品質の労働力、外国人生活環境の改善などを総合的に考えれば、依然としてベトナムの労働コストは低いと判断される。 

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2009年12月12日 (土)

松下幸之助の定価販売の信念:デフレを防止する

 松下幸之助〔述〕・PHP総合研究所〔編〕『社長になる人に知っておいてほしいこと』PHP研究所(2009年9月)を読んだ。

社長になる人に知っておいてほしいこと 社長になる人に知っておいてほしいこと

著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 松下電器(現:パナソニック)松下幸之助とダイエー中内功の論争は今でも有益な示唆を与えてくれる。その要点は「価格決定権」はメーカーにあるか、小売店にあるかということである。現在では多数の商品が「オープン価格」となり、メーカーが定価を設定することは少数となった。この意味で、松下幸之助と中内功の論争は中内功の勝利になったと私は思っている。

 しかし上記の著書を読んで、松下幸之助の定価販売に対する思いを知ることができた。それは今日の「デフレ」を抑制する精神にもつながると思われた。

 定価販売は、その製品を作った人々に対する思いを裏切らないためである。たとえば、多数の人々の努力の結晶として発売された商品が安売りされて、その生産に関わった人々が面白いはずがない。もの作りにかけた人々の努力に報いる価格があって当然である。それが定価である。

 松下幸之助が定価販売にこだわった理由は以上のようである。私見では、松下幸之助が、そのように本当に考えているからこそ、下請けの部品製造会社との日本独特の「すり合わせ」の生産システムが発展したのである。部品納入業者と一緒になって生産性の向上やコスト削減を考える。これは、もの作りに関係する人々に対する松下幸之助の愛情の表現である。

 今日の「デフレ=スパイラル」が懸念される日本経済において松下幸之助が存命であれば、どのようにコメントしたのであろうか。低価格を消費者は喜ぶが、松下幸之助は述べている。「無理に売るな。客の好むものを売るな。客のためになるものを売れ」(同書、26頁)と。

 中国を始めとする外国企業に対する委託生産によって低コストの商品が日本で提供されている。現在の低価格の商品が、こういった外国人労働者に対する努力に報いた価格設定になっているのであろうか。外国人労働者にも思いを巡らせた価格設定になっているか? これはメーカーや小売業者のみならず、消費者も考えなければならない問題である。

 安ければよいという発想は、その安さに無理があれば、長続きしないし、その無理は必ず新たな矛盾を生む。「ぼろい話はおまへん」。これも松下幸之助の指摘である。 

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2009年12月11日 (金)

ベトナムの南北高速鉄道は日本の新幹線方式に決定

 『日本経済新聞『(2009年12月11日、夕刊)のスクープである。すでに11月6日・7日に東京で開催された「日メコン首脳会議」で来日したズン首相が、鳩山首相に新幹線方式の採用を表明していたというのだ。予算総額5兆円の大規模プロジェクトであるから、新幹線に関連する企業の株価も上昇した。

 私は、ズン首相が原子力発電所については日本に協力を依頼するが、新幹線はフランス方式の可能性も検討されているから、上記11月の首脳会議で新幹線方式の採用を言明しなかったのではないかと想像していた。しかし、それは誤りであった。

 記事によれば、鳩山首相が新幹線方式を勧誘し、それにズン首相が応えたことになっている。おそらく、そのズン首相の決断を受けてベトナム国内の根回しがあり、それが完了したから情報流出となったのではないか。

 以上の経緯を見れば、鳩山首相が立派な「セールスマン」の役割を果たしていることがわかる。日本経済の成長のキーワードは「アジアと共に成長する」であると私は確信している。これからの成長路線は、産業的には地球環境や省エネルギーなど先端技術であると思われるが、地域的にアジアである。この意味で、もっともっと日本政府はアジアでの営業活動を積極的に展開してもらいたい。

 社長間のトップで商談がまとまれば、案件所轄の営業部長クラスが話を進行させる。辻本清美・国交副大臣のベトナム訪問には、こういった意味があるとみなされる(『日本経済新聞』2009年12月12日)。

 「日本の経済成長はアジアと共に」ということを鳩山内閣は国民に強調すればよい。日本経済の将来に向けての閉塞感は少しでも解消されるのではないか。ただし、このことを本人が自覚していないのかもしれない。

 

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2009年12月 9日 (水)

株式持ち合いの国際化:フォルクスワーゲンとスズキ

 フォルクスワーゲンとスズキが相互に出資して世界最大の自動車グループが形成されるという。いわゆる株式持ち合いによる業務提携である。

 株式持ち合いは日本独特の株式所有形態であり、それは実質的な出資を相殺することを意味する。その本質は「紙のやりとり」である(故・大隅健一郎京都大学教授)。この「紙」とは株券(今では見ることもないが・・・)のことである。

 この「紙のやりとり」が国際化したことに私は当惑した。その相手が論理的な思考を国民性の特徴とするドイツだからなおさらである。

 もっともドイツは、ヒルファーディングの『金融資本論』の舞台となったように企業間結合が顕著な国である。さらに広範な株式所有や役員兼任がその紐帯として存在していた。この意味で国際的な株式持ち合いがあっても不思議ではないのかもしれない。

 大隅教授がご存命なら、どのようにコメントされるのだろうか? それにしても、今回の自動車業界のみならず、小売業界や金融業界の再編成=集中化が次々と進展している。まさに世界市場の寡占化が進行中である。その先に何があるのか。このような問題が、さらに検討される必要がある。

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2009年12月 8日 (火)

ブレインワークスのセミナーで講演

 以下のセミナーで講演をさせていただきます。

http://www.bwg.co.jp/seminar/2009/asiainosaka_1210.html

 今回は、双方向の対話式の講演に挑戦したいと思います。これは私が大学の講義で実践していることです。ワイヤレスマイクで学生の間を歩き回る。

 こういった大学での練習が一般のビジネスパーソンを対象にした講演で通用するのかどうか。私にとって新しい試みです。この反省点は、本ブログで紹介いたします。

 同様の講演会が12月17日(木)でも開催されます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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