小林節「自民党案なら日本は先進国の資格を失う」
樋口陽一・小林節『「憲法改正」の真実』集英社新書の新聞広告に、「自民党案なら日本は先進国の資格を失う」(改憲派の重鎮・小林)という見出しがあった。
この「先進国の資格」とは何か?この問題を私なりに考えてみたい・・・同書を私は未読であるが、この言葉に直感的に反応した次第である。
ベトナムは経済的には「中進国」になったばかりという状況であるが、民族の独立や自律といった「人類の普遍的な価値」から見れば、米国に従属・同盟する日本よりも「先進国」と言えるかもしれない。
かつてのベトナムでは南シナ海(ベトナムで「東海」と呼ぶ)の「カムラン湾」は、日露戦争時にバルチック艦隊も寄港するほどの要衝地であるが、現在は特定の艦船の母港とななっていない。ベトナム「全方位外交」政策の成果である。
【注】ただし、中国との領土問題が悪化すれば対中国戦略の一環としてカムラン湾に何らかの変化が生まれるかもしれない。こうなれば、両国の軍事増強の「悪循環」が加速する。経済発展を最優先し、戦争体験者の多数が存命しているベトナムにとって、こういった事態は可能であれば回避したいというのが本音であろう。。
これに対して沖縄を始めとする日本各地に米軍基地が常駐し、さらに横須賀港には原子力空母・ロナルド・レーガンが配備されている。さらに本年3月29日から集団的自衛権が発効し、米国の戦争にも巻き込まれることにもなる。まさに強固な「日米同盟」の形成である。しかし留意しなければならない問題は、この「同盟」が対等互恵かどうかということである。
軍事大国・中国の隣国として日本とベトナムは地理的に共通しているが、その国防政策は明確に異なっている。主体的・自主的な「全方位外交」についてベトナムから日本は学ぶことができないのか。
こういう視点からベトナムを考える必要はあるし、こういう視点から日本は本当に「先進国」かどうかを再検討する必要もある。もちろん日本が経済的な先進国であることは誰もが認める事実であるが、小林氏の「先進国の資格」とは、先進国とは経済力だけの尺度ではないという問題提起であると指摘されうる。
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