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2015年12月13日 (日)

「企業論」講義記録(9):株式持ち合いの批判的検討 (2)

株式持ち合いについて、その本質は「紙のやり取り」と指摘したのは、京都大学法学部の商法学者・故・大隅健一郎教授であった。

この「紙」とは、今や見かけることのなくなった「株券」のことである。A社とB社が新株発行して同金額の株式を持ち合うことにする。A社の資本金は増加し、流動資産としてB社の株式(有価証券)が新たに記載される。同様にB社の資本金も増加し、流動資産にはA社の株式所有と記載される。

確かに資本金は増えるが、実質的にはA社とB社の株式が増えているだけである。これは「株券の交換」、つまり「紙のやり取り」ということである。

さらに言えば、これは「資本金の水増し」に他ならない。実質的な資金は増加していないからである。

以上のことを学生に実感をもって教えるために、借金の借用書の交換という類似行為を考えさせる。上田君と田中君がお互いに1万円を借りて、それぞれが借用書を書く。

上田君には田中君の署名入りの借用書があり、田中君から1万円を返してもらえるということで、何か自分のお金が増えたように思う。しかし田中君も同額の上田君が書いた借用書がある。上田君が1万円を返してと田中君に言えば、同様に田中君も上田君に1万円を返してと言うだろう。結局、お金は何も増えていない。手元に2人と借用書があるだけである。

2人は、お互いの資金不足の時間的なズレを補完したということは間違いないが、最終的には、借用書を交換したにすぎない。全体のお金が増えたわけではない。

こういう話しをすると、株式持ち合いの「胡散臭さ」を学生は感じることができる。

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