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2015年11月19日 (木)

「企業論」講義記録(7):所有と支配の分離

どのように自分の物を処分しようとも誰にも文句を言われない。「自分の物」つまり「所有している物」だから、「どのように処分」しても誰にも文句は言われない。この「誰にも文句を言われない」状態とは、その物を「支配」していることである。

このように「所有と支配」を学生に教えている。この状態は「所有と支配の一致」である。

株式会社における会社の所有者は出資者すなわち株主である。この株主が会社を支配することは当然である。この支配とは、極端には「会社解散」も含まれるが、それができるのは株主総会である。株式会社における「所有と支配の一致」である。

この「所有と支配」が分離する状態を「所有と支配の分離」と呼び、それに伴って「所有者支配」つまり「株主支配」は「経営者支配」に移行する。私の講義では、「株式会社は出資者=株主のものである」という法的な原則を最初に教えながら、この時点で「経営者支配」の論理を説明する。

この論理のキーワードは、企業規模の拡大、株式所有の分散、大株主の消滅、株主支配力の低下。他方、経営者については、経営の複雑化、専門能力の必要性、経営者の支配力の強化となる。こういった過程によって「所有と支配の分離」に至る。

バーリ(Berle,A.A.)とミーンズ(Means,G.C.)の『近代株式会社と私有財産』(1932年)は、経営者支配論を初めて体系的に主張した記念碑的な著作である。

最近の「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)の話題を的確に理解するためには、以上のような「企業支配」の議論の歴史を理解することが不可欠であると思われる。少なくとも「企業統治」は、こういった「企業支配」の延長上に位置する論点である。

これらは、佐久間信夫編『よくわかる企業論』ミネルヴァ書房、2006年の一部を引用している。

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