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2015年11月13日 (金)

「企業論」講義記録(6):所有と経営の分離

企業の発展・成長を株式所有の観点から検討する

(1)企業形態の発展

個人事業主としてビジネスは学生でも始めることができる。⇒これは「自然人」としてのビジネス⇒次に企業としてビジネスを始める。これを「法人成り」と呼ぶ。⇒この「法人」としてのビジネスの企業形態には、合名会社合資会社合同会社株式会社がある。ただし、この順番で企業形態が必ずしも推移・発展していくわけではない。現在、株式会社の最低資本金1,000万円の規定は撤廃されており、個人事業主が即座に株式会社を設立することも多々ある。また有限会社は新たに設立できない、その代わりに合同会社(LLC:Limited Liability Company)が新設された。

個人事業主から、上記のような企業形態を取って企業は成長・発展する。ここでの成長・発展の意味は、単純に「企業規模の拡大」、換言すれば、資本金の増加である。

(2)所有と経営の分離

新たにビジネスを始める人を一般に起業家(entrepreneur)と呼ぶ。また既存企業を設立した人を創業者(founder)と呼んでいる。両者の相違は何か。たとえば「ダイエーの創業者」は中内功であるが、「ダイエーの起業家」を中内功とは言わない。後者は「ダイエーを起業した人」という表現にすれば違和感がない。どうやら「起業」と「創業」は同義であり、その言葉の直後に付属する「家」と「者」に微妙な語感の相違があるように思われる・・・日本語は難しい。

さて、日本の大多数の企業形態である株式会社について考える。その創業者は出資者であり、当初は過半数の大株主であり、会社の所有者であり、会社を支配している。そして創業者自らが経営者となっている。圧倒的多数の中小企業はこのような所有=支配構造であると考えられる。この場合、「所有と支配の一致」そして「所有と経営の一致」と特徴づけることができる。

これに対して、株主総会において、会社経営を専門経営者に委託する場合がある。現在の大企業はそうであるし、大企業の子会社や中小企業の場合も、いわゆる「雇われ経営者」が存在している。この場合、会社の経営者は必ずしも株主=所有者=支配者ではない。このような関係を「所有と経営の分離」と呼ぶ。

具体的な想定事例として、プロ野球のオーナー会議には「ソフトバンク」の孫正義氏が出席するが、実際の球団の経営管理は専門経営者としての社長に任せているという状況が分かりやすい。企業規模の拡大によって、また経営管理の専門性の増大によって、会社の所有者と会社の経営者が別人になることは、特に奇異なことではない。

私見では、中国やベトナムの国有企業の改革においては専門経営者が必要とされており、その場合、外国人経営者の起用が検討されてもよいと思われる。会社の所有=支配は国家によって継続・維持され、その経営管理は国際性のある専門経営者に委託する。これも「所有と経営の分離」の事例である。必ずしも「民営化」だけが国営企業改革の唯一の方法ではない。

(3)所有と支配の分離

このように「所有と経営の分離」は、世界で普通に見られる現象である。これに対して、本来は一致するべき所有と支配が分離するとはどうしたことか。これは大問題である。講義では、この概略を説明したのだが、さらに次回に復習を兼ねて再び議論することにしよう。

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