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2015年10月 8日 (木)

6大企業集団の崩壊と新企業集団の結成?

前回に紹介した三菱ケミカルホールディングス(=MCHC)のグローバルな企業活動を見れば、その活動が可能になり、各企業が効率的に管理されるためには、「純粋持株会社」の存在が大きいと私は指摘したい。

たとえば三菱化学だけでも連結売上高が2兆円に迫る大企業であるが、その他にも三菱レイヨン(5,913億円)などがMCHCの傘下に入っている。MCHCが「司令塔」また「参謀本部」となり、これらの傘下企業からの情報を収集し、さらに効率的な戦略を策定・検証する。今後の大企業にとって不可欠な企業体制であると思われる。

このような観点からいえば、たとえばMCHCと三菱UFJファイナンシャルグループ(=持株会社)が統合されて、さらに三菱商事や三菱重工が加わり、より巨大な持株会社が設立される可能性は否定できない。

このような事態は、1997年の「純粋持株会社」の解禁時に反対意見として指摘された「財閥復活」を想起させる。ただし同族支配という要件が欠けるために戦前の「財閥復活」ではない。あくまでも新たな「三菱グループ」の再結集である。

さらに夢想すれば、上記の「三菱グループ」と同様に「三井住友グループ」や「みずほグループ」が形成されても良い。「経営的・経済的効率性」が要求するならば、以上のようにして「純粋持株会社」が発展していくことは完全に否定できないと考えられる。この場合、各グループ傘下の企業間で競争関係は維持されながら、各グループ傘下企業の経営が効率化・強化される。

もちろん中小企業や起業に配慮した経済体制の公平性に留意しなければならないが、それは政府の重要な仕事であろう。

株式持ち合い」や「社長会」「系列融資=メインバンク」をキーワードとする「六大企業集団」は崩壊したと言われるが、それに所属した大企業の再編成が進行中であり、新たな企業グループが結成されつつある。現在は、その過渡期なのかもしれない。このような観点からの調査研究は、企業論を担当する教員として見逃すことはできない。

個々の企業の栄枯盛衰は、たとえばダイエーの歴史を検討すれば理解できるし、それは流通小売業といった産業の発展と再編成の歴史でもある。しかし企業や産業を含む「企業体制=企業システム」の変化は、個々の企業や産業の変化よりも時間を要するようである。MCHCの小林喜光会長の学会講演から、以上のような視点も頂戴することができた。まさに「学会」の意義と効用である。

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