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2015年10月 9日 (金)

日本企業の「独立社外役員」の兼任関係に注目する!

日本でも普通に新聞・雑誌で掲載されるようになった「社外取締役」または「社外監査役」を含めた「社外役員」の研究として、20年以上前に私は『企業権力のネットワーク』(文眞堂、1993年)という著書を翻訳・出版したことがある。

同書は、社外取締役・社外監査役の兼任による「企業間関係」を10カ国について比較分析している。これについて私自身、日本企業の役員兼任ネットワークについて論文を何本か発表している。

しかし当時、日本企業の役員兼任による企業間関係は、株式所有または株式持ち合いを通した企業間関係と大部分が重複し、企業間関係の分析としては、株式所有を役員兼任は補完また追認する位置付けしかなかったように思われる。

しかし本年2015年6月から、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」によって独立社外役員を上場企業の取締役会・監査役会に導入することが推進されるようになっている。

従来からニューヨーク証券取引所(NYSE)では、取締役会の過半数が社外取締役と定められているのだから、社外取締役の導入が量的に日本は始まったばかりである。しかし、社外取締役の導入が推進されている今、それを通した独自の企業間関係が日本で形成されつつあるとみなされる。それに加えて他方、株式持ち合いを解消する動きは広がっている。

ここでの要点は、独立社外役員の兼任状況をデータとして把握しておくことである。たとえば○○大学の元教授や△△企業の元会長が、または◇◇省の元局長がA企業とB企業の独立社外取締役になったとする。この場合、どのような経済的・経営的な関係がA社とB社の間に生じるか。どのような形状の企業間ネットワークが形成されるか。こういった問題が生じる。こういった問題を検討するためには客観的なデータ収集が不可欠である。

上記のA社やB社が4社以上になった場合、それらの役職に就いている兼任役員を「ビッグ・リンカー」(=大物連結者)と分類し、そういった人物を「ネットワーク・スペシャリスト」(=ネットワーク専門家)と命名している(前掲書、44~45頁)。

私の20年以上も前の研究対象が、ようやく現在の日本で注目されるように感じる。これは、私の「独り善がり」の感触であるが、日本企業における社外取締役が最近になって事実として増加していることは間違いない。今年は私の「還暦」であるが、研究歴にとっても「原点回帰」の年になるかもしれない。

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