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2015年9月28日 (月)

「アジア経営学会第22回全国大会」(3):ベトナム鉄鋼企業HPG対HSG

東北大学の川端望先生は、鉄鋼業の研究では日本で権威であると思われる。もう10年以上も前に大野健一先生が主査となったJICAのベトナム産業研究でご一緒したことがある。

今回の川端先生の報告は、ベトナム鉄鋼業を概観した後に、地元民間企業として上場企業となっているHPG(Hao Phat:ホアファット=グループ)とHSG(Hoa Sen:ホアセン=グループ)の2社を比較することが目的であった。

結論を先に言えば、鉄鉱石の採掘から高炉まで一貫生産しているHPGは現在まで成功しているが、鉄鋼製造他社の生産量が今後増強されると、その競争激化の中で存続が厳しくなる。それに比較してHSGは、今までの中国産の鉄鋼輸入からより安価なベトナム産鉄鋼を利用できる可能性もあり、競争激化は業績に影響を及ぼさないとのことであった。

この鉄鋼生産量の増強には、日本系のVina Kyoei(共英製鋼)や、台湾のFHS(Formosa Ha Tien Steel Corporation:フォルモサハティン製鉄所)の新工場が寄与する。

私は、HPGとHSGの負債比率を追加情報として提供し、さらに8月に訪問したFHSの現状を簡単に説明した。これらの情報は別途に提供するとして、川端先生の報告は、アジア経営学会の機関誌である『アジア経営研究』(来年7月刊行予定)を参照されたい。

HPGとHSGの比較分析に基づく今後の経営の見通しは、両社ともにベトナム上場企業であるから、ベトナム人のみならず外国人の株式投資家にとって貴重な情報である。それより前にベトナムの証券アナリストにとっても傾聴に値する内容とみなされる。

このように大学教員の研究は、実務=実業に直結している。この意味で「アジア経営学会」は、もっとアジアに関係する実務家から関心が集まってもよい。実務家から「聞き取り調査」をして大学教員は論文を書くだけでなく、実務家に対して逆に情報を還元しなければならない。

これこそが、本ブログの副題(大学教授「実学」を追究する)の趣旨でもある。川端先生の報告は、ご本人の意図の有無は別にして、まさに「実学」そのものである。

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