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2015年8月 5日 (水)

「株式相互持ち合い」:再考

A社とB社が同時に新株発行して株式を相互に持ち合う。この金額が同額であれば、実際の資金調達にはならない。

A社の貸借対照表によれば、「A社のエクイティ=ファイナンス」にB社が応じたので資本金が増加した。他方、流動資産において、A社も「B社のエクイティ=ファイナンス」に応じたために、B社の保有株式が増加する。これで借り方と貸し方は均衡する。

しかし実質的に資本金が増えたわけではなく、A社とB社で資金が往復し、それぞれの保有株式が名目的に増加した。このことを故・大隅教授は「紙のやり取り」と指摘した。この「紙」とは、今では見ることが少なくなった株券のことである。

ここで資本金が増加しているが、実質的な資本が増えたわけではない。これは「資本金の水増し」ともみなされる。さらに実質的な出資をしていないにもかかわらず、たとえばA社は、B社の配当金を受け取ることができる。個人株主や投資ファンドが実質的に出資して、その見返りに配当金を受け取っているのに対して、B社に対するA社の投資は資金調達に貢献していない。それにもかかわらず、A社は配当金を受け取る。これは不公平ではないか。神戸大学名誉教授・二木雄策氏は、これを「配当金の詐取」と呼んだ。

このように株式持ち合いは、違法ではないにせよ、その本質は不正・不公平な印象をもたらす。外国人投資家にとっては、資金調達にならないエクイティ=ファンナンスなど意味不明、不合理の極みであろう。

最近になって株式持ち合いが解消の傾向にあるが、それは、日本企業の活動のグローバル化を考えれば、当然のことであろう。

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