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2015年8月 2日 (日)

「株式相互持ち合い」について:解説

株式持ち合いの起源は、「希代の相場師」と呼ばれる藤綱久二郎が、旧三菱財閥に属する陽和不動産(現在の三菱地所)の株式を買い占め、それに対抗して三菱グループ各社が藤綱の所有する株式を買い戻したことに始まる。

企業の経営権を「乗っ取り」から防衛するために、特に旧財閥系の企業集団を中心にして株式を相互に所有することは、この事件から始まった。さらにその後、1965年からの「資本の自由化」に伴って、外国企業からの「乗っ取り」防止のために、企業間の株式持ち合いは、より広範に拡大した。  

株式持ち合いをする企業は、株主総会において相互に「白紙委任状」を交換しており、持ち合いをする企業の経営者にとっては、株主からの影響力が軽減される。日本では、この株式持ち合いが、前述の企業集団を中心にして広範に広がり、それが日本型「経営者支配」の基礎となっている。  

ここでの「経営者支配」とは、経営者が自己の地位や行動を自由に裁量できる。これは経営者にとって望ましい経営環境である。この背景には、自社の大株主(=安定株主)が、株式持ち合いをしている企業や取引先の企業であり、経営者である自分に反対意見を言うことが皆無だからである。反対意見は、持ち合いという友好・信頼関係や取引関係が崩壊させる・・・日本では協調性=「和」は美徳である。これらのことは、日本企業の経営者の「慣れ合い」「無責任性」の温床となっている。

「経営者支配」は、株主価値(より広義に企業価値)を最大化するという一般株主の要求と必ずしも一致しない。外国人投資家の株式所有比率が30%を超え、さらに投資ファンドを含む機関投資家からの「発言」が積極化している日本の株式市場では、株主の存在を無視できない。株主の観点から見て、上記の日本型「経営者支配」は、もはや容認・黙認できない事態となっている。

 

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