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2015年3月 3日 (火)

映画ビジネスの要点(8):映画製作のリスク

有名な俳優さんが撮影現場で怪我をした。こういったことが発生しないとは限らない。通常は制作会社が保険を掛けるのであるが、その保険料は製作委員会が調達する。

さらに撮影が中断されると、俳優に代役を立てるか?撮影を延期するか?という判断が必要である。当然、追加的な費用が必要である。次のスケジュールが決まっている場合、この費用の負担が要求されることもある。準備された製作資金が枯渇すれば、映画製作自体が中止となる。

怪我というような偶発的な事故ではなくても、たとえば今月末までにスタッフに報酬の3分の1を支払わなければならないとする。こういう報酬が支払えないとなると、スタッフの労働意欲は低下するし、場合によっては、契約または約束違反ということで仕事から降りることになる。撮影や照明といったスタッフはフリーランスのプロである。ここでも映画製作が中断または中止となる。

監督が撮影に熱心な(=こだわる)ことがある。撮影予定期間の20日間が、なかなか監督の納得できる撮影が進まないとなれば、カットは撮り直しになる。全体で30日の撮影になったとすれば、当然、キャスト・スタッフの宿泊費・食費・拘束日が増加し、必要資金が増加する。この追加資金が用意できなければ、撮影中断のリスクが高まる。

映画配給の会社が決まらない。せっかく映画は完成しているのに、それを公開できない。政治的な問題を含んでいたり、上映反対の運動があったりすると、劇場会社が公開を引き受けない。最悪の場合、自主上映ということもありうるが、それすらできない雰囲気が生まれる。せっかくの完成したフィルムは「お蔵入り」である。

映画製作のリスクは、冷静に考えれば、通常の製造業よりも大きいようにみなされる。そのリスクを克服する主要因は、その映画に対する情熱や思い入れのように思われる。

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