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2014年10月17日 (金)

書評:メコン地域開発とASEAN共同体(7):図們河開発との比較

本書の第18章は、松野周治氏(立命館大学経済学部教授)執筆の「東アジアにおける2つの国際河川開発――メコン川と図們河の比較研究――」である。

私の書評『世界経済評論』(11月近刊)では「GMS開発と中国の河川開発プロジェクトの比較研究を紹介し、GMS開発のグローバルな含意と教訓を示している。これは最終章として今後の研究展開の方向性の提起ともみなされる。」と指摘した。

限られた紙幅の書評であるために、以上の表現の説明は不十分であったかもしれない。「グローバルな含意と教訓」と「今後の研究展開の方向性」について付言しておきたい。

中国とロシアと北朝鮮の国境の大図們河地域(Greater Tumen Region:GTR)開発には、中国・ロシア・韓国・モンゴル・北朝鮮(2009年11月に脱退を通告)が関係している。この開発は日本にとって日本海側の経済発展に貢献するとみなされるのだが、政治的理由からオブザーバー出席にとどまっている。

このような状況に対して、GMS開発は極めて順調であると評価できる。この両者の相違は何が理由か。この相違からの教訓は何か。

思いつくままに私見を仮説として述べれば、(1)日本の積極的な参加とリーダーシップが重要な役割を果たす。(2)中国・ロシアという「大国」の相互牽制が悪影響を与えている。(3)北東アジアにおける国際的な経済共同開発の推進では北朝鮮の動向が問題となる。(4)より一般的には、国際的な経済開発の前には政治的な信頼関係の醸成が必要である。(5)資金的にリーダーシップをもった機関(GMSの場合はアジア開発銀行:ADB)や国が不可欠である。

これらの教訓や前例を検討すれば、たとえば南米やアフリカなどの国際河川の開発モデルが策定できるかもしれないし、その開発を促進することになるであろう。

こういったグローバルな視野をもったGMS開発およびGMS開発の研究であってほしいという私の願望を上記の書評の文書に託した。

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