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2014年6月 2日 (月)

ベトナム・ハノイ訪問(3):対中国紛争の経済的影響

ハノイでの取材の結果は次の通りである。

1.レストランの女性店員・・・「中国は良くない。中国は嫌い。」
以前から多数のタクシーの運転手も同じことを言ってきた。

2.台湾や香港の会社・・・中国企業ではないが、働いている技術者は中国人。いつもの市場で中国人には物を売ってくれなくなった。ベトナムで働くことは気にしないが、中国の家族が危険だから帰国するように言っている。家族のことを考えて、やはり帰国することにした。この会社、どうすれば操業を継続できるか。

3.日系企業・・・中国からの部品が入ってこなくなったら操業できない。将来が不安だ。

これまでのベトナムと中国の友好関係を破壊する契機が、中国による石油採掘施設の建設である。国際的に見て中国に紛争の原因があることは明白である。経済利益を優先して、この不当な建設をベトナム政府が容認すればどうなるか。

ベトナム国民は中国に対して「屈辱」と「忍従」を強いられる。強い愛国心をもったベトナム人は、政府批判を強めるだろう。貧富の格差や贈収賄の問題にまで批判の対象が拡大する可能性もある。一般のベトナム人は政治に通常は無関心である。しかし特に領土問題はベトナム人に「愛国心」を惹起させる「琴線」であるとみなされる。

経済成長を優先にして対中国紛争にベトナムが妥協すれば、政府批判は拡大・深化する可能性が高い。「経済的な利益」と「政治的な不安定性」のいずれをベトナム政府は選択するか。次第に表面化する経済的不利益に伴う不満・不便と中国に対する「屈辱」や「忍従」のいずれをベトナム国民は選択するか。

今後のベトナム経済の動向は、上記の2つの選択に大部分が依存するように思われる。なお、この選択において不可欠の判断材料は、今回の紛争がベトナムと中国の二国間ではなく、ベトナムを含むアセアン諸国、さらに東アジア全体と中国の多国間の問題であるという認識である。けっして今日のベトナムは孤立していない。

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