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2014年4月21日 (月)

ベトナム4つの改革(5):インフレ抑制と経済の安定成長

インフレ抑制を重視した手堅いマクロ経済政策運営を続け、経済の安定成長を図ることも重要です」(194頁)。

これは現在のベトナム経済政策の基調となっており、上記の主張は「改革」の提案ではなく、「今後も継続するべきである」という趣旨である。

こういった経済政策の運営についてベトナム政府は、重要な融資元である国際金融機関(世界銀行・国際通貨基金・アジア開発銀行)ODA最大供与国である日本のエコノミストの助言や提案を素直に受け入れているとみなされる。

ベトナム政府や中央銀行は、自らが直接操作可能な政策変数(金利・為替・通貨供給量・・・)などについて、紆余曲折や失敗はあったものの、最善の努力をしてきたという印象を私はもっている。それは上記のエコノミストの影響力も大きいと思われる。

それに対してベトナム政府の「苦手」は、自らの「組織改革」である。これはベトナムに限らず、日本を含む多数の組織に共通した課題である。慣行や慣例が重視される官僚組織が健在であり、そのほかに濃密な個人的な「人間関係のシガラミ」が存在する。これらを打破する改革の推進には、一般には強力な意志をもったリーダーシップが求められる。

しかしベトナムでは、こういった「強力な意志をもったリーダーシップ」が生まれにくい体質がある。ベトナム政府の意思決定の特徴は、合議的・協調的・集団指導的である。これは、ベトナム共産党の「一党独裁」体制に対する批判を緩和するという意味で「長所」であるが、改革を推進するという観点からは「短所」でもある。

ベトナムの4つの改革の推移について、これまでに指摘してきた観点から観察してみたい。それが、ベトナム経済の今後の成長動向を判断することにもなるからである。

これらの観点を提起した前掲書(みずほ総合研究所(2014年)『図解ASEANの実力を読み解く』東洋経済新報社)に感謝したい。

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