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2014年4月20日 (日)

ベトナム4つの改革(4):学校教育・職業訓練の改善

学校教育や、労働者の訓練なども改善する必要があります」(前掲書、194頁)。

同書が紹介する調査結果によれば、外資系企業の6割が「労働者のスキル不足で生産性が上がらない」、また3分の2が「ベトナムの教育機関における教育・訓練内容に満足していない」と回答している。

このことはベトナム教育訓練省も十分に認識し、その改革が現在進行中と私は理解している。簡単に言えば、次のようなことである。

1.大学=高等教育の教育水準を向上させて定員を削減する。たとえば大学の日本語教育において、博士号取得や修士号取得の教員数を「設置基準」に含めることにした。このことで学生募集を停止した大学もある。

2.大学進学者数を抑制することで、大学卒業者の学習水準が向上し、そのことで就職状況が改善される。

3.以上のような大学教育の改革に伴って、大学に進学できなかった人材が、職業訓練校つまり専門学校に進学すると予想される。したがってその教育内容の改善が現在準備されている。

誤解を恐れずに単純に言えば、本来は専門学校で職業訓練(=「手に職をつける」)を受けることが適当な人材が大学進学する。この場合、大学を卒業しても能力不足である。したがって就職がない。大学生の増加に伴って専門学校=職業訓練校の生徒の水準も低くなる。それに対応して労働者の技能水準も低い。これらが、上記のような企業の不満となって表出しているのではないか。「大学バブル」を沈静化し、適材適所の教育体制にする。これが、ベトナム教育改革の要点であると思われる。

なお、にベトナム人の教育観として「儒教精神」が根強く存在しているように思われる。いわゆる「頭脳労働者」を「肉体労働者」よりも上位に考える風土である。また無条件で「勉強はよいこと」であり、その目的や効果は余り考慮されない。「お金儲け」より「教養・文化・学問」を尊重する傾向もある。「お金儲け」の次は「博士号」が欲しいという経営者も少なくない。教師・教員は絶対的存在であり、批判精神や創造性は抑圧される。

これらの社会的な意識は、私の経験では、30年から40年前の韓国や日本にも存在していた。しかし経済発展は、そういった意識を希薄化させ、「経済最優先」の意識を蔓延させることになった。おそらくベトナムも同じ道を歩むことになるのであろう。

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