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2014年4月17日 (木)

ベトナム4つの改革(1):経済成長の懸念材料

みずほ総合研究所(2014年)『図解 ASEANの実力を読み解く』(東洋経済新報社)は、アセアンの概要とその主要国6カ国(シンガポール・インドネシア・タイ・マレーシア・フィリピン・ベトナム)の特徴が要領よくまとめられている。

ただ残念なことは、ラオス・カンボジア・ミャンマーについての記述が欠落していることである。いわゆるメコン川流域国の発展(注:同書では「陸のアセアン」と呼ばれる)を考える場合、これら3カ国にタイ・ベトナムを加えた5カ国の経済・ビジネスの相互依存関係の現状や可能性の議論が不可欠だからである。この意味で、ぜひ「陸のアセアン」に関する続編の出版が望まれる。

さて以下では、ベトナム経済の懸念材料と改革について同書を紹介し、それについて私見を述べる。

ベトナム経済の長期的な懸念材料は、「2009年以降に生産年齢人口(労働力となる15~64歳の人口)の伸び率が明確な低下傾向に入ったこと」(192頁)である。「その結果、経済成長の追い風になるとされる従属人口指数の低下も、2013年を最後にほぼ止まって横這いとなり、2017年からゆっくりと上昇が始ま」る。(同上)。

より短期的な懸念材料は、現在ベトナムで有望と見られている労働集約型産業について「ミャンマーにティラワ工業団地が完成する2015年頃から、競争力の低下が徐々に現れてくるかもしれ」ないということである(194頁)。

私見では、上記の長期・短期の懸念材料の克服のためには、より高い付加価値の生産やサービスの提供によって、労働集約型産業からの脱却が期待される。さらに、いわゆる「中所得国の罠」の対策も求められる。これらのために同書は、4点の改革が必要と述べている。次に、これについて検討する。(続く)

追記:より短期的な懸念材料について言えば、ベトナム企業はミャンマーの成長性を認識しており、すでにミャンマー進出が始まっている。このような動向は、ミャンマーとベトナムの相互依存が進展・深化していることを意味している。これが「アセアン経済共同体」を理解する視点である。アセアン全体の発展は、ミャンマーやベトナムという国の枠組みを超えた互恵的な利益を生み出す。そうなれば、ミャンマーの台頭はベトナムの懸念材料にはならない。これが理想であるが、果たして現実になるかどうか。今後の注目点である。

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