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2014年4月18日 (金)

ベトナム4つの改革(2):国営企業の改革

国営企業は民営化・合理化する一方で、カネとヒトを外資系企業と民間企業に集中させるべきでしょう」(前掲書、194頁)。

これは、ベトナム経済の成長停滞に対する処方箋の第1番目である。私見では、このことをベトナム政府は表面的にしか理解していない。または理解しようとしない懸念がある。政府は国営企業を改革するために、2015年までに株式会社化する予定である。しかし「株式会社化」と「民営化・合理化」は別問題である。国営企業を「株式会社化」したとしても、それは「民営化・合理化」したことにはならない。

ベトナム国営企業の改革が議論され始めた当初から、それはEquitaizationという表現が使用されてきた。本来の「民営化」であるPrivatization禁句であったように思われる。国営企業の「株式会社化」は許容されても、その「民営化」はタブー視されてきたのではないか?それは現在も続いているのではないか?

国有企業の株式会社化によって民間株主が一部でも経営参加すれば、それは完全な国有企業ではなくなる。このことで「国有企業の改革」は進んだように思われるのだが、実際には株式の過半数は政府所有であるから、依然として政府が企業支配しており、「国営企業は維持」される可能性がある。

他方、「国有企業」であっても、たとえば外国人経営者を起用すれば、国有企業を「民営化」したことになる。株式会社における「所有と経営の分離」がベトナムでは理解されていないのではないか? 少なくとも多数のベトナム企業は「所有と経営が一致」している段階である。

ここで、ベトナムにおける「国営企業の民営化・合理化」の議論を進めるために次の論点を提起したい。

1.「国営企業」に民間人経営者または外国人顧問(注:外国人経営者でもよい)を起用することはできないか?
⇒「株式会社化」を契機にして、こういった「人事」があってもよい。「所有と経営の分離」の実践的な適用である。

2.株式公開つまり株式会社化した「国営企業」において民間株主の意見を反映させる制度が導入できないか?
⇒株式会社における「少数株主権」を保護する制度をベトナムに導入すればよい。取締役会の「全員一致」の制度がベトナムで残存している。これが少数意見を尊重する制度であるとすれば、株主総会でも「少数株主」を保護する制度が導入されても不思議ではない。事実、日本を含む先進国で導入されている。

3.国営の株式会社を「民営化」する行程表はできないか?
⇒株式の過半数が民間株主に渡るように政府所有の株式の売却日程を検討・作成するべきである。

4.ベトナムの経営(=ビジネス)教育において「戦略論」はあっても「組織論」は不十分ではないか?
⇒もっとも組織論は、組織論⇒組織改革⇒党組織改革・・・という議論になり、党組織の現状を維持したいベトナム人からは好まれない教育科目であるかもしれない。いずれにせよ、ベトナムのビジネス教育の科目についての体系的な点検が求められる。

私見では、国営企業の改革の目的は「経営の合理化・効率化」であって、必ずしも「民営化」が不可欠ではない。こういった提案の方が、いきなり「民営化」と言うよりも、ベトナム政府には受け入れられやすいことは間違いない。この点で前掲書が指摘する冒頭の主張を私は無条件に支持するわけではない。(続く)

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