« 交通事故の現場を目撃 | トップページ | プノンペンでハノイに備える:ゴルフ練習 »

2014年1月21日 (火)

カンボジアの労働争議は沈静化

いしょホーチミン市からカンボジアの首都プノンペンに移動した。入国査証なしでベトナム滞在できる期間は2週間までなので、それ以上の期間ベトナムに滞在する場合、一度、ベトナム出国しなければならない。そこで1年半ぶりにプノンペンを訪問することにした。Cimg4507カンボジア株式市場がもっと活発化していたら訪問の機会が増えたと思うのだが、またベトナムの仕事が多忙なこともあり、カンボジアはご無沙汰であった。

親しいタクシー運転手のトーチさんが空港で待ってくれていた。彼に預けた携帯電話は事前に充電もしてくれていた。空港からホテルの道中の店でSIMカードに10ドルほどチャージすれば、すぐに電話が使用可能。1年半のブランクを感じさせない。

プノンペンの訪問目的は、昨年12月からの「労働争議」の顛末を確認するためであった。ご多忙中であったが、カンボジアJETROの道法(ドウホウ)所長、それに投資アドバイザーの伊藤さんからお話を伺うことができた。2年ほど前の訪問ではアットウッドの建物内に事務所があったが、現在はプノンペンタワーに移転している。

お二人は、「労働争議のためにカンボジアの日系企業が操業停止」という趣旨のマスコミの報道は「不正確」であると強調された。ベトナム国境のバベットの台湾企業から火が付いた騒動争議が、プノンペン市内の縫製業に波及した。日系企業は、その混乱に自社の労働者が巻き込まれないように、日本人経営者の自主判断で操業停止したということが正確な表現である。日系企業の中で労働争議は発生していない。

長引く争議を回避するためにGMAC(ジーマック:カンボジア縫製協会)は主要な労働組合6団体に対して、操業停止に伴う損害賠償の請求を裁判所に提訴した。それが争議継続を抑制する効果があり、さらに政府が段階的に賃金の引き上げを約束した。その結果、カンボジアの労働争議は現在、まったく沈静化した。

しかし依然として、空港から市内に向かう縫製工場の入り口には警察官がいたし、おそらく政府機関と思われる敷地内には鋭利な刃のついた鉄条網のバリケードが多数置かれていた。トーチさんの話しでは、争議中は交通渋滞が激しく仕事にならなかったそうだ。Cimg4639ソウルオリンピックが開催された80年代末から90年代にかけて韓国でも労働争議が頻発して賃金が上昇したが、それを「民主化のコスト」と韓国人の中では一般に呼ばれていた。そのコスト負担は、民主主義国家であるカンボジアに進出した企業も甘受しなければならない。他方、ベトナムでは、こういったコストを政府が管理しているように思われる。

労働市場で労使の交渉を通して」市場メカニズム」を機能させるカンボジア、それに対して労働市場を政府が管理するベトナムというように対照的に区別できる。どちらのシステムが効率的・合理的・生産的か。これは政治体制の選択問題である。同時に、経済発展の段階により適合的なシステムはどちらかといる問題であるように思われる。

なお、昨年の総選挙の結果に不満をもつ野党が、労働争議の裏で手引きしているという「陰謀説」がある。また私のカンボジア訪問の直前にベトナムのズン首相がプノンペンを訪問し、フンセン首相などと会談している。目的はポルポト政権をプノンペン市内からベトナムが撃退(1979年1月7日)して35周年ということである。中国・タイ・米国に対抗してベトナムもカンボジアで存在感を示さなければならない・・・これは私の邪推である。

|

« 交通事故の現場を目撃 | トップページ | プノンペンでハノイに備える:ゴルフ練習 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/54656061

この記事へのトラックバック一覧です: カンボジアの労働争議は沈静化:

« 交通事故の現場を目撃 | トップページ | プノンペンでハノイに備える:ゴルフ練習 »