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2014年1月 9日 (木)

ベトナムで法人税減税:ベトナム経済の展望(1)

かつて7%台の成長が当たり前であったベトナムの経済成長率も、昨年や今年の予想では5%台の低位に落ち込んでいる。その主要な理由は「インフレ抑制」のための「金融引き締め」政策である。また、安易に外国為替を「ドン安」に誘導して輸出を増やすことも、輸入品の価格上昇となるために「禁じ手」になっている。インフレ再発が懸念されるからである。

そこでベトナム政府は、経済構造の転換を本気で決意した。この「本気」の意味は「実行が伴う」ということである。その一つが「裾野産業」の育成である。これまで輸入品に依存してきた原材料部品を国内生産に転換することが目的である。それは、ベトナム製造業における技術力の底上げ、さらに慢性的な貿易赤字の解消に寄与する。

その具体的な現象が、日本に対する中小企業のベトナム誘致活動の積極化である。これは日本の中小企業にとっても「コスト削減」や「販路拡大」につながる好機とみなされる。さらに後継者不足で「廃業」を考えるような中小企業にとっても、ベトナムが最後の救世主になるかもしれない。

この「裾野産業」は「輸入代替品産業」と言い換えることもできる。それに加えて積極的に資源を重点配分する「産業政策」の策定もベトナムは昨年に終えている。情報筋によれば、その「行動計画」が昨年末までに策定され、本年は、その実施が進展する見込みである。

このような経済の構造改革や産業政策は長期的な政策である。この政策策定のために日本が主要な役割を果たしたのだが、その行動主体となる日本企業は意思決定が一般に遅いから、ベトナムが考える以上に政策実現には時間がかかる。

他方、ベトナムには時間がない。2015年に「アセアン経済共同体」が成立し、2018年からベトナムの域内関税が撤廃される。さらにTPPの加盟交渉妥結も終盤である。これらは、国際競争力をもったベトナム企業しか生き残れない状況が目前に迫っていることを意味している。

ベトナム経済の現状の特徴を以上のように概観できるとすれば、ベトナムにとって本年は待ったなしの「勝負の年」ということになる。長期的な構造改革の効果が表出するまで、政府はベトナム経済を維持・安定させなければならない。しかしベトナム企業は依然として10%に近い高金利の負債に苦しんでいるし、また銀行の不良債権の処理も重要課題である。

そこで限られた短期的な政策を駆使して、ベトナム企業の存続と成長を政府は企図しなければならない。その手段が法人税の減税である。ベトナム政府としては当然、国家財政を犠牲にしてまで減税したくない。しかし、それを実施しなければ、経済活動の主体である企業が生き残れない。2014年1月1日から施行された法人税の減税の特徴は、まさに「背水の陣」における「苦肉の策」と言えるかもしれない。(続く)

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