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2013年9月22日 (日)

TPPに関するベトナムの諸意見

少し古くなるが、Viet Nam News(2013年8月22日)の第1面は、サイゴン経済タイムズとベトナム商工会議所(VCCI)WTOセンターが共催したホーチミン市のセミナーにおいて、ベトナム企業はTPP(環太平洋連携)交渉にもっと関心をもたなければならないと結論づけた。

ホーチミン市DPI(計画投資局)前副局長のLuong VAN Ly氏は、次のように指摘している。

1.TPPは極めて競争的なグローバル化の過程であるにもかかわらず、それに対する経営戦略や経営計画をベトナム企業は十分に準備していない。

2.TPPが発効すれば、ベトナム企業は準備不足のために操業停止を含む高い買い物をさせられることになるであろう。

3.ベトナム商工会議所など関連機関だけでなく政府は、ベトナム企業が新しい状況で存続・競争できる最善の機会を提供するために、重要な特定分野に接近できるようにしたり、特定の情報を適時開示することが求められる。

ベトナム皮革履物協会(Lefaso)副会長のDiep Thanh Kiet氏の発言の要点は、次の通りである。

1.上記のLy氏の指摘に同意する。利益と障害の双方に焦点を当ててTPP交渉ラウンドに注目することが重要である。

2.課題のひとつは、外国人投資家がTPP加盟のベトナムを利用して、生産工場を建設したり、ほかのTPP加盟国に輸出したりすることである。

3.ベトナムの衣料縫製分野は、「ヤーン=フォワード」原則に従わなければならない。織物・染色・仕上げ・縫製などの衣料生産の全行程を自国で行わなければならない。このことは、ベトナム縫製分野が生地を大量に輸入しているために大きな問題となる。
(筆者注)「ヤーン=フォワード」:使用する糸や布地の製造、祭壇や縫製まで協定の加盟国内で行った衣料品だけを関税撤廃の太守とする、一種の原産地規則だ。主に中国産の糸や布地を使って製造するベトナムの衣料品を、TPPから実質的に排除できる。http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=21002

4.ベトナム2012年における衣料縫製の輸出額の58%がTPP加盟国向けであり、172億ドルに達している。これに対応する皮革履物分野は41%、87億ドルである。

何人かのエコノミストによれば、ベトナムを始めとする加盟国すべてに対して、より透明性のある取引環境と法的枠組みをTPPは提供する。しかし国内市場の開放によって、ベトナム企業は巨大な競争圧力を受けることが懸念される。TPPが要求する制度上の実施能力のみならず法的制度・人材開発は、ベトナムが直面する重要課題である。

その議論の中でPham Chi Lan女史は次のように述べた。

1.ベトナムは、品質・取引基準・制度改革に対するTPPの要求を満たすために重労働を課せられている。

2.ベトナムは、多数の国々と競争できるようにより付加価値の高い製品やサービスを創造しなければならない。そのために自国の優位性を確認し、その開発に集中しなければならない。たとえばベトナムは、農業生産を他の経済2部門である工業とサービス業に連結させるべきである。

3.ベトナムの懸念は、観光分野などの熟練労働者の不足に直面することである。TPPが締結されると、そういった人々は外国に移住して働くことができるからである。

(付記)上記のPham Chi Lan女史は、元ベトナム商工会議所副会頭であり、英語・フランス語に堪能なベトナムで最有力のエコノミストである。1994年からの日本企業の「第1次投資ブーム」で彼女の名前は有名であった。彼女は、来る10月10日にホーチミン市の日航ホテルで開催されるセミナーで講演する予定である。同時に私も講演する。ホーチミン市のコンサル会社ベトニャット社が主催し、日本ベトナム経済交流センターが後援している。時間があれば、TPPについて彼女と話してみたいと思う。

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