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2013年7月19日 (金)

銀行間の市場競争:「金融資本」は未形成

ハノイやホーチミン市の様子を見ていると、写真のような銀行ATMが並んでいることがある。大手銀行は、それぞれのサービス競争のためにATMを設置するのだが、そのために独自のネットワークを形成する費用が発生する。

 

20130714_091639_600x450各銀行の投資コストが重複し、社会全体の資本が非効率に使用されている。各銀行が統一したネットワークを利用し、その共用のメリットを活用すればよい。日本でも、そのように一部、共通ネットワークが形成されている。 

ベトナムのような別々に形成された情報(=コンピュータ)ネットワークを統合することは、日本でも企業合併や経営統合で目の当たりにするように、膨大なシステム統合=転換コストが必要とされる。ベトナムのような途上国においては、それを最初から統一しておけばよいと強く思う。しかし、それができないということは、ベトナムでは銀行間・システム企業間の競争が活発ということを意味する。

 近代資本主義では、大銀行と大企業の互恵的な利益に基づいて両者が融合して、いわゆる「金融資本」が形成される。また競争関係にある銀行間でも、それらは協調融資(シンジケート=ローン)に代表される協調的な関係をもっている。

 上記の写真は、こういった段階にベトナムは至っていないことを象徴的に示している。ベトナムでは、ある企業グループの中に「機関銀行」としての役割をもった銀行が存在することがある。この銀行は、同じ企業グループ内の金融部門を担当し、グループ企業の資金調達のために存在する。これが不合理な融資の温床となる。

 ベトナムを政府規制がやや強い資本主義社会=市場経済とみなせば、その銀行間、また銀行と企業の間の関係を実態調査すれば、その経済の今日的な特徴が一部でも明示されるであろう。これは研究対象として興味深い。

 以上、私的な提言として、銀行業協会といった業界団体が強力に組織され、その中で共通の利益が追求されることが望まれる。具体的には、銀行間の情報・決済ネットワークのためのコンピュータ=システムの統合である。

ベトナムには、限られた資源を効率的・合理的に使用する機会が提供されている。それが、発展途上国の優位性である。それを有効に活用しない手はない。

私が首相なら、日系のコンピュータシステム会社が低コストまたは無料でも銀行間システムの統合システムを開発することをベトナム政府に提案する。そうすれば、今後のベトナム金融界のコンピュータ=システムのメンテナンスは、すべて日本企業に依存することになる。

同じことを日本で想起すればよい。日本の銀行間のコンピュータ=システムを米国企業が開発・統合するのである。日本では反対意見が強力であろう。しかしベトナムでは、かえって感謝されるかもしれない。

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