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2013年6月14日 (金)

ベトナム国会の信任投票

ベトナム国会で閣僚や政府首脳の信任投票が6月10日に実施された(『新聞各紙』2013年6月11日)。それについてコメントしたい。

1.高信任・信任・低信任・・・「不信任」の選択がないところがベトナムらしい。過度な対立を回避するために調和を尊重するベトナム人の気質を反映している。

2.ズン首相の評価・・・低い信任が3分の1と言っても、首相が内閣の責任者と考えれば、これは内閣支持率と同義とみなすことができるだろう。内閣支持率が60%あれば、日本であれば好成績である。

3.個人の人気投票よりも政策批判の意味が強い・・・ベトナムの高金利はインフレ対策のためであるが、それに対して民間企業からの批判は強い。それば、国家銀行(中央銀行)総裁が最も低信認であったことで示される。このような意味で、上記2で指摘したように、内閣に対する評価の一部がズン首相の低評価に影響を及ぼしたと思われる。この信認投票は、政策☑の意味があり、必ずしも個人の人気投票ではないと思われる。

4.ズン首相の支持者の意見・・・ズン首相に対する批判としては、造船会社ビナシンの不良債権を先導したというような個人的批判が強い。しかし反面、ズン首相の実務能力・判断力の高さは余人をもって代え難いという評価がある。ただしズン首相は軍隊出身であるから、短期的な戦略または戦術が得意であり、長期的な視野の戦略策定は弱いという評価もある。

5.ベトナムの民主主義・・・同じ社会主義を標榜する中国人に対してベトナム人の誇りは「経済では中国に負けているが、政治では中国よりも民主主義がある、言論の自由がある」というものである。この国会の信認投票の実施は、ベトナム流の民主主義の前進を意味している。

6.ベトナム民主主義の進展の背景・・・もちろん多党制の導入や、さらなる言論の自由の保証といった課題は残されているが、それは段階を踏んで検討されるべき課題と認識されていると思われる。その根拠は、「経済成長のための前提は政治的安定である」ということが、国民に広く認識されているからである。今の政治的混乱は、東シナ海の領海問題をかかえている「中国を利する」だけという認識もあるだろう。少なくともベトナム共産党や一般国民は、さらなる民主主義の進展が必要であることは認識している。しかしそれは漸進的であり、急激な変化を望まないということでは多数が一致しているとみなされる。このことは、今回の信任投票において「不信任」という選択肢がなかったことの趣旨と同様である。徐々に変化・改革が進む。これが「ベトナム流」である。

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