« 昨日からベトナムでは最低賃金が引き上げ | トップページ | 写真で見るハウステンボス(1) »

2013年1月 3日 (木)

バングラデシュのCNG(圧縮天然ガス)自動車

有斐閣『書斎の窓』(2013年1・2月号)に、田中洋子・筑波大学人文社会科学系教授の「バングラデシュ・オートリキシャの疾走」という記事(43-49頁)が掲載されている。これは注目の指摘である。

バングラデシュの首都ダッカの車道では、オートリキシャ(=オート三輪タクシー)と公共の大型バスが顕著である。トヨタやベンツなどの乗用車は少数である。

このオートリキシャは、世界最新のCNG(Compressed Natural Gas)車である。これは、圧縮天然ガス(液化天然ガスLNGとは異なる)自動車である。

「 この天然ガス自動車は、ガソリン車に比べて放出するCO2を25%、一酸化炭素を75%削減することができ、ディーゼル車に比べて窒素酸化物を7割、硫黄酸化物、煤煙・塵埃を含む黒鉛をほぼ100%削減することができる。最新の環境対応型の自動車である。
 バングラデシュは、車の数が非常に少ない中、大きく天然ガス自動車を導入している国の一つなのである
」(46頁)。 

日本を含む先進国においても導入が遅延しているCNG車が、発展途上国バングラデシュで「普及」している。これは、「従来の発展の経路とは少々異なっている。・・・・・・使われている技術も独自のもので先進国技術の延長ではない。ここには、グローバル工業化の時代に、「発展途上」の途中から伸びた、新しい発展の形が生まれている」(49頁)。

私は、ベトナムやラオスでも、それぞれの国に固有の発展経路があると考えてきた。他方、日本の経済発展からの教訓を無視することもできなかった。その矛盾したような見解は、それらの国々で具体的な事例を観察できなかったからである。もちろん、固定電話よりも携帯電話の普及が先行していることは、日本と異なった発展経路であるとは気がついていたが・・・。

この問題、日本の従来の経済発展では考えられないグローバル(=ボーダレス)な原材料部品調達の企業間ネットワークの形成が、この「固有の発展経路」を検討するヒントになるであろう。

このことには、たとえば「中進国の罠」を脱却するためには、日本の経験を考慮して、裾野産業の育成が必要であったり、生産技術の蓄積が必要であったりすると大野健一先生(政策研究大学院大学)は指摘されるのだが、そういった日本の経験が役に立たないという含意もある。

新年の刺激的な知的な問題提起である。

|

« 昨日からベトナムでは最低賃金が引き上げ | トップページ | 写真で見るハウステンボス(1) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/48546461

この記事へのトラックバック一覧です: バングラデシュのCNG(圧縮天然ガス)自動車:

« 昨日からベトナムでは最低賃金が引き上げ | トップページ | 写真で見るハウステンボス(1) »