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2013年1月26日 (土)

ミャンマー報道に異議あり・・・図式思考のマスコミ

かなり古くなるが、ミャンマー報道について、元駐ミャンマー特命全権大使の山口洋一氏は次のように「マスコミ」を批判している。

「欧米、日本のマスコミの多くは常に、軍事政権=悪玉、スーチー女史=善玉と言う図式に従って、この国の情勢を報道する傾向が強い。この図式に合わないニュースは伝えられず、偏った、時には歪められた報道が行われることすらある」(『月刊アジア倶楽部』1999年4月号、第200号。32-33頁)。

このような図式があれば、研究者でも論文を書きやすい。それは換言すれば、分析の枠組みとか分析モデルまたは視角・視点というものである。それが定まれば、それに基づいて事実を取捨選択しながら論理展開すればよい。

私見では、未知の世界(=対象)を探求する場合、最初、混沌とした実態を様々な観点から照射し、多様な事実を発見・収集する。次に、それらの事実を比較対照することを通して、それぞれの特異性や共通した本質を次第に明示する。このことを通して、実態が解明される。

ただし、以上のような手順は読者にとって理解しにくい。また時間が必要である。読者は、このような文書を読まされると、「結局、何が言いたいのか?」という不満が生まれる。

そこで簡単な図式を設定し、それに基づいたストーリーに従って事実を配列することで、読者に理解しやすい文書を書く。読者=顧客のために記事を書くことが、営利企業としてのマスコミの使命である。

山口氏が批判するマスコミには、以上のような事情があるように思われる。しかしジャーナリストとしてのマスコミを考えれば、顧客=読者迎合でよいはずがない。上述の「図式」それ自体を疑う姿勢―これこそが「批判精神」と言える―が求められる。

ミャンマー報道から、マスコミの姿勢を今後も検証することが求められる。

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