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2012年9月26日 (水)

日本企業のベトナム進出における日系工業団地の意義:報告の討論者となる

今回のアジア経営学会で私は、報告をしなかったが、司会と討論者の2つの役割を果たすことが仕事であった。

表題の報告を早稲田大学の西山茂教授がなされた。司会は高崎経済大学名誉教授の長谷川秀男先生であった。

ちょうど既報のようにベトナム・ビンディン省の工業団地誘致セミナーで先週に報告したばかりであったから、西山先生に対する批判・コメントではなく、その報告を補完するという立場から次のような論点で議論した。

日系工業団地に進出するとなれば、確かにサービスはよいのであるが、問題は高額の土地代(使用料)である。それは一般は「交渉次第」ということで明確に表示されないのであるが、おおよそ日系工業団地は、同程度の条件のベトナム工業団地の5~10倍程度の価格になっているのではないか。この差額は大きい。

たとえばビンディン省の場合、公式では15~20米ドル/㎡ということだったが、「今なら半額に値引きしますよ」ということであった。だいたい、この半額の価格から10倍くらいするのではないか? ハノイやホーチミン市の近郊の工業団地では日系に限らず、ベトナム民間工業団地でも70~90米ドル程度の価格ではないか?

日系工業団地では日本語が使用できるので安心だという「安心料」としても、やや高すぎる買い物のように言えなくもない。

たとえばキャノンは、最初のベトナム進出はタンロン工業団地(住友商事)に進出したが、第2工場はクエボーのベトナム工業団地に建設した。おそらく土地代は大幅に節約できたはずである。最初のベトナム進出では同じ大企業として住友商事の顔を立てて、またベトナム人の人事管理・生産管理のノウハウを学ぶ意味で日系工業団地に立地し、その後はコスト削減のために地元の工業団地に進出する。極めて合理的な判断である。

なお当時、キャノンの御手洗社長が経団連会長であり、住友商事の宮原社長が経団連のベトナム委員会の委員長でなかったかと思う。こういった日本国内の関係が、日系工業団地の進出にも影響を及ぼしているとも考えられる。

このようなキャノンの進出を中小企業の進出に応用すれば、最初は日系工業団地の「貸し工場」に進出する。その後の操業が順調であれば、さらにベトナム人材(日本人とベトナム人の両方)が育ってくれば、土地代の安い地元の工業団地に本格的に工場を建設する。この場合、労働力不足や賃金高騰を考慮して、地方都市(たとえばビンディン省など)の進出を検討する。

討論者として私は、こんな話をしたが、やや長くなりすぎて、会場からの質問時間が少なくなった。そうであっても甲南大学の安積敏政教授から的確なコメントもあり、西山先生の綿密な報告加えて、なかなか内容の豊富な報告であった。

 

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