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2011年11月 5日 (土)

TPPの賛成論と反対論に欠落していること

 長谷川慶太郎氏は、経済評論家として私が学生時代から著名である。

 彼の経済予想は時には外れることもあったが、その理由を長谷川氏自身が「ちょっと組み合わせの変数を間違えただけ」とか「使用する方程式を間違った」と言って、その誤りを余り意に介さなかったということを以前に間接的に聞いた。

 経済学の法則や理論は、「こうなれば、ああなる」の組み合わせだが、「こうなれば、そうなる」こともある。経済予測が外れるのは、「ああなる」と思ったことが、予想外に「そうなる」からである。

 TPPに関する賛否は、このような論争のように思われる。自然科学の分野の議論のような印象を私は受けている。つまり、その論争の核心は、マクロ的な経済指標・経済要因の効果を大きく評価するか、小さく評価するかや、どの方程式をTPPの効果に適用するかである。

 しかし実際の経済には、たとえば貿易相手国としての米国やその他の国々の出方や、日本の主体的な政策決定が大きな影響を及ぼす。また為替変動や東日本大震災やタイの洪水のような不測の事態も大きく影響する。

 また、経済理論それ自体に多数の仮定が置かれているので、実際にTPPに参加したからと言って、全部がマイナス効果とか、全部がプラス効果にはならないと思われる。

 以上、要するにTPPに参加するも、参加しないも、それは大きな問題ではない。そのいずれの場合も、政府が主体性をもって行動できるかどうかが問題である。TPPに関する議論で欠落していることは、この政府の主体性の有無である。この主体性とは、言い換えれば、国家戦略とか成長戦略を策定・実行する能力と言ってもよい。

 そういう主体性・戦略性があれば、TPPに参加しても参加しなくても、その条件下において日本の「国益」(より正確には国民の利益)を最大化させることはできると思う。

 最大の不安材料は、そういった主体性がないままにTPPに参加すれば、おそらく米国の言いなりになって日本経済はますます属国化するだろうし、他方、政府の主体性なしにTPPに参加しないとなれば、おそらく日本経済や日本農業における現状のままの停滞が続くであろうし、アジアにおける日本の存在感はますます軽量化するだろう。

 結局、現在の政府では、TPP交渉参加の有無にかかわらず、日本の将来に期待できないということではないか。

 

 

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