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2011年11月 7日 (月)

ベトナムの最低賃金の引き上げ:追加と訂正

 岩井証券(株)のホームページや、社団法人・日本ベトナム経済交流センターの『センターニュース』でベトナムの賃金上昇について、その実態と私見を紹介した。その両者の内容要旨は次のようである。

・岩井証券 http://www.iwaisec.co.jp/
・日本ベトナム経済交流センター http://www.j-veec.or.jp/

 なお、上記センターの拙稿全文のアクセスは会員パスワードが必要である。そこで以下に拙稿で紹介した内容の要点を述べておく。

 (1)例年は毎年1月1日から最低賃金は引き上げられるが、今年は高いインフレのために年度途中の10月1日からの引き上げとなった。

 (2)たとえばホーチミン市では、最低賃金が200万ドンとなり、2008年の100万ドンに比べて3年10か月で2倍の上昇となっている。これによって労働集約的な製造企業は、ベトナムよりもカンボジア・ラオスやミャンマーなどに進出国の変更を検討するようになっている。

 (3)ベトナムに労働集約的な製造業が進出するとすれば、地方の省における工業団地がお勧めである。ただし、製造業では鉄鋼や原油精製など素材産業が発展するので、まだまだ業種を吟味すれば、ベトナム進出の余地は十分である。

 (4)事実、日系企業における一般のワーカーの平均賃金を見れば、ベトナムはタイや中国の半分以下の水準である。

 (5)2008年11月に1米ドルが15,000ドン、1米ドルが95円であるとすれば、現在は1米ドルが21,000ドン、1米ドルが75円になっているとする。このような数値を考えれば、3年間で米ドルに対してベトナムドンは40%の「ドン安」、日本円は27%の「円高」が進行した。

 (6)上記の為替変動に基づけば、2008年に100万ドンの最低賃金の支払いは、日本円で6,333円となる。同様に2011年に2倍の200万ドンの支払いは、7,143円になる。これは、3年間で12.8%の上昇を意味する。

 (7)3年間で賃金が2倍上昇と聞けば、躊躇する日本企業も、13%であれば、それは許容の範囲内ではないだろうか。

 以上の(7)のような指摘は、為替変動によって日本経済・日本企業が大きな影響を受けることを実感させられる。「円高」によるマイナス要因は多々指摘されるが、プラス要因を積極的に活用することが、日本企業には必要であると思われる。

 さて、この拙稿を執筆後に次の誤りに気がついた。つまり、ベトナムの最低賃金は4つの地域ごとに区別されているのだが、適用地域が2011年10月1日から大幅に変更されていることである。これは、次のウェブサイトを参照してほしい。

http://www.hskv.com.vn/vi/thong-tin/quy-dinh/66-minimum-wage-from-oct-2011-to-dec-2012

 上記のサイトによれば、最低賃金の一番高い地域(地域Ⅰ)は、次のように変化した。

2011年1月1日~9月30日(従来):
・ハノイ市とホーチミン市の中心部

2011年10月1日~2012年12月31日(現在)
・ハノイ市の中心区及びGia Lam, Dong Anh, Soc Son, Tu Liem
・ハイフォン市の
中心区及びThuy Nguyen, An Duong, An Lao, Vinh Bao
・ホーチミン市の中心区及びCu Chi, Hoc Mon, Binh Chanh, Nha Be
・ドンナイ省ビエンホア市及びNhon Trach, Long Thanh, Vinh Cuu, Trang Bom
・ビンズン省Thu Dau Mot, Thuan An, Di An, Ben Cat, Tan Uyen
・バリアヴンタウ省ヴンタウ

 このような地域の拡大は、工業地帯が都市中心部から周辺都市に拡大していることを示している。私見では、今回のような変則的な時期での「賃上げ」は、ベトナム政府の迅速な民意の吸収を意味しており、政治安定には不可欠なことであったと評価されうる。

 以上、訂正したいと思います。

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