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2011年10月13日 (木)

キャッチアップ行程の呪縛から脱却

 兵庫県を中心とした社会人向け教養講座である「マイスターゼミナール」で講演した。「アセアン経済共同体の課題」というテーマであったが、内容は「中所得国の罠」や今話題のTPPについてであった。

 「中所得国の罠」の議論の大前提は、日本や欧米が先進国であり、そういった国々に追いつかなければならないが、そのための障害=罠があるという考えである。

 どのような人々も国籍を問わずに豊かな経済・民主主義・人権などを享受することは、誰もが認める理想であろう。いわゆる貧困国が豊かな国に追いつこうとするのは当然である。しかし、その過程もしくは行程は様々であってよいと思う。

 戦後日本の経済発展は、国内市場を徐々に開放することで成功してきた。段階的な市場開放が競争圧力となって技術開発や生産技術向上を加速してきたのだと思う。

 これに対して、中国やアセアン諸国を含むアジアの発展途上の国々は、最初から自由貿易そして市場開放が強制されている。かつての日本と前提となる環境が異なっていると見なされる。

 アジアの発展途上国や中所得国は、自由貿易・市場開放のための国内環境整備にかつての日本のような十分な時間がない。

 そのために実際には、中国を含むアジア諸国は外国企業の直接投資によって、この国内環境整備のための時間を節約しようとしている。これも過去の日本とは事情が異なる。

 こういった経済環境の相違を考えれば、たとえば日本や韓国が経済発展した過程や行程は、現在のアジア諸国には参考になるにせよ、そのまま踏襲されるべきものではないかもしれない。すべての社会現象に対して固定観念にとらわれてはならないと私は考えている。

 以上、私見であると断りながら、受講生の皆さんにお話しした。

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