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2011年10月19日 (水)

ベトナムは「TPPの罠」を警戒しなければならない!!

 私は、ベトナムがTPP参加を検討するといことに賛成であるが、日本のTPP反対論の論稿や著書を読むにつれて、ベトナムもTPP加盟に十分な警戒が必要ではないかと思うようになった。

 ベトナムのTPP加盟に米国は「罠」を仕掛けていないか。これに警戒が必要である。

 ベトナムは、米国型市場経済の導入を敬遠して、日本型市場経済を採用したと私は認識している。このことは、市場経済化の「マスタープラン」の作成を日本に依頼したことから判断できる。いわゆる「石川プロジェクト」である。

 世界銀行やIMF(国際通貨基金)のエコノミストによるベトナムに対する従来の助言や提言は、米国型市場経済を前提にしているけれども、それにベトナムは従わなければならない。世界銀行やIMFの融資や援助が中止されると、日本のODA(政府開発援助)も中止されるからである。

 日本は「すそ野産業」育成をベトナム政府に以前から提案しているが、それを世界銀行やIMFが賛成・支援することは私の知る限りなかった。「すそ野産業」育成が、日本の大企業や中小企業にとってベトナムでのビジネス拡大につながり、日本のメリットになるが、米国のメリットにならないからである。

 このような状態でベトナムが現在まで経済運営してきたとすれば、それが今日までのベトナムの首尾一貫しない経済政策の原因の一つと言えるかもしれない。

 さて今回、ベトナムがTPP加盟すれば、それは、ベトナムが米国型市場経済に転換することを意味する。そのことによってベトナムは中国経済体制と明確に差別化して、新たな制度的な基盤での経済発展を志向していると思われる。その意図はよいのだが、それが思う通りに実現するのであろうか。

  TPP加盟となれば、米国の得意分野である金融業・サービス業・農業などにベトナム産業政策の重点が移り、日本にとってメリットのある「すそ野産業」育成の比重が軽くなるのではないか。これは日本にとっての懸念材料である。

 しかし、もちろん日本は従来の通り独自に「すそ野産業」支援を継続するであろうから、そうなれば、日本と米国の重複しない産業分野において日米からの支援・投資・商機をベトナムは受ける可能性がある。これは、ベトナム経済発展にとって大いなるメリットである。

 ここでの問題は次のことである。TPP加盟は、ベトナム固有の社会主義思想を浸食することにならないのであろうか。米国に接近することで、逆に「社会主義国」としての理念が弱体化することはないのであろうか。

 もしそうであれば、それは、かつての「ベトナム戦争」の敗北に対する米国の非軍事的な「リベンジ」とみなされるかもしれない。

 以上、私の考えるベトナムにおける「TPPの罠」とは、TPP加盟による経済的変化が政治的改革に派生する懸念があることである。その政治的改革が民主的に穏便に進むのであれば好ましいことであるが、政治的な紛争や不安定性を伴うとすれば、それはベトナム経済の安定成長にとっての「リスク」となる。

(注:ここでいう「ベトナム固有の社会主義」とは、かつてのソ連型社会主義とは異なる。その固有性をベトナムは「ホーチミン思想」と表現している。資本主義にも米国型や日本型や韓国型があるように、社会主義にもいろいろあると考えるのが公平である。なお、より正確にいえば、ベトナムは「社会主義をめざす国」であり、すでに完成した「社会主義国」ではない。)

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2011年10月17日 (月)

植木職人に弟子入りしたい・・・

 10月14日から17日まで大学は、学園祭の準備と後片付けで休講であった。

 私は、15日(土)に学園祭の様子を見に行った。この日の特別講演会の講師は、アナウンサーの辛坊治郎氏であったが、500名規模の大教室が超満員の盛況であった。特に年配の方々の来場者が多いように思われた。

 大阪府知事選挙に出馬表明というようなことはなく、最近の政治情勢をお話されたようである。私は、お好み焼きを模擬店で食べて、吉田寛先生(神戸商科大学:現在は兵庫県立大学の名誉教授、さらに流通科学大学名誉教授、84歳)の講演会に参加した。吉田先生は、兵庫県の元公安委員長をされた先生であり、国際会計がご専門である。

 こういった時間を過ごしながら、自宅では肉体労働い従事した。狭いながらも自宅の庭の「棒樫」と「レッドロビン」の生け垣を剪定した。

 学問の世界でも師匠が必要であるように、植木の剪定にも師匠が必要のように思われた。それなりの一人前になるために剪定では何年が必要なのであろうか。

 右の手の人差し指や親指の皮が剥けて、全身は充実した疲労感で満たされている。

 大いに気分転換して、またパソコンに向かった仕事に取り組みたいと思う。

 

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2011年10月16日 (日)

TPP反対には「日米同盟」破棄の覚悟が必要ではないか?

 TPP加盟の交渉参加について反対論が多数の書籍で展開されている。

 いくつかの反対の論点に私は納得できるのであるが、それでも政府はTPP加盟の方向に舵を切ると予想される。

 その理由は、TPP反対のためには、極端に言えば「日米安保」破棄の覚悟が必要と思われるからである。TPP反対が成就するためには、「安保破棄」もやむなしという勢力の拡大が必要になるのではないか。

 もし「安保破棄」は言い過ぎであるとすれば、少なくともTPPは貿易自由化や農業改革といった単純な経済問題ではなく、極めて政治的な問題であると指摘できる。

 米国に対して本気でモノを言える政治家が何人いるか? 欧米崇拝主義・事大主義的な政治家もしくは学者には、TPP反対を貫徹することは無理であろうと思われる。TPP反対は「反米運動」(注:この米はコメではなくアメリカ)と同義とみなされるのではないか。たとえTPP反対論者が、そのように意図していなくてもである。

 この情勢を考えれば、国民のTPP反対の意見はあるにせよ、それが日米同盟の反対も辞さないという覚悟がなければ、それは賛成に飲み込まれてしまうであろう。これが、TPP論争についての私の予想である。

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2011年10月15日 (土)

TPPの議論活発化:米韓FTAに関連して

 TPPの議論が日本で活発化している。

 韓国と米国の自由貿易協定(FTA)が、10月13日に米国上下院で批准され、訪米中の李明博大統領が大歓迎されていると報道されている。さらに米国にとって今後は日本よりも韓国が同盟国として信頼できるというような新聞論調もある。

 日本でTPPの議論が活発化している絶好のタイミングである。「韓国に遅れを取るな!」「日本もTPP加盟で韓国と対等以上の競争条件を米国で確保しなければならない」。

 米韓FTAが、日本のTPP加盟を促進する世論の誘導効果がある。

 米国または日本が、このようなタイミングを仕組んだとすれば、まさに絶妙の戦略である。

 

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2011年10月13日 (木)

キャッチアップ行程の呪縛から脱却

 兵庫県を中心とした社会人向け教養講座である「マイスターゼミナール」で講演した。「アセアン経済共同体の課題」というテーマであったが、内容は「中所得国の罠」や今話題のTPPについてであった。

 「中所得国の罠」の議論の大前提は、日本や欧米が先進国であり、そういった国々に追いつかなければならないが、そのための障害=罠があるという考えである。

 どのような人々も国籍を問わずに豊かな経済・民主主義・人権などを享受することは、誰もが認める理想であろう。いわゆる貧困国が豊かな国に追いつこうとするのは当然である。しかし、その過程もしくは行程は様々であってよいと思う。

 戦後日本の経済発展は、国内市場を徐々に開放することで成功してきた。段階的な市場開放が競争圧力となって技術開発や生産技術向上を加速してきたのだと思う。

 これに対して、中国やアセアン諸国を含むアジアの発展途上の国々は、最初から自由貿易そして市場開放が強制されている。かつての日本と前提となる環境が異なっていると見なされる。

 アジアの発展途上国や中所得国は、自由貿易・市場開放のための国内環境整備にかつての日本のような十分な時間がない。

 そのために実際には、中国を含むアジア諸国は外国企業の直接投資によって、この国内環境整備のための時間を節約しようとしている。これも過去の日本とは事情が異なる。

 こういった経済環境の相違を考えれば、たとえば日本や韓国が経済発展した過程や行程は、現在のアジア諸国には参考になるにせよ、そのまま踏襲されるべきものではないかもしれない。すべての社会現象に対して固定観念にとらわれてはならないと私は考えている。

 以上、私見であると断りながら、受講生の皆さんにお話しした。

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2011年10月11日 (火)

国際社会に対して恥ずかしくないか?

 大阪維新の会が「教育改革」を提起し、それが大阪府知事と大阪市長の選挙の争点になるようである。東京電力の原発事故や、九州電力の「やらせメール」の対応についても批判がある。また当面の最大の争点は、原発存続の可否である。

 そのほかに沖縄の米軍基地移転など議論となっている国内問題が多々あるが、そういった問題を国際的に見て妥当・適正に日本は処理できているのであろうか。

 日本の国内問題として日本人が自主的に問題解決することは当然であるが、その解決策が国際的な評価に耐えうるものかどうかにも配慮しなければならないと思う。今は、そういうグローバルな時代である。

 「さすがに日本は違う」。こういう評価を政治・経済問題で外国人から受けたことは最近では寡聞である。

 もちろん東日本大震災における冷静で忍耐強い日本人の対応や、スポーツ分野の「なでしこジャパン」や「イチロー」は「さすが」と国際的に高い評価があった。

 これらと同様に「さすがに日本は違う」という国際的な評価を政治・経済分野においても受けるように期待したい。そのためには、われわれ日本人=日本国民の自覚・決断・行動が必要であると思う。

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2011年10月10日 (月)

東京の講演会が無事に終了:ENTの現状は?

 東京商工会議所江戸川支部が主催する講演が10月6日に無事に終了した。多数の皆様のご出席に感謝を申し上げます。

 講演後に、ENT(Economic Needs Test:経済的必要性テスト)の見通しについて質問があった。このENTとは、日本の大店法のような規制であり、外国小売企業の野放図な進出を規制する趣旨である。

 外国小売業が進出しようとする地域の人々にとって、その進出に「経済的必要性」があるかどうかという意味であろうと解釈できる。注:法令の紹介は別途にしたい。

 この必要性という意味は、国内企業を保護する趣旨であるから、私の理解では、次のような対応になっている。

(1)外資企業:1店舗は出店できるが、2号店の出店は簡単ではない。
(2)ベトナム企業:チェーン展開は問題なく可能である。
(3)外資との合弁企業:1店舗目を出店し、その後1年が経過すれば、フランチャイズ店舗展開が可能な認可に変更できる。 

 本ブログで以前に紹介したファミリーマートは、合弁相手のフータイ社と協力して、上記の(1)・(2)・(3)すべての形態の企業を設立して、店舗網の展開を加速させようとしている。

 

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連合艦隊司令長官はどの船に座乗されますか?

 表題は、映画「男たちの大和」の台詞のひとつである。

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 連合艦隊の最後の作戦として戦艦大和が沖縄に出撃する時、この台詞に続いて、大和の将校が連合艦隊参謀長に厳しく質問する。

 「なぜ連合艦隊司令長官や参謀長は、防空壕から出て自ら陣頭指揮を執らないのか?」

 この質問は、今日の日本企業・日本社会の「無責任体制」を想起させる。特に今日の原発事故では、その責任の所在が未だに明確にされていない。

 世界が注目する原発事故で、その責任も明確にできないようなら、そういった日本に対する信頼も失われるのではないか。あるいは、もう失われているのかもしれない。

 責任を取りたくなければ、最初から責任の伴う役職を固辞すべきである。役職を誇示する人は多いが、それを固辞する人は少ない。責任を取る。この心構えを失いたくないと自省している。

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2011年10月 9日 (日)

TPP参加に賛成か?反対か?

 日本がTPP(環太平洋連携協定)参加の協議に参加するかどうか。野田政権の当面の大きな問題となっている。

 この問題について私見を述べることは難しい。個人的に反対であるが、全体としてやむを得ないと私は判断しているからだ。したがって、ある時は明確に反対を主張するのだが、ある時は「結局は協議に参加することになるでしょう」というような見解を述べている。

 まず、TPP参加に反対の論拠は、現在デフレ(物価下落)の日本経済において、さらなるデフレを促進する政策に賛成できないからである。日本の農業が壊滅するということが一般の反対の論拠であるが、それよりも前に日本経済全体の影響を考えるべきである。

 TPP参加がデフレを進めることになれば、価格競争はさらに激化し、それはコスト削減と人件費抑制を今よりも加速する。これは、大学生の就職難が継続し、より一般に雇用不安が増大することを意味する。

 デフレ脱却の経済政策を政府が提示してから、TPP加盟の可否を検討するというのが経済的には正論であろう。

 次に、結局はTPPに参加することになるという根拠は、日米同盟の維持が最優先にならざるをえないからである。戦後日本の政策基盤が「日米同盟」、より正確には「対米従属」であり、そこからの脱却は、おそらく現状の政治力学の方程式の解答ではないと考えられるからである。

 難しい理屈は必要ない。米軍基地を国土に抱えている日本が、米国が参加を促すTPPを拒否できるはずがないのである。

 日米同盟という政策基盤を揺るがすような政治家がどうなったか。日中国交回復を実現した田中角栄、そして中国を重視する小沢一郎。米国の意向に反した政治家を回顧・想起すれば、現状の自己保身を優先する政治家ならTPPに反対できないのではないか。

 いずれにせよ、われわれ自身のTPPの理解を深めるために、さらなる情報や見解が報道・開示されることが望まれる。

 

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