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2011年4月30日 (土)

SON CON寺の遠足:ニワトリとブタの悲惨な話

 4月30日は祭日。北ベトナム軍が1975年に南ベトナムを解放した日である。その翌日は5月1日。いわゆる「メーデー」の祭日である。この2連休が土曜日と日曜日に重なるために、その後の5月2日(月)・3日(火)がベトナムでは振り替え休日となった。

 この4Cimg4253連休の30日はハノイ郊外のソンコン寺に遠足、その後はラオスを訪問することにした。ソンコン寺の遠足の様子は別の機会で紹介したので、ここでは昼食の様子を紹介したい。ニワトリとブタの屠殺の現場を紹介する。

 一般にベトナム人運転手は道路やその沿線の食堂の事情は詳しい。「美味しくて安い所に行こう」と言えば、ほとんど適当な場所に連れて行ってくれる。この場合、もちろん運転手と一緒に食事をして、栄養ドリンク1本を買ってあげて「ありがとう、頑張ってね」などと言う。ベトナムで運転手と遠くに移動する時の私流の方法である。

 写真の左の男性は、ニワトリの羽を取っているところである。丸い金属製の容器は洗濯機のようになっていて回転し、上から水を流す。熱湯で殺害されたニワトリは、この中でCimg4248自然に羽がむしられて、水とともに羽が下から出てくる。

 20年前以上ネパールでニワトリの首が切られるのを見たことがあるが、ベトナムでは静かに屠殺される。

 ブタは、かなり可哀相である。食事をしていて「ヒーヒー」という鳴き声が聞こえてくる。いくら私の好奇心が旺盛といっても、ちょっと遠慮したい光景であろうと想像された。その後の遺骸を見れば、おそらくノドを切られたようである。

 Cimg4260 鮮なニワトリは、歯ごたえと深い味わいのあるローストチキンとなる。もちろん地鶏である。

 これを肴にして、好物のハノイビールで昼の一時を過ごす。日本では考えられない贅沢である。

 この店、左の写真を参照である。店名は、バッカン(BAC CAN)食堂。テーブル席も座敷席もある。おそらく日系企業の日本人であろうと思われたお2人も食事をされていた。地元では有名店であろうと思われる。

 

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2011年4月29日 (金)

4月29日からベトナムとラオスです

 4月29日からハノイに来ています。その後の様子を写真で紹介します。

Cimg4087  これは堺市内のお米屋さんです。空港バスの車窓からの写真です。

 阪神高速が事故のために迂回走行で関西空港まで向かいましたが、その途中の風景です。

 顧客に対する訴求力は、かなり高いレベルかもしれません。何でもかんでも儲かれば手を出そうとするベトナム企業には参考になるメッセージです。

 自社の競争力の源泉は結局は何か?それを蓄積して洗練させることが重要ではないか。もし多角的な事業を始めたいのなら、いわゆる持ち株会社を頂点とする企業グループの持ち株会社のオーナーを目指すべきです。それぞれの事業は、その道の専門家に任せる。

 このような場合、オーナーは自己の経営理念を堅持し、事業全体の調整役と先導役を果たせば良いのです。

 実際、成功しているベトナム企業は、このような経営システムを実践しているのではないでしょうか。

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2011年4月27日 (水)

ホリエモンの有罪確定

 ライブドアのホリエモン氏の有罪が最高裁で確定した。以下の記事を参照。

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-94262/1.htm

 これによれば、ホリエモン氏は「なぜ自分だけが摘発されるのか? ほかの企業も同じことをしてるのではないか?」といった意味の言い訳をしているように思われる。

 このようなコメントには、日本社会の特徴と言えるかもしれないが、「出る釘は打たれる」という日本的な社会背景がある。その「出る釘」になってしまったホリエモン氏は、自らがそうなることを「想定」していなかったのであろうか? この意味では、彼の自己責任または自業自得ではないか?

 法律を厳守するためには、禁欲的な行動を求められる。たとえば横断歩道で信号が赤であっても、自動車が走っていなければ、つい渡ってしまいたいという衝動にかられることは頻繁である。

 また「出る釘は打たれる」ことを避けようとすれば、常に謙虚さが求められる。「実ほど頭を垂れる稲穂かな」である。

 ホリエモン氏の有罪確定に伴って、以上のような自己責任・自業自得・禁欲・謙虚というようなキーワードが想起される。

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2011年4月24日 (日)

ベトナム人の皆さんに大きなお礼の看板

 ベトナムから多額の義援金が、東日本大震災に集まっている。統計的な検証をすれば、各国の経済規模から考えて、その義援金額は世界トップクラスではないかと想像される。

 このような厚意に対して国民に代わってハノイの日本大使館は、大きな看板でお礼と感謝の気持Dscn9830ちを表明した。

 ハノイ滞在中の板東あけみさんから写真を送って頂いたので、少し遅くなったが、ここに公開したい。

 この日本大使館の通りの角には、ハノイ大宇ホテルがあり、その隣にはロッテグループが巨大なショッピングセンターを建設中である。おそらくその上からは、日本大使館や大使公邸が見下ろせるのではないかと思われる。

 不動産・建設の分野で日本企業の進出は僅少であり、外観からの日本の存在感はベトナムで薄いように思われるのだが、ベトナム人と日本人の心情は親密に結びついている。そのような関係を象徴するような大看板である。

Dscn9829  

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2011年4月15日 (金)

こうなれば自己責任しかない

 レベル7の原子力発電所の事故が依然として解決していない。その状況下で政府が信用できないとなれば、残された道は自己責任しかない。しかし、新しい政府を求める声も強い。しかし「新しい」ことだけで、その新しい政府の政策は吟味されているのか。これが私の今回の問題提起である。

 政府が、国民に対して「自己責任」を強調すれば、それは政府の責任を放棄している。「政府を信用しないで勝手にやってくれ」と言っているのと同じである。

 これまで、「自己責任」を強調する趣旨の発言や行動をしてきた政治家が多数いたが、それは、いわゆる「平和」な時の話であり、今日の「国難」の時期に国民に「自己責任」とは明言できないであろう。

 少なくとも政府は、自己責任を取れるだけの判断材料となる客観的・科学的な情報が公開しなければならない。また自己責任といわれても、どうすればよいかわからない、または、どうにもできない人々の支援・救済をする責任がある。

 このような観点から、現在の政府さらに新しい政府のあり方が検討されなければならない。「新しければ良い」という発想だけでは、今日の「国難」には対処できない。 

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2011年4月13日 (水)

「ゴジラ」と「帝都物語」を想起させる日本

 福島原子力発電所の事故が、被害最高の「レベル7」に認定された。これは世界史に残る大事件である。

 原子爆弾の投下で被害を受け、さらに原子力発電所の事故でも被害を受ける。この意味で日本は世界で希有の国となった。

 原子力の被害国として日本は世界で最も発言できる客観的な体験を積んだことになる。ただし、日本自身が有効な発言=情報発信を実際にできるかどうかは別の問題である。外国人研究者が日本人と原子力について調査研究するかもしれない。それほどに日本は希有の国となった。

 さて、私が子どもの頃に日本映画の名優ゴジラが登場し、さらに今の大学生の子どもの時代にもゴジラが再び活躍した。原爆実験で生まれたゴジラが、その被爆国である日本を破壊する。東日本大震災の映像は、このゴジラ映画を想起させた。

 また、今回の原発事故では、一般に指摘される小松左京の『日本沈没』よりも、荒俣宏の『帝都物語』を私は連想した。どちらも今日の事態を部分的に予測した小説である。

 『帝都物語』には故・三島由紀夫が実名で登場するが、その三島と親交が深かった石原慎太郎が都知事に出馬発表する日に地震が発生し、そして圧倒的に当選する。これも因縁なのかと思わせた。

 私は何事にも常に楽観論者を自認しているが、さすがの私も今回の「レベル7」では悲観的な日本の状況を考えざるをえない。暗澹たる気持ちである。

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2011年4月11日 (月)

ハノイの小松みゆきさんがNHKラジオ出演

 ベトナムの大先輩であり、このブログからリンクしている「☆はぐれ星通信☆」を連載中の小松みゆきさんが、4月8日にNHK「ラジオ深夜便」に出演された。

 ベトナム人の日本の被災者への支援などについて話された。小松さんによれば、これまでは90歳を超えるお母様と一緒にハノイで生活されて、ベトナムの敬老精神の貴重さを実感されたが、今回の東日本大震災ではベトナム人の助け合い精神を強く感じたと言われている。

 すでに指摘したように、ベトナムには「祖国戦線」という協力な助け合いの支援団体が存在している。政府組織のみならず、共産党組織そして共産党の外郭団体としての祖国戦線などが貧困層などを何重にも支援しているとみなされる。

 ベトナム人が、これまで友好関係を深めてきた日本の大震災を無視できないと考えることは自然のことと私には思われる。そういう人情がベトナム人には健在であると思う。

 私が顧問をしているロータス投資運用会社は、ハノイの日本大使館に義援金を届けたし、さらにハノイの寺院に社員全員が参拝したそうである。 

 参照:http://www.lotusimc.com/home/index.php?NN=3

 日本では普通は「黙祷」で十分だと思うのだが、わざわざ寺院参拝とは有り難いことである。ベトナム人の厚情に感謝しなければならない。

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2011年4月10日 (日)

企業も大学も変革の時代を迎えた

 大学が変わる。

 かつての受験生が順調に増える時代と違って、少子高齢化が進む日本で受験生の減少は避けられない。こういった環境の変化に対して大学も変わらざるをえない。

 高度経済成長の時代は、どのような経営をしても企業は成長できた。売り上げが伸びている時代に経営手腕の善し悪しは問われなかった。これは企業経営の場合だが、大学も同様であった。

 しかし今、環境変化によって経営能力が企業にも大学にも問われることとなった。このように指摘する時、これまでの大学内部に経営能力が蓄積されてきたのであろうか。さらに、そもそも大学に「経営」が存在したのであろうか。そのような状況の中から次のような書籍が出版されても不思議ではない。

 寺田篤弘『壊れる大学・ドキュメント日本大学・国際関係学部』人間の科学新社。

 元日本大学教授による大学経営の内部告発である。本書の特徴は「異を唱えるとクビ。無能化した教授会。どの大学にも潜在するスキャンダル」と指摘されている。

 私の勤務先の流通科学大学では、建学の理念である「実学」の府であることを自覚しながら、大学教育の原点に返ることが指摘されている。これは「差別化戦略」として有効と思われる。果たして、それが受験生に受け入れられるかどうか。来年度の受験者数で実証される。

 大学が変わるということは、そこに勤務する大学教員も変わらなければならない。企業も大学も変化・変革が求められる時代である。この自覚が必要であろう。

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2011年4月 7日 (木)

ベトナムも中国も進出の狙いは地方の工業団地

 4月6日(水)、大阪のTFG税理士法人(http://www.tfg.gr.jp/Index1.html)の「TFG共栄会」が主催する「中小企業戦略:躍進するアジア経済との共生を語る」というシンポジュウムがあった。中国・ベトナム・タイの企業経営事情を中小企業の経営者に紹介することが目的である。その報告者は次の通りであった。

コーディネーター: 湯浅哲彦氏 (経営コンサルタント)
コメンテーター:
○上田義朗氏 (社団法人・日本ベトナム経済交流センター)
○魚谷禮保氏 (大阪ウェルディング工業株式会社)
○香川忠利氏 (Hoei (Thailand) Co., Ltd.)

 そこで魚谷氏が、中国の工業団地に進出されたご経験に基づいて発言されたが、その内容のいくつかはベトナムにも妥当すると思われた。その要点は、中小企業の今後の進出先は地方の工業団地ということである。

 ベトナムではホーチミン市やハノイ近郊の工業団地では、労働力不足また賃金上昇が当然となっている。インフレが10%を超えているベトナムでは、賃金の上昇圧力は強い。また賃金の高低による労働者の移動は当然となっている。

 最低賃金で多数の労働者が集まったベトナム進出は、もはや夢物語となったように思われる。それでは中小企業はどうすればよいか。ベトナムの次と考えられる隣国のカンボジア・ラオスそしてミャンマーやバングラディッシュに進出先を買えなければならないのであろうか。

 しかしベトナムのインフラの向上は顕著であるし、中国よりも賃金水準は半分程度である。また労働力の質や日本との政治関係は世界で最も良好である。進出先としてのこれらの魅力は捨てがたい。

 私見では、そこで考えられる戦略はベトナムの地方進出である。これまでホーチミン市やハノイに仕事を求めて「出稼ぎ」に出ていた労働力を地元で吸収することを目的にして、地方都市で工業団地が多数設立されている。

 これらの労働力は都市部に比較して低賃金であるし、ジョブホッピングの頻度も低いと思われる。地方と都市部とのアクセスはインフラ整備(高速道路の建設など)で大きく改善している。

 ベトナム進出の場合、検討されることは地方の工業団地である。中国の地方における工業団地に進出して成功された魚谷氏のお話を聞いて、このことを確信することができた。

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2011年4月 5日 (火)

過渡期のベトナム:新たな経済成長段階に進む(2・完)

 ベトナム型の経済成長モデルについて、最近になって次の見解を私は披瀝した。重複するのも煩雑なので、それらを参照してほしい。

1.岩井証券ホームページ「上田義朗の週刊ベトナムレポート」、4月4日。
  参照:http://www.iwaisec.co.jp/

2.『ファイナンシャル・ジャパン』2011年5月号、「世界投資案内:ベトナム」90~97頁。

 さて「○○型の経済成長モデル」といった話になると、まさに今、東日本大震災の後の「日本型の経済成長モデル」を体系的に新たに議論・検討しなければならないであろう。

 これまでのような「市場原理主義」経済モデルは、福島原子力発電所事故で完全に破綻したと私は思う。「原子力」という人類全体の存続に影響を及ぼす「商品」は、企業利益至上の市場原理=民間企業では管理できないことが明確になったからである。

 そのような議論・検討ができる場所が、果たして日本にあるのだろうか。当然、それは政府と国会の役割であるが、それが可能なのであろうか。日本そして日本人の政治的力量が問われる「試金石」の場面を今まさに迎えているように思われる。

 そういった新たなメッセージを世界に発することができれば、それは世界の中の日本の評価を格段に高めることになるし、日本の被災に対する支援の国々に対する返礼の意味をもつことになる。

 

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2011年4月 4日 (月)

ベトナム「祖国戦線」の活動(3・完):ベトナムの「底力」を体現

 今回のベトナム訪問時に「祖国戦線」に関するで次の2つの新聞記事が目に付いた。

 1.祖国戦線が貧困層向けに3億1,510万米ドルを調達Viet Nam News, March 18, 2011.: 祖国戦線は、貧困な人々を支援するために個人または組織から6兆5700億ドン(3億1,500万ドル)以上を昨年に調達した。その資金は社会福祉プロジェクトと恵まれない人々のための8万5千軒を超える住宅の建設と改修に使用された。

 2.ベトナム共産党と祖国戦線がペルーを訪問Viet Nam News, March 25,2011.: ベトナム共産党とペルー共産党:赤い祖国の代表団は、友好と相互協力の拡大と強化の方法について3月21日から23日にペルーで会談をもった。それ以前の3月17日から19日にベトナム代表団はメキシコ労働党の招待でメキシコシティの国際ワークショップに出席した。

 第1の記事は、祖国戦線の集金力に驚かされる。また、これがベトナム社会の「底力」と認識するべきである。いわゆるマクロ的な経済統計だけに注目すれば、ベトナム経済は危機的状況とも言われたことが何度もあったが、ベトナム経済は健在であった。その不思議な「種明かし」は、このような祖国戦線の活動と言えるかもしれない。

 私の知人に祖国戦線のメンバーである企業経営者がいる。彼は富裕層とみなされるが、自分のためだけにお金を使うのではなく、この記事のような多大の社会貢献をしているのだと想像される。

 第2の記事は、ベトナムのTPP(環太平洋連携協定)加盟の事前準備であると思われる。ベトナム・メキシコ・ペルーはAPEC加盟21カ国・地域に含まれ、その中でペルーはベトナムと同じくTPP加盟を検討中である。このようにベトナムの「全方位外交」に注目される。この代表団の中にも祖国戦線が含まれていると想像される。(注:記事の見出しには祖国戦線の名前があるが、本文には触れられていなかった。)

 以上、ベトナム祖国戦線の経済的・政治的・社会的な役割の重要性を指摘した。ベトナム経済分析において祖国戦線を無視できないと私は思うし、また無視していては的確な分析はできないのではないか。

 

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2011年4月 2日 (土)

原発事故:関東・関西の「学者」気質の相違

 関西と関東の学問的な風土や気質の相違について私の大学院生時代に聞かされたことが、今回の「福島原発事故」に当たって思い出される。

 関東の学者は中央政府に近い。大企業の本社に近い。マスコミの本社に近い。何らかの取材やコメントをマスコミ(新聞・テレビ・雑誌)から求められる場合、大部分は関東の学者で充足できる。

 換言すれば、関東以外の学者にコメントや取材の依頼がある場合、その内容は関東の学者で回答できないことを意味している。このような「東京そして関東で勝負できる専門的な学者になりなさい」という励ましが、「関東以外の学者」に属する私の記憶に残っている。

 この発言は、故・松井和夫先生(日本証券経済研究所大阪研究所主任研究員・大阪経済大学教授)からだったと思う。松井先生とは、大阪北浜の研究所でお世話になり、何度も一杯飲んだ間柄であった。このようなことを書くと、涙が浮かぶ・・・・・・。

 さて同時に「関東以外の学者」は、中央政府や大企業やマスコミの影響を余り受けずに自由に研究できる。それが自由な発想を生み、中央政府やマスコミに左右されない独創的・革新的・客観的な研究の前提条件になっているとみなされる。

 これは、「権威志向の東京大学」と「自由闊達な京都大学」という典型的な「ステレオタイプ」の関東と関西の特徴付けを想起すれば、よく理解できるであろう。実際は、このように明確に区分できない。当然に住居地に無関係に人間性は様々である。

 しかし私見では、3月31日に発表された「兵庫県震災復興研究センター」の原発事故の緊急提言を本ブログで紹介したが、それは「関東以外の学者」の心意気であると思う。

 もっとも「関東以外の学者」も中央政府やマスコミに接近しようとすることは多々ある。それはそれで関東の学者に競争を挑んでいるのである。

 テレビに多数の原子力専門家が登場するが、それぞれの学者がどのような背景をもっているのか興味の要点である。原発を推進してきた学者が、臆面もなく原発事故の解説をしているとすれば、それは学問の堕落としか言いようがないようにも思われる。

 

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2011年4月 1日 (金)

兵庫県震災復興研究センターからの緊急提言

 兵庫県震災復興研究センターは3月31日、緊急提言を発表しましたので、お知らせします。私の知人からの情報です。

・・・・・・
2011年3月31日

福島第一原子力発電所事故対応への緊急提言

                     兵庫県震災復興研究センター

 東京電力(東電)は東北地方太平洋沖地震の前、同社HPで「過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています。また、発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています」と、万全の津波対策を表明していました。

 ところが福島第一原子力発電所はこの度の地震津波でブラックアウトし、冷却機能喪失という重大事故を引き起こしました。しかもその後の緊急対応は後手、後手の場当たり対応に追われ事故状況をますます深刻化させ、地震発生から20日が過ぎ、放射能汚染は陸海空域に広がる中で、事故の状況は一向に収束する方向が見えてきません。

 このような絶望的危機に陥りかねない事態を引き起こした東電の責任は重大だと言わねばなりません。しかし今は東電の責任を云々している時ではなく、危機的事態をいかに収束させるかです。最悪の事態回避を願って、以下のことを緊急提言致します。

1.国は先に立ち上げた対策チームに的確・迅速な指揮権限を持たせ、機動力をもった対策チームにすること。また、東京電力をその指揮下におくこと。

  この間の推移をみれば、東電および原子力安全・保安院の危機管理能力への疑問は増幅するばかりである。東電は対策チームの指揮下に入り、その指示のもとに、持てるすべてを投入して事態収束作業に専念する。なお、対策チームは、原発メーカーの重用を図ることも重視すべきである。

2.すべてに優先して、一刻も早く安定した循環冷却機能を回復するのに全力を投入すること。

  建屋地下やトレンチの放射性滞留水の早急かつ慎重な除去ももちろん重要であるが、いま万難を排して優先すべきは、圧力容器と使用済み燃料保管プールの循環冷却機能の回復である。それなくして事故の収束はもちろん、避難解除の見通しも放射能汚染浄化の展望も見えてこない。

3.冷却機能の回復方策については、原子炉建屋地下既設冷却設備復旧にこだわらず、たとえばタービン建屋の地上フロアあるいは建屋外部など、作業可能な放射線量率の場所に応急の循環冷却設備をつくり、これと蒸気・復水・給水管など圧力容器につながる配管を活用するといった別方策を検討すること。

  地下に設備されている冷却設備の復旧にこだわっていては、時間を空費する恐れがある。その復旧のためには、大量の高濃度放射性滞留水を除去しなければならず、何日もかかって除去したからといって、海水や 放射性滞留水に冠水していて復旧できる可能性は小さく、たとえ復旧しても、これまでの海水注入で何トン・何十トンという大量の塩分が圧力容器内に溜まっており、その塩分で配管系統は閉塞し、水が流れない可能性が大きい。最悪の事態に至るまで残された時間は多くない。従って、上記のような応急手段、あるいはもっと別の手段があればそれの構築に一刻も早く取りかかるべきである。

4.3月30日、経済産業大臣と原子力安全・保安院が出した原発事業者に対する「緊急安全対策」の指示に止まることなく、根本解決に向けての施策を追求すること。

    「津波により交流電源供給、海水利用原子炉冷却機能、使用済燃料貯蔵槽冷却機能すべてが喪失した場合の緊急安全対策」として指示したものだが、その内容は極めて限定的である。すなわち、

 ①今回のような非常事態には、迅速・的確な緊急対応能力を持つ人的体制が不可欠だが、今回の事故で明らかになった東京電力や原子力安全・保安院の能力欠如に対する抜本改革に触れていない。

 ②災害事象を津波に限定している。

 ③指示している原子力安全保安院の具体策は、つまるところ「電源車と消防車を活用せよ、そのための訓練をせよ」と言っているだけと読み取れる。

 これでは、この度の事故で行ったおおわらわの対応策を追認し、これからは遅滞なくそれができるようにせよ、と言っているに過ぎない。従って、今回の指示はとりあえずの一歩であって、引き続き第二、第三と根本解決に向かう施策が追求されなければならない。

5.国内既設諸原発を総点検するとともに、建設中・計画中原発は中止すること。

(1)総点検では、とくに非常用冷却システム、残留熱除去システム、電源設備、冷却用海水の取放水設備、送受電設備などの耐震・耐津波・耐洪水・耐土砂崩れなどにかかわるハード面、および災害発生時の緊急対応 体制などソフト面を点検し、堅牢化、冗長化、より安全な設置位置、緊急対応体制の立て直しなど、安全対策を早急に実施し、それらの点検と実施対策の結果を公表すること。

(2)国は、点検と安全対策の審査を実施するための関連諸分野の専門家からなる組織を原子力安全・保安院と切り離して設置して、安全性を審査して公表すること。

(3)福島第一原発など旧型BWR(沸騰水型軽水炉)については、地震や津波対策だけでなく、原子炉自体の安全性の観点から、早急に廃炉の取り組みを進めること。

以 上

■兵庫県震災復興研究センター■
代表理事 塩崎 賢明(神戸大学大学院工学研究科教授)
代表理事 西川  榮一(神戸商船大学名誉教授)
事務局長 出口  俊一(阪南大学講師)
650-0027 
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電  話:078-371-4593
ファクス:078-371-5985
Eメール:td02-hrq@kh.rim.or.jp
ホームページ:http://www.shinsaiken.jp/

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