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2011年3月26日 (土)

原子力発電を民間営利企業に任せて良いか?

 自然に対する制御力を増大させて人間は生存・発展してきた。その初歩は農業の発展である。農産物の生産を人間は制御=管理できたからこそ、定住が可能となり、飛躍的に人口が増加した。さらに鉱物資源の発掘・加工によって今日の文明社会に到達できた。

 原子力発電も、以上のような意味で、放射性物質という自然に対する人間の制御力の向上の成果である。換言すれば、人間が到達した科学力の成果として原子力発電が可能になった。

 以上が正しいとすれば、どうして今回の福島原子力発電所の事故が発生したのであろうか。自然に対する人間の制御力・科学力が不足していたのであろうか。

 私は不足していたと考えない。今回のような事故発生は科学的に事前に予見されていた。それにもかかわらず、事故が発生したのはなぜか。

 その理由は、科学力と社会制度の矛盾である。この社会制度とは、民間営利企業の利益が優先される制度である。すなわち資本主義制度のことである。

 莫大な被害を生み出す原子力発電事故の防止を考える場合、それを民間営利企業に任せることは矛盾している。常識的に考えて、企業は「赤字」を出してまでの事故防止策は採用しない。これが、公的事業を私的な事業体が実施する矛盾である。

 公的事業を「民営化」することは必ずしも悪いことではないと私は思う。しかし原子力発電という事業は、その「公的」な度合いの範囲と深刻度が、たとえば鉄道や郵政とは比較にならないほどに大きい。鉄道や郵政の事故は限定的であるが、原発の事故は長期間に渡って世界に及ぶ。

 このような内容は、私が大学生の時代に故・置塩信雄先生の「経済原論」の講義で学んだことである。置塩先生は、マルクス経済学に基づいた視点から、数理経済学の分析手法を駆使した経済分析で世界で先駆的な業績を残された。

 現在、関西電力が原発の安全性を強化するために1千億円以上の投資をすると言うが、なぜ、もっと早く対策ができないのか。さらに、その投資金額だけで十分なのか。今後、原子力発電を民間企業に任せておいて大丈夫なのか。

 このような疑問の延長上で、原子力発電事業の「国営化」という問題提起があってもよいと考えられる。その理由は簡単である。原子力事業の影響力が民間営利企業に適合していないからである。このことは、今回の事故における東京電力の対応で証明されたように私には思われる。

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