« ベトナム投資信託の動向:念のために | トップページ | 訃報 永野忠さんを偲ぶ »

2011年2月23日 (水)

カンボジアで国益を守ったSBI証券に感謝しなければならない

 ベンチャーキャピタル大手SBIホールディングスのカンボジア現地法人のSBIプノンペン証券が、、カンボジア証券市場で最初の上場企業となる国営シハヌークビル港湾公社のIPO(株式新規公開)の主幹事証券になることが決まった。

 『日本経済新聞』(2011年2月21日)夕刊の報道である。

 このシハヌークビル港湾公社は、以前から私が指摘してきたように日本のODA(政府開発援助)資金で開発され、さらに近隣の輸出加工区の建設と誘致についても継続して支援されている。

 この公社の株式が公開され、その株式が日本以外の外国に取得されることは、日本の国益に反することにならないか? このような問題提起を私はしてきたし、そのことを『朝日新聞』にも投稿したが、私の力量が及ばず、掲載にはならなかった。

 しかし日本のSBI証券が主幹事証券になり、ひとまず日本の面目は立ったと考えることができる。

 たとえばシハヌークビル港湾公社が、中国資本の株式取得によって、中国の空母や潜水艦の基地化することもあると私は懸念したのである。日本の血税を投入して建設・整備されたシハヌーク港が外国籍の軍事基地に変貌する。これは杞憂ではない。

 このような場合、日本の官民が連携して国益を守らなければならない。現地の日本大使館が何らかの役割を果たしたら、それは評価されるべきであるし、そうでなければ逆に批判を甘受しなければならない。

 そして何よりも、よくぞSBI証券は主幹事の地位を獲得したと思われる。同社のカンボジア進出は韓国など他国の証券会社よりも遅かったのである。血税を負担する日本国民は、SBI証券に感謝しなければならない。

 カンボジア証券市場にはプノンペンの水道供給公社も株式公開する予定であり、それにも日本のODA資金が供与されている。しかし上記のシハヌーク港のように軍事目的に転用されるといった可能性はない。

 日本の証券会社が主幹事になったからと言って、安心するのは早い。たとえばIPOの入札価格において中国資本が最高値を付けることも当然にありうる。この場合にどうするか? 

 私見では、株式公開前に戦略的パートナーとしての日本の安定株主に株式を譲渡することもありうる。すでに私は、日本の郵便貯金などの資金が適当であると指摘した。

 郵便貯金の投資先として日本のODA支援事業のリスクが高いとうことになれば、日本のODA事業を否定することになる。ODA事業だからリスクが低く、したがって郵便貯金が投資する投資先として適当である

 以上のように、この日経記事は、単なる新興国カンボジアの証券市場のニュースではなく、日本のODAのあり方や官民連携の新しい体制を考える材料となるべきものである。もっとももっと多くの人々に、このブログを読んで頂きたいと思う。

|

« ベトナム投資信託の動向:念のために | トップページ | 訃報 永野忠さんを偲ぶ »

コメント

まったく同感です。ありがとうございます。
この2年間に20回近くカンボジアを訪問していて、日本の貢献度の高さに感心していました。港湾公社の件はうわさに聞いていましたので、私も会う人毎に、「日本の援助で出来た港湾が中国のものになったら大変!!」と言っています。賛同してくれる人に呼びかけて上場されたら株を買う計画を進めています。8月にプノンペンに行き、口座開設などする予定です。

投稿: 大谷美智子 | 2011年7月14日 (木) 12時01分

当初、政府系企業3社とも韓国のトンヤン証券が有力と見られていましたので、見事な逆転勝利と言えるかと思います。
なお、日本政府が株式を購入するのであれば、JICAの海外投融資制度がぴったりだと思っております。

投稿: カンボジア総研 鈴木 | 2011年2月23日 (水) 13時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/38979777

この記事へのトラックバック一覧です: カンボジアで国益を守ったSBI証券に感謝しなければならない:

« ベトナム投資信託の動向:念のために | トップページ | 訃報 永野忠さんを偲ぶ »