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2011年2月10日 (木)

柳生宗矩=但馬守の比較検討(下)

 柳生宗矩=柳生但馬守の配役として若山富三郎・中村嘉津雄・萬屋錦之介の誰が最適か? 

 萬屋は連続テレビ時代劇「子連れ狼」の主人公・拝一刀(おがみ・いっとう)の印象が強烈である。この「子連れ狼」映画版では若山が同じ役を演じている。

 私見では、柳生宗矩は柳生新陰流の総帥としての余裕や貫禄を見せて、その険技は柔軟で優雅で軽快でなければならない。この点で、萬屋は拝一刀と同様のスタイルで柳生宗矩を演じているように思われる。体裁きが堅い印象を受ける。確かに貫禄や威厳はあるが、堅い「力み」がある。

 これに対して若山は、柳生宗矩と拝一刀の両者を区別して演じている。もっとも区別するというよりも、それぞれを演じた年齢の差が演技に反映されていると考えることが妥当かもしれない。若い時の拝一刀と年齢を重ねた時に演じた柳生宗矩では演技が相違して当然である。

 これまで私は若山の柳生宗矩が最高であると思っていた。しかし中村の宗矩を改めて見て中村も捨てがたいと考えるようになった。

 中村が佐藤浩市と戦うクライマックスが特に必見である。あたかも眠狂四郎の「円月殺法」のように剣を持つ手が柔らかく回転する。これに最初に引き込まれる。その後の軽快な足裁き。そして身体を軽く前転させる。これらこそが剣の達人と思わせる。

 若山の場面も、宝蔵院の槍術と戦う時の軽快な足裁きと体移動に驚嘆させられた。若山の演技力の基礎的力量の高さが十分に示された。さらに江戸城内での立ち回りは歌舞伎か舞踊のような動と静の対比を見せながら優雅さと緊張感を漂わせてみせた。クライマックスで千葉真一との戦いで見せる若山の狂気を含んだ笑みも鮮烈である。

 『魔界転生』における「前作」の若山を意識して「後作」の中村の演出が考えられ、そして中村も役作りをしたはずである。したがって中村の柳生宗矩が若山に劣るとは考えられない。両者は甲乙つけ難い。それにしても中村の一瞬の表情が実兄の萬屋を思わせることも印象深い。同じ兄弟でも若山の実弟である勝新太郎に柳生宗矩のイメージは浮かばない。

 いずれにせよ、時代劇の名優の演技をDVDで何度も見ることができる。「隠密剣士」から約半世紀。ファンにとって楽しみは尽きない。

 

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