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2011年1月22日 (土)

ベトナム共産党書記長フーチョン氏に関して

 現職の国会議長であるフーチョン氏が、ベトナム共産党の次期書記長になることが決まった。日本の新聞各紙ですでに報道されている。

 私は個人的に面識があるわけではないが、前回の党大会において続投するマイン書記長の対立候補に名前が挙がってたことは知っていた。

 ベトナム共産党の理論誌『共産(コンサン)』の編集長であり、その学者的な風貌に私は魅力を感じていた。私は前回に書記長に就任と思っていたが、国会議長になって意外に思ったことを記憶している。ようやく今回に本命と思われる書記長就任である。

 フーチョン氏は来日経験もあり、けっして日本と縁のない人物ではない。その共産党としての理論的な展開は、おそらく日本共産党などの資本主義国における共産党の理論に近いのではないかと想像している。今回の党大会では「民主的」もしくは「民主主義」が強調されたそうであるが、これも日本共産党がよく使用する用語である。

 日本共産党もベトナム共産党も当面は「市場経済において政府が果たすべき役割を果たす」という考え方が共通していると思われる。その延長において資本主義もしくは市場経済の限界に到達した場合、その次の社会体制として「社会主義」を展望するという路線である。現在のベトナムは、けっして「社会主義国」ではなく、「社会主義」を目標にした国である。ここで社会主義に「」を付記するのは、それが旧ソ連や中国などをモデルにしていないからである。 

 ベトナムのインフラ整備について、次の問題点が指摘されている。「ハノイ市人民委員会が地域住民の立ち退き・移転を促すことになっているが、ベトナムでは住民移転に時間がかかり、工期遅延や工費増加につながるケースが多い」(『ジェトロセンサー』2010年12月号、8頁)。

 こういう事態が、旧ソ連や現在の中国でありうるのだろうか。強権的な政府が社会主義のイメージであるとすれば、ベトナムに関する上記の指摘は通常の社会主義という先入観からは大きく逸脱している。だからこそベトナム共産党は一党独裁であるけれども、民主主義を強調し、それを実践していると判断できるのである。

 おそらくベトナム共産党は、一党独裁体制から多党制に移行することも将来の視野に含めていると想像される。経済的な後輩国であるカンボジアやミャンマーですら、形式的には多党制を採用した民主主義国家として国際的に表明されている。このような状態はベトナムとしては余り心地よいものではない。

 しかし多党制は時期尚早という判断が今回もベトナムでは継続している。政治的な混乱は経済発展にとって負の影響を及ぼすことは歴史が証明している。ベトナムの最優先課題は経済成長であって、多党制を含む民主化は、その次の課題と認識されなければならないと思う。

 これらの課題もしくは進路はベトナム人自身が決めることであり、われわれ外国人が干渉するべき問題ではない。しかし私がベトナム人なら、ベトナムの現状を以上のように理解するであろう。

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