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2010年10月13日 (水)

ベトナム進出企業の「技術流出」をどう防ぐか?(上)

 日本企業の「モノづくり」の技術は世界的な競争優位性をもっている。この意味は、資本集約的な先端技術のことであってほしいが、その競争は激烈と思われる。これに対して、工場現場での日々の創意と工夫から生まれる熟練した技術は依然として日本では健在であると私は理解している。

 従業員の繊細な感覚や気配り、従業員間の仲間意識や思いやりといった日本人の特徴的な性格が、日常の生産技術の工夫や改良に反映されていると考えられる。

 また、日本における企業と日常生活が一体化・融合してきたことも、企業内の「モノづくり」に反映されてきた。この「一体化・融合」とは、人生や生活の生き甲斐が企業内の評価と重なり合っていることである。会社経営に「家」の論理が持ち込まれていると、かつての「日本的経営論」で説明されてきた。

 しかしながら現在の日本社会を見れば、「モノづくり」における優位性の基盤となってきた以上のような条件が喪失しつつあると見なされる。それらの状況は具体的には、「個人主義の台頭」、「終身雇用の崩壊」、「競争原理主義の強化」、「価値観の多様化」として表現されるであろう。

 次に紹介するような外国における「技術流出」は重要課題であるが、上述のような「技術喪失」が、それ以上の懸念材料であると思われる。これについては別途に検討したい課題である。

 さて、『日本経済新聞』(2010年10月13日)は、「中小もアジア生産加速:円高の影響回避」、「独自進出企業めだつ:最先端品も・技術流出が課題」という見出しを掲載して、特に中小企業における海外「進出先での技術流出を防ぐ必要性」を指摘している。

 この指摘の趣旨は、記事の文脈から想像すれば、中国における日本の最先端の金型製造技術の流出の懸念があるということである。しかし同様の懸念をもつ中小企業は多数あるだろうし、それは中国に限ったことではなく、ベトナムなど他のアジア諸国についても技術流失の防止は重要な問題である。

 それではベトナムにおける技術流出の問題をどのように考えればよいか。次回では、それについて検討することにする。(続く)

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