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2010年4月21日 (水)

ハノイのODA橋の崩落:日本企業に油断はなかったか?

 『朝日新聞』(2010年4月20日夕刊)によれば、ベトナムに対する日本のODA案件で事故が発生した。その内容は次のようである。

 「ハノイのホン川(紅河)で18日午前、日本政府の途上国援助(ODA)の円借款で工事中の橋の一部が崩落した。けが人などはなかった。ベトナムでは2007年9月にも、円借款で南部のメコン川に建設していた橋が崩落し、54人が死亡する事故が起きている。

 日本の外務省や地元の報道などによると、事故があったのはタインチ橋(紅河橋)。環状道路と結ぶ高架橋部分の橋げた(長さ約30メートル)10本のうち4本が落下した。

 高架橋部分は、三井住友建設と地元企業が共同で工事を請け負っていた。年内に完成する予定だったという。日本政府は1999年度以降、橋全体の建設事業で合計約409億円をベトナム政府に供与しているという。 」

 以上の引用は、次のウェブサイトからである。
 http://www.asahi.com/international/update/0419/TKY201004190428.html

 ここでの問題点は、ベトナムで橋の崩落事故が2度目ということである。今回、人身事故に至らずに不幸中の幸いであったが、前回の事故の教訓は何であったのか。

 ベトナムの南北高速鉄道の建設において日本の「新幹線方式」の採用決定が報道されているが、この事故は、それに冷水を浴びせることにならないか。日本企業の建設工事監理に対する信頼性が揺らぐことにならないか。

 やや敷衍してトヨタ自動車のリコール事件を連想して言えば、日本企業において自社の品質管理さらに「モノ作り」に対する「慣れ」や「過度の安心」があったのではないか。こういう場合の一般的な対策は「初心に返る」「原点回帰」であると思う。

 ベトナムの建設工事について言えば、ベトナム人ですら施工主は工事現場に毎日必ず常駐し、工事を監視して「手抜き」を防止している。これは、私の友人が某地方都市で学校を建設する時に実行していたことで、それに驚いたことを今でも覚えている。ベトナム人もベトナム人を信用していないのである。

 この問題の本質は、ベトナム企業の組織もしくは管理体制である。ベトナム人経営者やベトナム人経営幹部と話していると、品質管理の重要性を十分に理解している。これは間違いない。おそらく今回の工事でも「前回の事故の教訓はわかっている」ということぐらいはベトナム人管理者は発言しているのではないか。そのことによって日本人は「ベトナム企業も日本企業と同じだ。そんなに変わらない。安心だ。ベトナム人は信用できる。」と思ってしまう。これが大間違いなのだ。

 ベトナム企業の幹部と一般労働者や現場監督者の意識には格段の相違があることを日本人は事前に想定しなければならない。ベトナム人経営幹部の言っていることと、実際にベトナム企業がやっていることは「雲泥の差」と最初から疑ってかかるべきである。ベトナム人幹部を信用しても、ベトナム企業の「現場」を信用してはいけない

 今回の事故について原因究明が必要であるが、当初の報道から受けた私の印象は以上である。日本人の施工主は現場に交代で泊まり込んで工事を監理する覚悟が必要である。それはベトナム人の施工主もやっていることである。それが「ベトナム流」である。

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