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2010年2月28日 (日)

フィリピンに対するチリ地震の影響:好奇心は身を滅ぼす

 日曜日にマニラからセブ島に移動する。果たしてチリ地震からの津波は大丈夫か。

 好奇心は身を滅ぼす

 だれに聞いたか忘れたが、海外訪問する学生に私が必ず話す教訓である。好奇心は結構であるが、それが過度になると自分が被害を受けることになる。

 見てはいけないものを見る。知ってはいけないことを知る。してはいけないことをする。好奇心とリスクは表裏一体である。私自身、セブ島では注意したい。好奇心は身を滅ぼす。

 なお、私の宿泊ホテルでは、こういった注意情報はまったくなかった。チリ地震の発生を知ったのはNHK衛星放送であった。セブ島のホテルでは、どのような対応なのであろうか。こういう好奇心は、フィリピン社会の実情を知ることになる。ちょっと情報収集してみよう。

 flair追伸flair:セブ島とは言うものの、空港や宿泊のリゾートホテルはマクタン島である。5☆のシャングリラホテルに宿泊したが、確かに長期滞在は楽しめそうである。それほどに豊富な施設がそろっている。しかし周囲の雰囲気や観光地を考えれば、けっしてベトナムのダナン・ファンティエット・ニャチャンのリゾートも負けていない。

 また津波は、マニラのマンダリンホテルの従業員も知っていたが、まったく問題なしとのことであった。日本も大きな被害がなかったということでよかったが、チリの支援が必要になるであろう。ハイチに次いでチリ。さらに地震がないと言われていた沖縄でも地震発生。大きな天災を予感させるような出来事が続くようである。

 shine補遺shine:セブ島の『自由人(The Freeman: Fair and Fearless)』という新聞(2010年3月1日)によれば、津波での避難者の様子が第1面に掲載されている。太平洋岸の地域の人々数千人が数時間に渡って避難したそうである。

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2010年2月27日 (土)

ベトナムの勝利

 マニラの国際空港のイミグレーションが混雑。こんなに長い行列に並んだことは最近はない。最初にフィリピン人の列に並んでいたら、外国人の列に行けと言われた。最後はフィリピン人の列に戻れと言われた。ベトナムでは最初から融通を利かせてくれる。

 空港内の両替所でも行列。1ヶ所しかないのだから当然である。私はATMのクレジットカードで当面の現金ペソを入手した。空港の外に銀行があるのかと思っていたが、それも見つからない。

 空港からホテルまで自動車で600ペソ取られた。どう考えても高過ぎるように雰囲気で感じた。案内の女性や男性からチップを要求された。タクシー乗り場がないように思われた。こんなことはベトナムではない。

 市内のいくつかの銀行では、米ドルしか両替できない。円はダメ。しかたなくホテルで交換したが、おそらく為替レートは悪いのだろう・・・。

 アジア開発銀行は、新しい場所に移転していた。往路のタクシーはメーター付だが、復路のタクシーはメーターなし。この運転手は、しゃべりすぎ。「英語がわからん」としておいた方がゆっくりできる。

 マニラ市内の高層ビルは立派だし、自動車は多い。地下鉄があるので、バイクの数も少ない。外観はベトナムよりも近代的だが、以上のような点から、「住めば都」という偏見はあるものの、私的にはフィリピンよりベトナムの勝利。

 ただしマニラ市内に限った話。おそらく国民性は良いのだろうな・・・と期待している。

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2010年2月26日 (金)

今、関空です

 拙著の脱稿をするまで海外出張は封印と決めていたが、関空に来てしまった。

 フィリピンのマニラでアジア開発銀行(ADB)を訪問することが目的である。その後は、セブ島に移動し、レイテ島で戦死した私の母方の伯父の慰霊をする予定である。

 マニラは2回目である。以前は、AIM(アジア経営大学院)で勉強するベトナム人を訪問した。また同大学院の教授であった津坂先生に案内していただいた。

 今回はプライベートな旅行である。

 現在3年生の大学ゼミ生には、就職活動について十分に指示・指導をした。それを活用するも、無視するも、活用できないのも本人次第である。就活が厳しい状況下では、これまでになく学生のことが気になる。健闘を祈りたいと思う。

 では、出発。恒例のベトナム航空ではなく、今回はフィリピン航空である。

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2010年2月25日 (木)

中国における日本企業の経済的な影響力

 先日に紹介したPREX(財団法人・太平洋人材交流センター)のシンポジウムにおいて、石原享一教授(神戸大学大学院・国際文化学研究科)から次のような趣旨の発言があった。

 「中国に進出している日本企業は3万社あり、920万人の中国人を雇用している。中国のGDP(国内総生産)が日本を追い抜いて世界第2位になるとしても、それに日本が貢献している。

 中国の食品会社は再び何らかの問題を再発させるであろう。なぜなら中国企業は利益最優先だからである。その中国の現状において、中国に進出した日本企業が倫理もしくは社会的責任という考えを中国で普及させる意義は大きい」。

 このことは、まるで20年ほど前の韓国と日本の関係が想起させる。親しい知日家の韓国人が当時に次のように述べたことが忘れられない。「韓国人の中には、ソウル市内の高層ビルを見て、韓国は日本に追いついたと考える人がいる。しかし、そのビルの中のビジネスのモデルや姿勢は日本から依然として学ぶことがある」。

 企業の規模拡大でなく、企業の経営の品質向上を追求する。これからの世界の中で日本企業のあるべき姿であると思う。そういった意味での「良い会社」・「一流企業」を追求するべきであろう。

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2010年2月24日 (水)

トヨタ自動車のリコール問題:良い会社・一流企業とは何か

 トヨタ自動車のリコール問題に関して、大部分の意見は「トヨタ自動車が利益重視よりも品質重視の「原点回帰」をすべし」ということのようである。また「モノ作り」に徹するという表現の主張もあった。

 しかし私見では、品質のみならず価格もアフターサービスもブランド育成なども顧客のためである。「モノ作り」だけで顧客のニーズがすべてが満たされる時代ではないと思われる。トヨタ自動車が、さらに顧客重視を徹底した「モノ作り」に進化することを私は期待している。そのための方向性は顧客の目線で考えれば、自然に見えてくる。

 顧客はわがままであり、低価格で高品質という「矛盾した商品」を求めている。それは自分自身を考えてみれば、そうであると納得できる。しかし同時に、良い会社・一流企業の商品を買いたいと思う。これはブランド意識の発露である。

 この「良い」とか「一流」とは何か。それは世間の大多数の評価に依存する。それは時代とともに変化するのではないか。先日に議論した韓国企業に関して言えば、サムソン・LG・現代・ポスコは、日本の評価の程度はともかく、世界から見れば総じて「良い会社・一流企業」である。

 トヨタ自動車に限らず日本企業は、さらに韓国企業の上を行く「良い会社・一流企業」を目標とするべきである。無限地獄のように思われる低価格と高品質の追求に対する限界は、この目標の設定に依存すると思われる。

 たとえば極端に言えば、長時間の児童労働や奴隷労働に依拠した企業の商品を「安いから」と言って買うことができるか。もし知っていれば、おそらく購入を躊躇する。こういった現状の情報公開が必要なのだ。そうすれば、顧客による「良い会社・一流企業」の評価が自然に決まってくる。

 おそらく顧客は気がつかないから、知らせなくてもよい。品質に影響がないから、これは顧客に知らせる必要はない。イメージダウンになるから顧客に知らせない。この意識は企業に必ず存在すると思う。しかし、もしそれを顧客が知ればどうなるかを想像すればよい。

 顧客に十分に情報開示しない企業は本当に「顧客重視の企業」とは言えない。低価格・高品質・アフターサービスというだけでは顧客重視にならない。このような情報公開に対する意識の相違が、「良い企業・一流企業」に対する顧客の評価を左右する。

 このことは、豊田社長自身が、「より一層、透明性(transparency)を高める」という趣旨の発言をしていたことに対応する。以上、トヨタ自動車のリコール問題は、日本における「良い会社・一流企業」の条件を再検討する好機といえるかもしれない。さらに検討が必要な課題である。

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2010年2月23日 (火)

応急手当とAED使用を実習した

 22日(月)に約3時間、地元の箕面市のコミュニティセンター(公民館)で応急手当とAED使用の研修を受けた。

flairflairAED=Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器。心臓が突然に正常に動かずに、細かく痙攣のような動きをすることがある。これでは血液を全身に送れない。これを正常な脈拍に戻すためには電気ショックを心臓に与えることが必要である。そのための機器がAEDである。これまでは医療従事者しか使えなったが、2004年の法改正以降、一般のわれわれも操作できるようになり、公共施設への配備が進んでいる。

 箕面船場ライオンズクラブが創立30周年ということで、箕面市全域の公民館にAEDを寄贈したことが研修に参加した理由である。

 救急の傷病者が発生して119番に電話して救急車を呼ぶとしても、平均で約5~6分間かかるそうである。この間の応急手当で生死を分けることがある。以下のように心臓停止の場合、その後の3分間が勝負である。
 ①心臓停止後:約3分で50%死亡
 ②呼吸停止後:約10分で50%死亡
 ③多量出血後:約30分で50%死亡

 おそらく今までの私なら、救急車を呼ぶことはできても、到着まではアタフタとしているだけであったと思う。今回の応急手当の実習を初めて受けて、少しばかり自信をもつことができた。要するに、腹を決めて思い切って冷静に実行あるのみ。救急救命のための私の要点である。

100222_11060001 100222_11590001

 写真左は、実習で使用する人形である。胸の斜めの線の両端にAEDの電極パットを貼り付ける。ただし心臓を挟んで電極を付ければよいので、貼付の位置は胸と背中でもよいし、間隔が狭くてもよいそうである。AEDの使用方法は、AEDの機械自体が音声案内するので、それほど難しくはない。しかし予め使用実習を受けた方が的確で迅速な対応ができる。

 写真右は、AEDを装着し、それと同時に人工呼吸の練習をしている様子である。私の場合、人工呼吸が難しかった。風船を膨らませるのとは要領が異なる。大きく息を吸い込んで、しっかり傷病者の鼻をつまみ、空気を送り込む。これを2回繰り返す。この場合、気道の確保のための頭の位置にも注意である。あご先を持ち上げながら、頭を押さえて後ろにそらす。この場合に、肩の下に座布団程度の厚さのものを差し入れてもよいそうである。

 胸骨圧迫による心臓マッサージは30回である。傷病者の胸を4~5㎝押し下げるというのだから、かなりの力が必要である。研修を指導して頂いた消防署員の方によれば、ほとんどの場合、圧迫が不足しているということであった。

 人工呼吸と胸骨圧迫を4回繰り返しても、2分程度であり、未だ救急車は到着しないことが普通である。実習をやってみて、救急救命にも体力が必要であることが実感できた。

 私の勤務先の流通科学大学でもAEDがあることは知っているが、その使用方法や救急救命の方法について、少なくとも一般の教員は研修を受けていないのが実情である。人工呼吸や胸骨圧迫を実施する機会の遭遇はほとんどないと想像されるのだが、知っておいて損はない。大学事務局に研修・実習の実施を提案してみようと思う。

 以上、これでだれかの命を救えるかもしれないと思うと、何よりも有意義な3時間であった。

参考文献
 ①大阪市消防局監修『家庭の救急ノート:このノートあなたの救急救命士』(財)大阪市消防局。
 ②『日本経済新聞』(2009年11月29日)。同記事の見出しは次の通りである。「AED使えますか? 14万台強市街に配備 心室細動救えるのは数分  「救命」普及へ意識向上 自治体では置き場の情報集約設置の把握できず点検に難」。

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2010年2月22日 (月)

カンボジアの小学校建設:『週刊文春』の記事の背景

 栗本英世『慈悲魔:カンボジア支援活動で見えてきたこと』(リーブル、2008年)という著書を読んだことがある。

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 栗本さんは「カンボジアこどもの家」(http://www.cambodiakids.org/joomla15/)というNGO代表として長くカンボジアで仕事をされている。その著書で述べられていることで、次の文章は印象的である。

 「お金持ちが貧しい人々を支援することは難しいことです。貧しい人々の中から立ち上がる人々を支援するのがベストのように思います。お金・知識・能力をたくさん持っている人々は、いつのまにかおごり、人々を見下してしまいます。・・・私たち支援をする者は心して、おごらないように、威張らないように、人々を支えていかなければなりません。・・・(貧しい人々の問題を解決するための:引用者注)最高によいと思える方法は「友」になることです。相手の人を尊敬してはじめてできる人間関係です」(72頁)。

 「困難な中にいる人々に、私たちの考える幸せを押し付けていれば、相手の自尊心を傷つけてしまいます」(59頁)。

 私は、同書によってボランティア活動における謙虚さが重要であることを率直に学んだ。「相手の立場や気持ちに立って考える」という発想ですら「上から目線」であり、自省するべきであると同書は指摘している。

 支援される側の人々と友だちになって、心を通わせることから生まれる支援が本物である。真の友だちになるためには、一方的な愛情でもいけないし、もちろん相手との相性がある。こういう人間関係の構築に基づいた支援が本当の支援になる。

 さて偶然に『週刊文春』(2010年2月25日号)に次の記事が掲載されていた。「日テレ 行列のできる法律相談所」 美談のカンボジア小学校は荒れ果てた(146-147頁)。

 この記事は、アポなしの訪問で上記の小学校を訪問すれば、定期的な食料支給や飲料水の確保が実現されたとテレビで放映されながら、実際はそうではないと指摘している。「多くの生徒は貧困や病気のために登校困難。教師の給料は遅配が続き、五名いるはずの教師は二名しかいない」。

 この現状報告は、「NPO法人アジア交流協会」(http://www12.wind.ne.jp/asian-npo/)の石川正安理事長である。上記の栗本さんと活動団体は異なるが、次のような意見を述べている。「多くの人の善意を無駄にしないためにも、カンボジアの現状を広く検証した上で計画を進めて欲しい。このままでは数年後には廃校になってしまうことが予想されます」。

 少なくとも、新たなボランティア活動を開始する場合には、先行するボランティア活動の現状を調査したり、現地の日本大使館やJICA(国際協力機構)に相談したりすることが常識である。日本テレビの番組では、こういったことは無視したのであろうか。

 私のことで言えば、JICA前カンボジア所長の米田さんとお話したことがあり、JICA支援で建設された学校の理科系の実験機器の予算が不足していると聞いた。こういった現地が必要としている機材の供給支援が望ましいボランティア活動と思われる。小学校の建設は見栄えのする事業であるが、その緊急的な優先順位は必ずしも高いとは言えないように思われる。

 以上、『週刊文春』の問題提起に対する回答が、日本テレビには求められている。自社の予算で実施した事業ではなく、多数の人々の善意の資金が提供されているからである。

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2010年2月21日 (日)

韓国から学んで国際競争力を強化(下)

2.真のグローバル企業とはどうあるべきか
 前掲の『日経ビジネス』に次のような指摘がある。それについてコメントする。

(1)「韓国製品に対する負のイメージは日本で根強く残っているが、中国ではほとんどない」(29頁)。

 日本人もしくは日本企業に「根強く残っている」韓国製品に対する「負のイメージ」は、その結果、世界市場の中で日本人もしくは日本企業を取り残す負の効果を生むのではないか。日本人は、もっとイメージではなく、現実を直視する必要がある。これは韓国人に対する日本人的な気質かもしれないが、それをビジネスに持ち込んでは失敗する。

(2)「日本メーカーの商品開発は、国内の技術者が主導し、海外の消費者の声はなかなか商品に反映されてこなかった。「日本向けの高機能な製品を持ち込んで、売れなければ付加価値を理解できない消費者が悪いと言っていた」(日本の家電大手の幹部)」(28頁)。

 日本企業における顧客志向・顧客満足のマーケティングには世界的に定評があると私は考えていた。上記の指摘が正しければ、それは一般的ではなく個別の成功事例と理解するべきなのかもしれない。日本のビジネス成功体験が外国で通用しない。これは当然であるが、日本人経営者に思い上がりがあれば、この当然の理屈が隅に追いやられてしまう。

(3)イ=ドンヒ氏(ポスコ社長):「我々は強いライバルに挟まれています。品質については日本勢と、価格については中国メーカーと緊張感のある競争を続けてきました」(1頁)。

 私の韓国初訪問は1983年。それ以来、韓国人・韓国企業の日本に対するライバル意識の存在を認識してきた。しかし上記のポスコ社長の発言には余裕すら感じられる。他方、日本は、バブル経済その前の「ジャパン=アズ=ナンバーワン」の時代を経験して、対外的な競争心を喪失したのか、または成功体験の幻想を見続けるようになったのか。

 日本企業は激しい競争してきたと思うが、それは「内なる競争」であったのかもしれない。松下電器はソニーや東芝や日立というライバルが存在し、ダイエーはジャスコやイトーヨーカ堂と競争してきた。トヨタは日産と競争し、三菱商事は三井物産や丸紅・伊藤忠と競争した。外国企業から見れば、それらは日本企業の間の競争でしかない。その舞台が外国で展開されたとみなすこともできる。日本企業における競争とは何であったか。これらの論点はさらに深める必要があるように感じる。

(4)同上:「原料があって市場があれば、世界中どこにでも出て行きます。私の頭の中からは、もう「国境」という概念は完全になくなりました」(1頁)。

 これは、グローバル企業の経営者にとって必要な発想である。また私も同感である。また若い人にも「仕事があれば、世界中どこにでも出て行きます」と考えてほしい。この場合、語学力は必ずしも前提条件ではない。ビジネスアイデアは世界普遍の共通の関心事項である。ビジネスが先攻、外国語は後攻である。

 私の知る限り、フィリピンそしてベトナム・カンボジア・ラオスなどに多数の韓国人が溢れている。島国の日本。大陸につながる韓国。この地理的な事実は、国民性に影響を「根強く」及ぼしていると考えることが自然かもしれない。北朝鮮との「国境」問題を持続的に抱えてきた韓国にとって、国境という意識が日本と異なって自然であると思われる。

flair総括flair:国際競争力を強化するために経済産業省が政策を発表する。その内容を精査したい。ただし今ここで私の期待する要点は、日本の中小企業に焦点を当てることである。大企業は人材と資本をもっている。すでに国際的な情報ネットワークもある。唯一の問題は意思決定が遅いということであるが、それは自業自得かもしれない。これに対して中小企業は、独自の技術をもち、ハングリー精神もあり、経営者の意思決定は早く意欲もある。問題は、外国進出における資金力や情報力である。それを政府が支援すればよい。資金力は政府資金に依存するのではなく、証券市場での資金調達や民間ファンドで賄う。このようなアイデアはどうか。

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2010年2月20日 (土)

韓国から学んで国際競争力を強化(上)

 テレビのニュースを見ていると、経済産業省が日本の国際競争力を強化するために、韓国から学んで、集中的な投資や官民連携を促進する政策を採用すると言う。

 『日経ビジネス』(2010年1月25日)の特集「韓国4強 躍進の秘密:サムスン、LG、現代、ポスコ」を読めば直ちに理解できるように、韓国企業の成長力と収益力は客観的に見て日本企業を凌駕している。

 経済産業省の詳細な見解は未知であるが、以下では私見を2点述べておきたい。

1.意思決定の早い韓国企業、遅い日本企業

 ビジネスのスピードが重要なことは当然である。目の前の商機を逃してしまう。先手必勝という言葉もある。「先発行動者利得」の獲得はビジネスの妙味である。しかし日本企業の意思決定は、韓国や中国や台湾などの企業に比べて一般に遅いと言われている。
 この対応は簡単である。日本政府の「お墨付き」をもらうことである。政府の方針であること、政府の支援があることは日本企業の意思決定を迅速化する。「官民連携」の国際ビジネスは日本企業の欠点を補完する。

 ただし私には忘れられないことがある。NTTの民営化である。「お上(かみ)=政府のやることには間違いない」ということで、私はNTT株式を成り行きで購入したが、その後にそれ以上の価格になることはなかった。「お上(かみ)=政府」の威信は、この時に私は喪失したと今でも実感している。この意味で、政府に依存した企業経営は時代に逆行しているとも指摘できる。

 市場経済化および民営化による競争促進は経済活力の源泉ではなかったか。小さな政府は財政再建にとって不可欠ではないのか。私見では、これまでのような「政財官の癒着」構造の再来のような「官民連携」ビジネスは「時代錯誤」となり、失敗するであろう。新しい「官民連携」のスタイルを模索する必要がある。その中心は、これまでの大企業ではなく、中小企業であると私は思う。中小企業の海外展開を政府が全面支援するのである。

2.真のグローバル企業とはどうあるべきか(以下、次回に続く)

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2010年2月19日 (金)

留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック

 私の勤務先である流通科学大学では、大学院生の修士論文・博士論文の審査が終了し、昨日18日(木)は大学院の入学試験であった。

 日本において大学進学が次第に当たり前になっているとすれば、大学院修了が、かつての大学卒業と同程度に差別化された価値あるものとみなされる。

 この大学院における教育は、なかなか困難が伴う。留学生が多いことや、それぞれの学生の学問的な背景が不均一だからである。たとえば中国からの留学生は日本語を理解するが、英語が得意でないことが多い。そうであれば、英語の文献を頻繁に使用することができない。 

 株式市場の研究といっても、その制度的な研究もあれば、数理モデルを使用した研究があったり、計量経済学的な分析もある。分析手法の有無は、その研究の方向性に影響を及ぼす。

 このような多様な資質をもった留学生が大学院にいてもよいと私は思うが、せめて少なくともレポートや論文は的確な日本語で書くことが求められる。そのための極めて便利な書籍が出版された。

留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック 留学生と日本人学生のためのレポート・論文表現ハンドブック

著者:二通 信子,佐藤 勢紀子,因 京子,山本 富美子,大島 弥生
販売元:東京大学出版会
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 同書は、おそらく留学生のみならず、日本人の大学院生にとっても必読書になるであろう。レポートや論文らしい格好良い文章表現が多数紹介されている。そのキャッチコピーは次の通りである。

 日本語のアカデミック・ライティング! 265の文型、78の接続表現を解説 すぐに探せて辞書のように便利 実例から書くコツがわかる

 留学生のために漢字にひらがなのルビが付いていることも親切である。まさか漢字の読めない日本人はいないだろうが、すでに周知のように日本人でも例外があるので、日本人にとっても親切である。

 本書の読者は英語圏の留学生が想定されているが、日本の大学の現状に配慮すれば、中国語圏の留学生向けの姉妹編があってもよい。たとえば私の勤務先の流通科学大学の大学院生の大多数が中国人である。同書でも十分に論文指導に役立つが、中国語版があれば、より効果的である。

 学問が世界普遍的であるとすれば、その伝達手段として、やはり英語が不可欠である。この意味では、同書は英語論文の作成にも役立つ。同書は、日本語と英語の論文執筆のハンドブックという特徴をもっている。

 外国人留学生を多数受け入れ、彼・彼女が日本のファンになって帰国もしくは日本で就職する。そして家族や親せきが日本に観光に訪れたり、さらに多数の留学生が来日する。このような意味で、留学生の増大は日本経済の成長戦略にとって重要である。

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2010年2月18日 (木)

就職活動を前にして「自己流」から脱却する

 現在、大学3回生の就職活動が動き始めている。すでに準備している学生は徐々にペースを上げているだろうし、ノンキな学生も始動の時期である。

 この大学3回生の就活について言えば、次のような学生の成長過程があると流通科学大学のキャリア開発課は分析している。すなわち:

 ①自己流 ⇒ ②指導・修正される ⇒ ③自分らしさに自信をもてる

 自己流のままで就活に突入すれば、なかなか成功できない。少なくとも指導・修正される時期を経験しなければならない。その過程を経て本当に「自分らしさ」を発揮できる。この時期が内定を受ける時期に一致するようにする。これが内定獲得の「王道」である。

 手前勝手・自己満足・自己陶酔の「自己流」の就活を指導に基づいて修正し、自信をもった「自分らしさ」を発揮した就活に昇華させる。私見では、これが就活成功の基本である。

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2010年2月17日 (水)

PREX主催の人材育成シンポジウム:私の印象

100217_17240001 参会者100名に近いシンポジウムは、さすがに講演者の顔ぶれにふさわしいものであった。また昨年末の「事業仕分け」で話題になったJICA大阪国際センター・酒井所長のお 話も注目を集めた。それらの論点の中で私にとって興味深いことは次の3点であった。

 .「日本の良さ」を外国人に実感・理解してもらうために日本研修があるのだが、この「良さ」は何か?研修のために日本企業を訪問する場合、その何を学ぶのか。

flair私見flair:高度経済成長時代に最も適応した日本型経営が、成熟経済・少子高齢化・グローバル経済時代には必ずしも適応しない。企業経営の稚拙を問わずに企業成長した時代と今日の日本は時代が異なっている。発展途上国の研修員は、現代日本の何を学び、何を学ぶべきではないのか。

 .日本での研修は、日本ビジネスの「暗黙知」を見聞し、それを自発的に研修員が「気づき」納得することに目的がある。まさに「百聞は一見にしかず」である。日本側の講師と外国研修員との間に「コンテクストの壁」があることに注意するべきである。

flair私見flair:以上の「暗黙知」を「形式知」に転換できれば、研修の効率は向上すると思われる。日本の常識が通用しない場合、その常識を話さなければならない。たとえば5Sにおける「清掃」の意味は何か。「清掃しなさい」という指示の徹底ではなく、日本では当然と思われることについて、その意味や背景を細かく説明しなければならない。このことが「コンテクストの壁」を低下させる。

 .問題解決のための自律的な知的スパイラルにおいては、「ないものねだり」よりも「あるもの探し」の発想が重要である。

flair私見flair:ビジネス一般において成功の秘訣は「あるもの探し」である。また大学の学生指導でも同様である。その学生の「あるものを探す」ことが教育に求められる。その「あるもの」を「使いもの」にして、さらに「差別化」にまで向上させる。

 以上、いくつかの論点から3つを指摘した。非常に有意義なシンポジウムであった。なお主催者のPREXに対する要望として、たとえば「大学教職員向け」や「中小企業経営者向け」のシンポジウムや講演会の開催がある。出席者をより狭く限定すれば、より深い議論が可能になるからである。それはともかく、PREXの好企画に感謝を申しあげたい。

 

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2010年2月16日 (火)

PREX主催の人材育成シンポジウム

 以下のようなシンポジウムが開催される。私も出席する予定である。PREX(財団法人・太平洋人材交流センター)が実施機関となるJICA(独立行政法人・国際協力機構)主催のベトナム人研修が3月末から予定されているが、その参考になれば私にとって有益である。その報告は次回である。

 第5回 PREXシンポジウム【入場無料】

【日  時】 2月17日(水)午後1時20分~午後5時30分

【会  場】 pia NPO 6階 大会議室 港区築港2-8-24 (℡:06-4395-2650)

【テ ー マ】 「わが国の国際協力の意義」 ~途上国の人づくり協力の側面から考える~

基調講演:酒井 利文氏(国際協力機構 大阪国際センター 所長)

パネルディスカッション
・畑野 吉雄氏(中央電機計器製作所 社長)
・石原 享一氏(神戸大学大学院 国際文化学研究科 教授)
・武田 壽夫氏(関西社会経済研究所 専務理事・事務局長)
・斉藤 行巨氏(関西経済同友会 常任幹事・事務局長)
・コーディネーター 高阪 章氏(大阪大学大学院 国際公共政策研究科 教授)

552-0021 大阪市港区築港2丁目8-24 piaNPO 5階502号室
TEL:06-4395-2650 FAX:06-4395-2640
ホームページURL:http://www.prex-hrd.or.jp

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2010年2月15日 (月)

「社長の器(うつわ)」:どれほどのリスクを甘受するか?

 昨日、「社長の器」とは「大局を見て果敢に決断する」ことができるかどうかと指摘した。どの社長も決断をすることが仕事であるが、その「果敢さ」は会社によって相違がある。

 稟議が上がってきて、その事業が100%の成功確率があれば、そこで決断する。これは「果敢」とは言わない。さらに「石橋をたたいて渡る」という意思決定の考え方がある。出所は忘れたが、「石橋をたたいて、さらに壊してみてから渡る」という慎重な決定もある。これなど120%確実な事業ということになる。

 おそらく「果敢に決断する」と言うときは、50%~75%の成功確率のことを言うのであろう。それが50%以下になると「無謀」とか「一か八か」という範疇の決断になるのではないか。

 現在の海外ビジネスにおいて韓国企業や中国企業の「果敢な」意思決定が顕著である。他方、日本企業の意思決定が遅いことには定評がある。

 カンボジアやラオスに投資している韓国企業を見ていると、それらはけっして「無謀」ではないと思われる。これらの国の経済成長性を考えれば、少なくとも50%の成功は見込めるのではないか。

 それを上記の成功確率75%や120%の立場から見れば、それが50%あるにもかかわらず、その事業は「無謀」と判断されてしまう。どうも日本企業は、このような状況にあると判断される。

 このような「リスク甘受性」の程度が「社長の器」の容量を決めると言えるのかもしれない。社長は、この甘受性が高くなければならないと思う。それは、もちろん自ら責任を取る「進退を賭けた決断」でなければならない。その役割を果たすからこそ社長であるし、そのために高い給与が支給されていると考えるのが自然である。

 けっして社長は「身分」や「地位」ではない。より果敢な決断をする「機能」を果たすから社長であると私は考えている。特に変革期の日本では、組織の調整役の「機能」を果たす従来型の社長よりも、果敢な決断の「機能」を果たす社長が求められているのではないか。

 以上の要約は次の通り。

 社長の機能①・・・組織の調整
 社長の機能②・・・意思決定・・・成功確率50%以下、50%、75%、100%、120%

 組織の調整は会長や副社長でも可能ではないか。社長は進退を賭けて50%以上の意思決定をするべき。こういう企業が変革期の日本に求められる、または成長企業の社長の姿ではないか。これを既存の大企業の社長に求めることは難しいかもしれない。リスクのないところにリターンは存在しない。

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2010年2月14日 (日)

DVD『不毛地帯』:平幹二郎版と唐沢寿明版が発売予定

 『不毛地帯』に平幹二朗が主演のドラマがあることを最近まで知らなかった。1979年に放映ということであるが、この当時の私は大学院の修士課程の学生。とてもテレビを見る余裕はなかった。

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 以上のビデオ、じっくりと鑑賞させてもらおうと思う。この作品も放映中の唐沢寿明版の『不毛地帯』に優るとも劣らない配役である。

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 唐沢版の配役で秀逸は大門一三社長役の原田芳雄と私は思うが、平版では若山富三郎が同じ役を演じている。若山と言えば、時代劇の『魔界転生』での柳生但馬守の役柄が最高と思われる。その殺陣の太刀捌き、足捌きの巧みさは余人を圧倒している。まさに後世に語り継がれる殺陣である。その若山の大門社長はどうか。

 『不毛地帯』は、大門社長を通して「大局を見て果敢に決断する」ことが社長の器(うつわ)であることを教えてくれる。他方、壱岐正は「私は社長の器ではない」と自己分析している。千里さんと結婚に踏み切れない人間的な部分を考えれば、壱岐正には「果敢さ」が不足しているように思われる。それが「社長の器」に欠けているのかもしれない。

 いつも私は『不毛地帯』でビジネスを勉強させていただいている。奥深い番組である。 

 

 

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2010年2月13日 (土)

ベトナムの旧正月(テト)

 ベトナムでは2月14日がテト(旧正月)である。いわゆる民族大移動で実家に家族が集結する。

 しかし最近、この休暇を利用して海外旅行するベトナム人も増えていると聞いた。次第に社会が核家族化する傾向は日本でも経験したことである。この理由は、何であろうか。

 ベトナムで国際的な仕事をする企業は未だ少数であるが、そういう企業が増えれば、テトで休みというわけにはいかない。担当者や管理者が休暇中では仕事が前に進まない。

 日本で普通に仕事していて、ベトナムから至急に情報がほしいという時、ベトナムが休暇中。このような場合、休暇中の時間が無駄になる。

 所得の向上や経済の国際化によって、古くからのテトの習慣も変化せざるをえないであろう。それを進歩と呼ぶか伝統の破壊とみなすのか。ベトナムもこういうことを考える時代になってきた。

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2010年2月12日 (金)

「アセアン共同体」に向けた具体的な協議

 「輸出手続き統一 官民で協議継続 アジア16カ国」という小さな見出しの記事が『日本経済新聞』(2010年2月6日)にあった。

 「日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国は5日、東京都内で自由貿易協定(FTA)を活用した輸出手続きの統一に向けた産官学の協議会を開いた」という内容である。

 この統一とは、FTAを利用するために必要な「原産地証明」の発行に関する規則に関することである。現状は、2国間のFTAにおける「証明」がバラバラである。

 このニュースの扱いは小さかったが、2015年の成立を目指す「アセアン共同体」に向けた貴重な前進として注目に値する。

 同記事によれば、「原産地証明」に関して「日本政府は規則を統一することで、「16カ国での広域FTAの構築につなげていく構想を描いている」と指摘されている。これこそが、鳩山政権の「東アジア共同体」構想の具体的な取り組みの始まりとみなされる。

 今後の進展に注目したい。

 

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2010年2月11日 (木)

現地化から日本化への逆行か?:エースコック・ベトナム社の今後に注目!

 拙著『乗り遅れるなベトナムビジネスがいま熱い』(カナリア書房)で紹介したエースコック=ベトナム(ACV)社が、総合商社・丸紅との資本提携関係を深め、それに伴って丸紅から役員が派遣される(『日本経済新聞』2010年2月6日)。

 エースコックが総合食品メーカーとして発展するために丸紅との関係を強化することは当然である。その起点がACV社である。他方、丸紅にしても自社が関係する食品のメーカーや流通小売り会社のアジア成長戦略をACV社を通して推進できるのだから、大きなメリットとなる。

 ただし、ここで懸念されることは、これまでに蓄積してきたACV社の成功の原動力が喪失しないかということである。すなわち「経営の現地化」ということである。

 ACV社はベトナムの会社である。したがってベトナムの「日本商工会」にも加盟しない。これは前社長の浪江さんの経営方針であった。私見では、この言明を意気に感じたベトナム人が懸命に仕事したからこそ、ベトナムにおける即席めんの市場占有率をACV社は約70%にまで到達させることができた。同社では「経営の現地化」が進展していたと見なされる。しかし丸紅からも役員派遣となると、この「現地化」に逆行したことにならないか?

 エースコックにも丸紅にも経済合理性は存在している。ただしACV社のベトナム人経営幹部や従業員にも、その合理性を納得させなければならない。そうでなければ、「われわれベトナム人の会社と思って頑張ってきたのに、やっぱり日本の会社なのか・・・」という失望が彼・彼女に生まれる。それは、仕事に対するモーティべーションの低下をもたらす。

 ベトナム国内市場で成功したACV社の今後はどうなるか? アジアにおける総合食品メーカーに変身できるのであろうか? 今後も継続して注目に値する。

 

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2010年2月10日 (水)

ベトナムの原発はロシアが受注:日本は官民一体の成長戦略を!

 ベトナムの原子力発電所建設のプロジェクト受注競争では、日本とフランスが先行していた。それが後発のロシアが逆転の受注となった(『日本経済新聞』2010年2月9日)。

 「外交攻勢で先行する仏アレバに、東芝、三菱重工業、日立製作所の「オールジャパン」が挑む構図だ」(『日本経済新聞』2009年11月8日)と指摘されていたが、伏兵のロシアが勝利した。

 国際原子力機関(IAEA)は原子力発電所の安全基準として「地震国」である日本の基準を採用すると発表していたから、やはり地震が皆無とは言えないベトナムでも日本が建設受注をするとばかり私は思っていた。

 想像するに、ロシアからの軍事協力という「付録」がベトナムにとって魅力であったのであろう。中国の南下政策や南沙諸島の原油資源の獲得競争に備えるためには、やはりロシアの軍事協力が不可欠とベトナム政府は考えたのかもしれない。 

 「全方位外交」を基本とするベトナムにとって、原子力発電所はロシア、南北高速鉄道は日本の新幹線方式、ホーチミン市とカントーの高速鉄道は韓国方式というようにインフラ整備を分散させる意図があるのかもしれない。ではフランスは何を取るのか。

 いずれにせよ、日本は官民一体となった経済成長戦略が必要である。たとえばトヨタ自動車のリコール問題でも、日本政府として米国などに対して何らかの発言があってもよい。

 財政危機の日本において政府からの資金援助を民間企業は期待すべきではないが、それに代わって情報や紹介やノウハウなどの支援を政府は民間企業に積極的に提供して当然である。特に外国ビジネスでは在外公館が民間企業を全面的に支援するべきである。官民が一体となって日本の経済的な「国益」を増強する。

 私見では、憲法の制約によって軍事力が全面的に国益増強に活用できないのであるから、経済力による国益増強を今まで以上に政府は推進しなければならない。

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2010年2月 9日 (火)

キリンとサントリーの経営統合の破綻について

 両社の経営統合の破綻は、コーポレート=ガバナンス(企業統治)に対する考え方の相違と言える。

 キリンは、三菱グループの中核企業であり、グループ内の「株式持ち合い」によって経営権を維持・安定化してきた企業である。

 これに対してサントリーは、オーナー経営の未上場企業であるが、それは世界の中で特に不思議な企業形態ではない。欧米でもアジアでもオーナー経営の未上場企業は普通に存在している。

 このように考えれば、キリンの企業統治の構造の方がサントリーよりも、世界から見て異質・特殊であると言わざるをえない。キリンが主要に考える「株主」とは、三菱系企業を中心とした法人株主のことであり、個人株主のことではないと思われる。

 私見では、今後のサントリーはグループ内の適当な子会社を上場させればよい。それによって資金調達が可能である。オーナー経営企業として、それは当然の戦略であって資本主義企業の本来の姿である。

 新聞やテレビの報道では、サントリーがオーナー経営にこだわったことが統合破綻の原因のように指摘されているようであるが、サントリーの主張は当然と私には思われた。

 いずれにせよ、両社の「社風」の相違は当初から明白であった。経済合理性の論理よりも企業統治の論理が優先された事例として講義に活用させていただこうと思っている。

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2010年2月 8日 (月)

関空~ハノイ便の軽視は当然か?:「関西共同体」形成を提案

 『日本経済新聞』(2010年2月5日)によれば、日本航空が成田~ハノイ線を週3便から7便に、ホーチミン線を週6便から7便に増便するという。

 関空~ハノイ線から撤退したにもかかわらず、成田~ハノイ線は増便する。それほどに成田~ハノイ線の需要は高いということであるし、関空~ハノイ線の低迷を示している。

 関空~ハノイ線はベトナム航空が引き継ぐことになっており、関西~ハノイ便について実質的な不便はないのだが、日本人というよりも関西人とベトナム人は愛称がよいと主張している私としては心穏やかではない。

 関西経済の活力の源泉をどのように再構築するか。私は、オール関西で構成される「経済共同体」の形成を提案したい。関西の都道府県の統合や同盟ではなく、あくまでも「経済共同体」の形成である。

 このような共同体の形成のためには、橋下・大阪府知事のスタンドプレーは適当ではないと思われる。その主張の是非はともかく、関西全体の経済力を高揚するためには、いわゆる「坂本龍馬的」な調整能力が求められる。

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2010年2月 7日 (日)

朝青龍が「一枚上手」ではないか?

 朝青龍の引退が決まった。暴力行為の処分が相撲協会からの「懲戒」ではなく、自発的な「引退」に決着したことに私は疑問を感じている。

 それはともかく、朝青龍のテレビ会見における発言や態度を見る限り、彼は極めて利発で優秀な人間である。おそらく親方である高砂親方を彼は内心でバカにしていたに違いない。そうであるとすれば、親方の言うことに朝青龍が従うはずがない。面従腹背は当然である。

 たとえば、ある会社における無能な上司の下で働いている自分自身を想像してみればよい。組織の人間であるから、上司の指示を聞くけれども、それを超えたことをやってみたい。そういった「自己主張」をしなければ、アホらしくて会社勤めできない。それは精神的な安定のための「息抜き」を意味する。

 この自己主張や息抜きに「品格」が伴わないのは当然である。相撲界において「品格」とは、多数から期待されている伝統的・典型的な「横綱像」を踏襲し、それを演じることであろう。おそらく朝青龍は、そうしなければならないことを十分に理解していたが、上司のアホさから考えて、その期待に応えること自体がアホらしく思えたのであろう。

 相撲界から引退後の朝青龍に注目である。どんなことにも彼は成功するように思う。ただし飲酒に伴う暴力事件の再発には注意するべきことは当然である。 

  

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2010年2月 6日 (土)

「不毛地帯」にビジネスマン刮目(かつもく)!

 『日本経済新聞』(2010年2月5日)に新潮文庫が、山崎豊子『不毛地帯』の広告を掲載した。「壱岐正。この男にこそ、閉塞した日本を生き抜くヒントがある!」というキャッチコピーである。

 私も、そのように思う。この「生き抜くヒント」を何回か私も指摘してきた。ただしヒントであるから、それは唯一絶対ではないし、多様な解釈ができる。

 今回は、壱岐正の「強い信念」もしくは「強い意志」がビジネスには不可欠ということを指摘したい。これは「堅忍不抜(けんにん ふばつ)の精神」のことである。これこそ戦前の軍人教育の成果である。

 壱岐正が陸軍士官学校を首席卒業していることを考えるなら、このような精神を強く体得していて当然である。そしてそれがビジネスに役に立たないはずがない。

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2010年2月 5日 (金)

ハイチ大地震の災害を救援する:ライオンズクラブの効用

 ハイチ大地震の災害を救援するために米国の音楽家が「We are the world」を再演するという。これを私は今でもカラオケで歌うことがある。このリメーク曲によって世界的なハイチ支援活動が広がることを期待したい。

 すでに私もハイチには少ないけれども支援した。「ライオンズクラブ」を通してである。最近では昨年の兵庫県・佐用町の豪雨被害の復旧も同様に支援している。このライオンズクラブは世界最大のボランティア活動団体であり、各クラブでの自発的な活動をしている。

 私が所属する箕面船場ライオンズクラブでは、今年度に箕面市内の公民館(コミュニティーセンター)全部ににAED(自動体外式除細動器)を寄付した。同時にその使用法の研修を受けることになっている。また学生によるラオス清掃ボランティア活動を支援しているし、定期的に献血活動を主催している。そして上記のような大きな災害時に個人に代わって被災者を救援している。

 大きな災害時に個人的に何かしなければと思うのだが、それを実行する時間がない。こういう場合に大いに助かる。少しでも社会貢献しているという気持ちの余裕ができる。それが仕事にも効果があるのではないか。

 けっしてお金に余裕はあるわけではないが、それに代わって気持ちに余裕ができる。私にとってライオンズの効用である。

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2010年2月 4日 (木)

有効需要を生み出す「ダム解体」の発想は?

 私は学生時代にケインズ経済学を学んだ。マルクス経済学は故・置塩信雄先生(神戸大学)の影響で独学で学んだ程度である。このケインズ経済学の概念の中に「有効需要」がある。

 政府が需要を生み出すことで雇用を増加させ、その結果、経済が成長するという考え方である。政府資金で穴を掘り、その穴を次は埋め戻す。これで雇用が生まれて景気がよくなるというたとえ話があった。

 最近の日本の「脱ダム」の話は、まさにそれである。工事を進めるために雇用を生み出すと同時に、工事を中止して解体することでも雇用が生まれる。この発想が必要ではないか。

 ダム建設の工事業者は建設中止に反対するに決まっている。しかしダム解体となれば、それに伴う雇用が生まれることも間違いない。ダム建設中止の段階に止まるのではなく、ダム解体まで政府が決断すれば、それは雇用対策にもつながる。さらに周辺の環境整備にまで工事を進める。

 もちろん安全対策や財政再建は最優先に検討されるべきことであるが、ダム建設のみならず、ダム解体も視野に入れた景気対策や雇用対策が求められているのではないか。中止して終わり。その後は放置する。これは地元の人々も迷惑な話ではないか。

 せっかく作ったものを解体することに心理的な抵抗はあるだろう。しかしそれは、長年慣れ親しんだ自宅を建て替えることに似た一時的な心理状態ではないか。役割が終わったダム解体は米国でも進められていると聞く。日本で本格的な検討があってもよい。

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2010年2月 3日 (水)

「君になら騙されてもええ」

 テレビ放映中の『不毛地帯』で近畿商事の大門社長が壱岐専務に言うセリフだ。「君になら騙されてもええ」と思てんねん。

 次期戦闘機ラッキードの売り込み以来の活躍によって、近畿商事の株価を20円は上げたと言われる壱岐専務の実績があるのだから、社長からの信頼は絶大と考えられる。それはよいとして、果たして私に「騙されてもよい人」がいるのかどうか。

 この人の中に家族が入るかどうかは議論の余地があるが、とりあえずは除外するとして、それ以外に「騙されてもよい人」がいるかどうか。

 少なくとも外国でビジネスをする場合、「騙されてもよい」と言い切れるような外国人を持っていなくては仕事の成功はない。日本人しか信用できないという人は、外国ビジネスには向かない。日本人だから騙されないという保証は少しもない。

 この見極めをするために、いくつかの騙される苦い経験をしなければならないこともある。そうでないこともある。この人は「騙されてもよい人」かどうか。この目線のチェックは厳しい。

 

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2010年2月 2日 (火)

今日は入学試験とぼたん鍋・・・

 今日は、勤務先の流通科学大学の入学試験の監督、その後に箕面船場ライオンズクラブ能勢ラインズクラブの合同例会があり、能勢の「汐の湯温泉」で「ぼたん鍋」の会食であった。http://www.shionoyu.co.jp/index.htm

 このぼたん鍋(=猪鍋)が絶品である。当日に捌いた牡のイノシシ肉は臭みは気にならず、柔らかさも適当である。冷凍肉が当然と思われる時に、この新鮮さは貴重である。

 大阪府の銘酒として池田の「呉春」は全国的に有名であるが、能勢では「秋鹿」である。この秋鹿の「酒粕」をお土産に頂戴した。この香りが魅力である。自動車の室内に充満する甘い香り。粕汁や甘酒は家族で楽しめる。

 能勢ライオンズクラブの方々には農家が多いのだが、積極的な農業ビジネスを志向される人をご紹介したいたくようにお願いした。たとえばカンボジアでコメを作って、それを中東やアフリカに売り、年商200億円といった仕事がある。

 農業ビジネスは世界で有望であるにもかかわらず、なぜ、そのように日本で認識されていないのであろうか。たとえば流通マーケティングの研究分野でも、農産物マーケティング農産物国際流通論が注目されても不思議でない。能勢から帰宅する途中に、こんなことを考えていた。

 私見では、日本でダメなら、カンボジアの農業ビジネスはベトナム企業に声をかけてみよう。大枠が決めれば、日本人を技術者として雇用する。リスクを取らない日本人の役割は、この程度が適当であるのかもしれない。情けない話である。

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2010年2月 1日 (月)

過去のブログを整理しました

 現在、講義と試験の採点が終わり、一区切りついた気分でおります。そこで、先週からのブログの空白を記事で埋めてみました。

 阪急阪神第一ホテルグループの「レム日比谷」については詳細にレポートしました。また私の担当講義である「企業論」や「教養特講(時事問題に強くなる)」については、その期末試験の問題の一部を紹介しています。ぜひ、ご参照ください。

 今日から2月。私立大学では入学試験の時期になります。私は個人的にフィリピンのマニラとレイテ島を訪問してみようと思っています。また、ベトナム・カンボジア・ラオスの情報は、週1回の連載である岩井証券「ベトナムレポート」もご参照ください。これら3国の訪問は3月を考えています。その前に韓国も行きたい。

 いろいろ講義が終わると自分の仕事の計画を考えてしまいます。それらの前に拙著の原稿を脱稿します。ご期待ください。

 

 

 

 

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