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2009年12月30日 (水)

ラオスで中国「脅威論」を再考:新しい知見

 ラオスで開催されたSEAゲームのメインスタジアムの建設は中国が支援し、その代わりに中国がラオス政府に中国人移民のための敷地を要求した。これは本ブログで紹介し、その後に坪井善明教授(早稲田大学)も指摘している(『朝日新聞』2009年10月15日)。

 また中国のラオスに対する影響力が大きくなっていることは、『日本経済新聞』(2009年12月18日)でも報道されている。以下では、この問題をビエンチャン市内を紹介しながら検討する。

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 ラオス証券取引所の建設サイトに市内から向かう途中に新しいアパートがほぼ完成している。おそらく数千人の住居が可能であろう。ここに中国人が入居する。おそらく1階は、商店になると思われるが、3階建てに統一された清潔感のある町の「入れ物」が出来上がった。

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 左はラオス語と中国語で書かれた店舗を車窓から見た。普通にビエンチャン市内で中国人が生活している。上記のように「中国人がラオス移住」と言えば、中国に対する「脅威論」を煽ることになるし、そのように私も感じていた。しかし、その「受け皿」となる中国人がすでにラオスに定住していることに注意しなければならない。

 巨大ショッピングセンターである三江Dsc00115_convert_20091229091230国際商貿城の入り口である。その巨大さは下の写真からも分かるであろう。ビエンチャン市内では、タラートサオ(モーニングマーケット)が有名であるが、売り場面積から見れば、このショッピングセンターがより大きいかもしれない。店内は日曜日(12月27日)であるにもかかわらず、お客は閑散としている。上記の中国人住居の新たな建設は、この顧客を増やす目的があるようにも思えるほどである。

 このDsc00119_convert_20091229091323商業センター内には寝具やカーテンなど縫製品が豊富である。前述の『日本経済新聞』によれば、「約250店が入居しており、各店の経営者はほぼすべて中国人。衣料、靴、家電、食料品、食器、スポーツ用品、日用品、文具、楽器など多様な商品が広大な平屋のフロアを埋め尽くす」と説明されている。

 これまでカーテンや家電製品を購入する場合、ラオス人は友好橋を通ってメコン川を渡り、タイのノンカイ方面に買い物に行くことが多かったと思われる。事実、2001年に私がJICA専門家としてビエンチャン滞在中、ラオス国立大学経済経営学部の職員室など1階のカーテンは、ノンカイまで副学部長が自動車で買いに行った。そのカーテンは今でも使用されていて懐かしい思い出である。

 今後はタイに行かなくても、この中国人商業センターで買い物できるであろう。日用品や縫製品などについて中国製品とタイ製品の競争が開始されるDsc00109_convert_20091229091049と考えられる。これは、競争原理の導入という観点からラオス人消費者には好ましいことである。

 このバスには驚いた。ビエンチャンと中国昆明を往復している。車体には両国の国旗が貼り付けられている。このバス内の構造も注目された。座席がなく、荷台が設置されている。寝台車のようにも思われるが、荷物も同時に運搬できる構造である。南北経済回廊を使っていると想像されるが、そうなれば、実走したくなるのが人情である。しかし、このバスでは疲れるだろう・・・。覚悟と体力が必要である。

 ところでビエンチャン市からハノイまで自動車で片道15時間ほどかかる。私のなじみの運転手リエムさんの体験である。こういった陸路を実走することが来年以降の私の課題である。

 以上、今回のラオス訪問で、中国の「南下政策」の脅威論ではなく、タイに依存したラオス経済が中国の進出によって、より国際化しているという解釈もできることに気がついた。また突然の中国人の移住ではなく、すでに定住中国人がいるという土壌があることも認識できた。不必要な「中国の脅威論」は、ラオス国内のラオス人と中国人の対立を刺激すると思われた。

 中国人もベトナム人もタイ人も受け入れて、さらに韓国人も加わり、それらの国々のパワーバランスを調整する。これがラオス政府の今後の役割とみなされる。ただし、こうなるとカンボジア政府も同様のことをしているではないか。さらに言えば、それがアセアン諸国の収れんした社会構造になるとも思われた。

 それにしても、外国で日本が存在感を示すためには、外国に日本人が定住しなければならないと思われる。いくら日本政府がODAを提供しても、日本人が住んでいなければ存在感は希薄である。日本人の意識は変わりつつあるが、もっと海外にアジアに日本人が定住してもよい。それができないのは、それだけ日本が住みよい国だからである。しかし国際的に見て、大規模地震の発生確率の高い日本が、それほど安全とは思われないのだが・・・。これらが今回のラオスでの知見である。  

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コメント

 中国の「脅威論」は同感です。しかし立場を替えて中国の立場になれば、周辺国に政治的・経済的な影響力を拡大することは当然のことと思われます。
 本来、日本も周辺国に影響力を及ぼしても文句を言われることはないのですが、その戦略がないものだから、中国が「脅威」に思えるのかもしれません。
 本当に外国に影響力を及ぼすなら、その国に滞在・移住する日本人が増えなければならないでしょう。この観点から日本は「鎖国」状態から脱していない。それほどに日本は住みやすいと言えるのですが、冷静に考えて、私は地震を心配しています。

投稿: 上田義朗 | 2010年2月 9日 (火) 22時53分

私も実際、ラオスやタイ、カンボジアを視察した際に中国の浸透のすさまじさを認識しました。とりわけラオス北部山岳地帯で見た中国の浸透は、現実として私の中で重く残っており、少なくない「侵略」的な側面や摩擦を見ました。

投稿: 獨評立論 | 2010年2月 9日 (火) 15時13分

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