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2009年12月12日 (土)

松下幸之助の定価販売の信念:デフレを防止する

 松下幸之助〔述〕・PHP総合研究所〔編〕『社長になる人に知っておいてほしいこと』PHP研究所(2009年9月)を読んだ。

社長になる人に知っておいてほしいこと 社長になる人に知っておいてほしいこと

著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
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 松下電器(現:パナソニック)松下幸之助とダイエー中内功の論争は今でも有益な示唆を与えてくれる。その要点は「価格決定権」はメーカーにあるか、小売店にあるかということである。現在では多数の商品が「オープン価格」となり、メーカーが定価を設定することは少数となった。この意味で、松下幸之助と中内功の論争は中内功の勝利になったと私は思っている。

 しかし上記の著書を読んで、松下幸之助の定価販売に対する思いを知ることができた。それは今日の「デフレ」を抑制する精神にもつながると思われた。

 定価販売は、その製品を作った人々に対する思いを裏切らないためである。たとえば、多数の人々の努力の結晶として発売された商品が安売りされて、その生産に関わった人々が面白いはずがない。もの作りにかけた人々の努力に報いる価格があって当然である。それが定価である。

 松下幸之助が定価販売にこだわった理由は以上のようである。私見では、松下幸之助が、そのように本当に考えているからこそ、下請けの部品製造会社との日本独特の「すり合わせ」の生産システムが発展したのである。部品納入業者と一緒になって生産性の向上やコスト削減を考える。これは、もの作りに関係する人々に対する松下幸之助の愛情の表現である。

 今日の「デフレ=スパイラル」が懸念される日本経済において松下幸之助が存命であれば、どのようにコメントしたのであろうか。低価格を消費者は喜ぶが、松下幸之助は述べている。「無理に売るな。客の好むものを売るな。客のためになるものを売れ」(同書、26頁)と。

 中国を始めとする外国企業に対する委託生産によって低コストの商品が日本で提供されている。現在の低価格の商品が、こういった外国人労働者に対する努力に報いた価格設定になっているのであろうか。外国人労働者にも思いを巡らせた価格設定になっているか? これはメーカーや小売業者のみならず、消費者も考えなければならない問題である。

 安ければよいという発想は、その安さに無理があれば、長続きしないし、その無理は必ず新たな矛盾を生む。「ぼろい話はおまへん」。これも松下幸之助の指摘である。 

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