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2009年12月 5日 (土)

ベトナムの「優秀な人材」の過大評価

 経済産業省『通商白書』(2009年版、88頁)の第1-2-4-26図では、国際協力銀行「2008年度海外直接投資アンケート(第20回)」の調査結果「日系企業による直接投資有望国・地域の理由」が紹介されている。

 その前に今後3年程度で最も有望な国として、中国・インド・ベトナムの順になっており、その理由が上記で示されている。

 中国が有望という理由は、①市場の拡大可能性、②安価な労働力、③市場の現状規模の順序になっている。インドが有望という理由は、①市場の拡大可能性、②安価な労働力、③優秀な人材である。そしてベトナムが有望という理由は、①安価な労働力、②市場の拡大可能性、③優秀な人材である。

 この中で「優秀な人材」の項目で見れば、ベトナムが「良い」とした比率が中国やインドよりも高くなっている。この結果は、日系企業の評価によれば、ベトナムが中国やインドに比較して最も優秀な人材をもっていると解釈してもよいのであろうか。

 その解釈を私は誤りであると思う。「優秀な人材」はベトナムに限らず、中国にもインドにも同じ以上に存在していると考えられる。それにもかかわらず、ベトナムが高い比率になる理由は、アンケート調査の方法に問題があるからである。

 一般にアンケート調査は、予め選択肢が列挙され、その中から当てはまる回答を選択するという方式である。たとえばユニクロで衣料品を買う場合、その理由や魅力は何ですか?という質問があり、それに複数の回答の選択肢が設定されているとする。通常、いくらユニクロの品質や店舗の雰囲気がよいとしても、回答者の最多は低価格を選択するであろう。

 この場合、けっしてユニクロの品質が悪いということにならないが、それよりも有力な魅力としての低価格があれば、 ユニクロは低価格であり、品質はその次ということになってしまう。

 同様に中国やインドの人口はベトナムの10倍またはそれ以上である。当然、それらの国の魅力は、市場の拡大可能性という回答が最多になる。いくら優秀な人材が中国やインドにベトナム以上に存在しても、巨大市場の魅力がそれよりも優先されて選択されてしまう。

 ベトナムと言えば「安価な労働力」と「優秀な人材」ということが指摘され、それは間違いではないが、それが過大評価されてはならない。

 

 

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