« 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(上):日本の本音か? | トップページ | 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(下):共同体と同盟を混同していないか? »

2009年10月11日 (日)

「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(中):日中韓が中心になるのか?

 日中韓首脳会談において鳩山由起夫首相は、東アジア共同体構想に関して「核となるのが(日中韓の)3カ国だ。まずは経済的連携の強化からスタートしたい」と述べた(『日本経済新聞』2009年10月10日、夕刊)。

 この「東アジア共同体」が「アセアン共同体」と同一メンバー国であるとすれば、すでに共同体の形成のために先行して実績を蓄積してきたアセアンに対して僭越ではないか? 日本が米国重視の外交を勧めている間に、また中国・韓国が日本に対して「反日感情」を何度か表出させている間にアセアンは着々と「共同体」形成に向けた努力をしてきた。

 確かに日中韓3カ国はアジアにおける経済大国である。また、たとえばカンボジアやラオスでは、日本よりも中国・韓国の民間投資額が大きな地位を占めている。アジアの経済発展のために中国と韓国が日本を補完しているとみなされる。こういった意味で、東アジア共同体の経済的な「核となるのが3カ国」であることは同意される。

 他方、アセアンはアセアン友好協力条約(TAC:The ASEAN Treaty of Amity and Cooperation)を1976年に成立させている。これはベトナム戦争を教訓としている。TACは、独立・主権・平等・領土保全の相互尊重、外部からの干渉・転覆・強制を受けない権利、相互内政不干渉、紛争の平和的手段による解決、武力による威嚇・武力行使の放棄などを原則にしている。

 東アジア首脳会議に参加する条件がTAC加盟であり、アセアンが域外諸国と協力を進める前提になっている。この延長に「アセアン+6カ国のアセアン共同体」の形成が構想されている。

 この条約には2008年7月に北朝鮮が調印し、さらに2009年7月に米国も加盟した。この条約を結んだことで北朝鮮は、少なくともアセアンから一定の制約を受けることになる。北朝鮮が条約締結した当時に比べて、アセアンは「アセアン憲章」が2008年12月15日に発効し、これまでの緩やかな連合体から法人格をもった地域機構に移行したからである。

 新聞論調の中には、アセアンに含まれるミャンマーの民主化促進についてアセアンが無力であるという指摘がある。しかしアセアン自体が内政不干渉を原則にしているのだから、それはアセアンに対する「ないものねだり」の批判である。さらに言えば、そもそも共同体とはそういう性格のものではないか?

 また上記の北朝鮮のTAC加盟が同国の核兵器開発と矛盾していることは明白であり、TACの存在意味が低いという批判は当然である。しかしアセアンとの関係において、その関係を深めるための制約条件になることは間違いない。加盟しないよりも加盟したほうがよいに決まっている条約がTACである。

|

« 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(上):日本の本音か? | トップページ | 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(下):共同体と同盟を混同していないか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/31734528

この記事へのトラックバック一覧です: 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(中):日中韓が中心になるのか?:

« 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(上):日本の本音か? | トップページ | 「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(下):共同体と同盟を混同していないか? »