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2009年10月12日 (月)

「東アジア共同体」と「アセアン共同体」(下):共同体と同盟を混同していないか?

 アセアンにおける「アセアン憲章」は、そもそも内政不干渉が原則であるから、加盟国の独立性は高い。それだからこそ軍事政権であるミャンマーの加盟も容認されている。 

 もちろん民主主義の進展は普遍的な政治目標として世界が追求するべきであるが、その認識の程度や現状は各国で多様である。ミャンマーや北朝鮮が「独裁国家」であるとしても、その政府を他国が武力で排除してよいという理由はない。これは、1979年のベトナムのカンボジア侵攻に対して国際的な批判があったことを想起すればよい。

flairflair:このベトナムの事情と比較すれば、米国のイラク侵攻に対してより強い国際的な批判があって当然であった。米国に対する国際的な批判は大きくなかったが、国内の批判によってオバマ政権が生まれたとみなすこともできる。

 私見では、そもそも「共同体」は「緩い結合体」である。それに対して日米間は「同盟」と呼ばれる関係であり、より強い関係を意味する。それだからこそ日本は米軍基地を受け入れている。これに対してアセアンは自国内の外国基地を容認していない。このようにアセアンおよび「東アジア共同体」は「東アジア同盟」ではない。それを混同して「日米同盟」か「東アジア共同体」かという二者択一の観点からの議論があるとすれば、それは誤解に基づく結論を導きかねない。

 これは、あたかも「金融資本」に関する議論に似ている。資金力のある銀行が企業集団の中核であるとみなす見解があり、それは「銀行支配」と言い換えることもできる。これに対して企業集団における金融機関と製造企業は利害を共通にしており、相互依存の関係があるとも考えることもできる。こういった企業集団を「利益共同体」とみなす主張もある。

 日本・中国・韓国はアジアの中の経済大国であるが、アジアを支配しているのではない。そういう発想は支配権の争奪といった発想が生まれ、日中韓の友好促進にとっても好ましくない。これに対して共同体という発想は、特定の国が中核になるのではなく、相互の依存関係の存在を基礎にしている。そして相互にWIN=WIN関係を追求する。

 このような意味で、メコン川流域国について中国・韓国の民間資本が先行しているが、それを日本が、どのように補完するかという発想があってもよい。けっして競合する必要はないと思われる。みんなの利益になることを追求する。これは共同体を形成する基本的発想であろう。

 比喩的に言えば、「共同体」は「町内会」のようなものである。町内会の中には個性のある家もあるが、そういう家も忍耐と寛容で受け入れなければならない。さらに必要があれば、町内会として個性的な家に注意する場合もある。さらに必要があれば、通常は警察などに依頼する。この警察とは、国際連合に相当するとみなしてよいかもしれない。

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コメント

 ベトナムと米国・中国を「同列」と考えていません。防衛的なベトナムと侵略的な米国や中国が同列であるはずがない。しかし、その意図や性格は別にして、客観的な事実として「他国に軍事力を行使した」という意味で「同列」と表現しました。
 この意味で「同列」であるとすれば、国際社会はベトナムに対して厳しく、米国に対して甘く評価しました。これについて私は誤っていると考えています。
 ただし、この「他国に軍事力を行使」したことに対してベトナムは国際社会から批判されましたが、米国は国内で批判されました。その結果、米国では政権交代があり、オバマ大統領が誕生したと私は考えています。
 これを歴史の教訓とすべきです。他国に対する軍事力の行使は、その意図や性格は別にして、さらにどのような手段であるにせよ必ず批判される。「必ず批判される」となれば、それは「他国に対する軍事力の行使」の抑止力となる。それが、国際的な軍縮を促進することになる。
 このように考えれば、現在の米国のアフガニスタンに対する軍事力行使はどう評価されるのか。以上の歴史の教訓からすれば、このアフガニスタン侵攻も批判されることになると私は考えています。
 このことをオバマ大統領は認識していると思います。しかし米国の今日の政治状況ではそれができない。理想と現実の矛盾です。これが大統領の表明できない「悩み」なのだと私は考えています。

投稿: 上田義朗 | 2009年10月16日 (金) 15時49分

毛沢東思想のポル・ポト派カンボジアによる先制攻撃とそれに対する反撃及びそれらに関連した中越戦争といった一連の紛争とアメリカのイラク進攻を同列のものとお考えですか?

投稿: nguyen | 2009年10月13日 (火) 00時31分

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