第16回アジア経営学会全国大会が拓殖大学で開催
昨日は、東京出張で学会報告をした。ともかく帰国してもしなくても最近は忙しい。第16回アジア経営学会全国大会が拓殖大学・文京キャンパスで開催され、統一論題は「世界同時不況下のアジアの市場と企業経営」であった。その中で私の論題は「世界同時不況におけるメコン川流域3カ国の課題と展望」ということで、次のような趣旨で報告した。
メコン川流域国の開発については、以前からCLMV(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)の支援がアジア発展の「要(かなめ)」として認識されてきた。これら後発国の経済発展は、2015年「アセアン共同体」の形成と成長の「底上げ」という意味をもっている。
さらに最近では、東西経済回廊・南北経済回廊・南部経済回廊という物流インフラ整備の進行に伴って「メコン総合開発」が日本政府によって提唱されている。『日本経済新聞』(2009年7月11日)によれば、東アジアの広域開発計画「産業大動脈構想」の一環として、インドシナ半島5カ国(タイ・ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー)と日本が参加する閣僚会議が8月にバンコックで開催され、本年秋には東京で初の「日メコン首脳会議」が開催予定である。
このような大きな潮流の中で、2008年9月に始まる米国発の世界同時不況が発生した。本報告で議論されるベトナム・ラオス・カンボジアも負の影響を受けているが、総じてそれは軽微と筆者は判断している。
世界同時不況は、その影響それ自体よりも、これらの国々の経済や企業経営の特質または課題を顕在化させたと考えられる。本報告は、この観点からメコン川流域3カ国の現状を要約し、その将来を展望する。
ベトナムを始めとするカンボジア・ラオスといった途上国は、いずれもプラスの経済成長率を示している。世界同時不況と言うものの、それは「米国発」の世界不況という表現が的確である。米国経済に依存度が高い国ほど負の影響は大きいとみなされる。政治と経済は別個に考えるべきであるが、全方位外交を基本姿勢とするベトナムにとって、米国発の世界不況の影響は軽微であるとみなされる。これはカンボジアやラオスも同様である。
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