「偏差値」は人間の一つの指標:「大学卒業資格試験」の提案
「偏差値」と言うと、それは学力優先の格差社会を助長する象徴のように考えられる人々も多いであろう。
私見では、試験成績の分布に基づく偏差値だけが、その人間全体を評価することには断じてありえない。他方、私は、偏差値が全面的ではないが、部分的な人間の個性の評価指標であることを容認する。
偏差値に代替する何らかの客観的な指標があればよいのだが、そう簡単に見つからない。それなら、それを積極的に受け入れたらどうか?
たとえばTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)については、その点数を履歴書に明記することは普通になっている。また就職のためには、SPI(Synthetic Personality Inventory)試験を受けることが一般的である。
このSPI試験では中学生程度の問題が出題され、それに早く解答することが求められる。この成績が良いからと言って、大学の勉学・研究が熱心であったかどうかの指標にはならない。企業は、就職希望の学生に対する最初の選抜方法として使用しているにすぎない。
SPI試験は、たとえば有名私立中学校や高等学校の受験生が最高得点を示すのではないかと思われる。大学生に対しては不適当な試験問題と言わざるをえない。そうであるとすれば、大学生としての資格試験を年に何回か実施して、その偏差値を就職時にも明示すればよい。
18歳人口の過半数が大学進学する時代である。大学教育の内容が問われている。その内容を評価する意味でも、大学卒業時の資格試験といった新たな学力指標が必要である。それは学力であって、それだけが人間すべてを評価しないことは当然である。そのために企業は現在までも何回かの面接を実施している。
このような資格試験を実施すれば、大学教育の内容改善が促進される。また大学の講義に出席しなくても、資格試験で高得点に達する学生もいるであろう。それも悪くない。このようなことを通して、大学入試の偏差値に大きな変動が伴うかもしれない。
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