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2009年6月13日 (土)

遠賀タクシー「事件」について:タクシー業界の経営革新と中内功

 『日経ビジネス』(2009年4月13日号、100~102頁)に、「敗軍の将、兵を語る――木原圭介氏(遠賀タクシー社長) 格安運賃、期限切れ無認可に」という記事が掲載されている。

 これについて先週・金曜日の私のゼミの3年生の間で討論した。「いずれ認可されるか、行政処分を受けるか、どちらとも言えないか」という3つの選択について、学生の意見は3等分となった。

 この「事件」は、要するに、顧客の利便ために新しいタクシー料金制度を考案した遠賀タクシーに対して、既存の同業者や監督官庁が反発したという内容である。

 この「事件」については、この記事の掲載後に結論が出ている(『毎日新聞』(西部)2009年5月9日、『朝日新聞』(西部)2009年5月29日)。 遠賀タクシーが行政処分を受けることで九州運輸局の面子(メンツ)を立てながら、実質的には同社の再申請を認可するという「玉虫色」の解決である。

 数年前からの規制緩和の趣旨を受け入れたタクシー業界の改革であったにもかかわらず、遠賀タクシーの新しい料金制度が認可されないことは矛盾している。それは学生にも理解できることであった。顧客と世論の支持を背景にした遠賀タクシーは、まさに規制緩和の精神を体現している。

 本来は行政処分を受けること自体が理不尽なことである。それを甘受された木原社長の「大人の対応」に敬意を払いたいと思う。それは、ますます利用者の支持を高めることになると思われる。

 なお遠賀タクシーについては、ウィキペディアに掲載されているし、この事件の詳細は以下の『西日本新聞』が詳細に報道している。さらにインターネットを通して各種の情報を検索をしていただきたい。http://www.nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/topics/20090417/20090417_0001.shtml

 私が、この遠賀タクシーを教材にとして取り上げた趣旨は、このような革新的なアイデアをゼミ学生に理解して欲しいということであった。それと同時に、遠賀タクシーの木原社長の起業家精神が、ダイエー創業者・流通科学大学初代理事長の中内功氏のそれに共通していることを認識して欲しかったことである。

 ダイエー創業者の故・中内功氏は、パナソニックの創業者・松下幸之助氏に対して「喧嘩」を挑んだことで有名であるが、今の若い世代はそれを知らない。私は、流通科学大学の学生に、自らの大学の創設者が単に「エイライ人」ではなく、革新的な挑戦者または改革者であったことを知って欲しかった。

 流通科学大学の学生になったからには、この中内功氏の革新的な精神を継承してほしい。少なくとも私は中内功氏から、この精神と矜恃を継承したつもりでいる。その認識は私の自己本位の曲解であると思うが、そうであってもよい。

 そのことが、私の発想と行動の「元気」な原動力になっている。中内功氏との出逢いがなければ、おそらく今の私は「平凡」な大学教授であったと思う。そもそも流通科学大学の教員という仕事をしていなかったと思われる。

 最近になって、この中内功氏の精神を受け継ぐ若手経営者が、私の周辺に集まっているような気がする。そういった人々を流通科学大学の学生に紹介することも私の使命である。学生向けの講義の特別講師として世界の金融ファンドについて中内丈慈氏が昨年度に講演してくれたし、それに続いて来月7月には人材育成や中小企業を支援する近藤昇氏、そして学生時代からの起業家として活躍されている曹一道氏が、挑戦的・革新的な経営者として本年度の学生に対して講義していただく予定である。

 既存・規定の秩序や発想を打破する気概のある学生を教育・輩出することが、流通科学大学の建学以来の使命であると思うし、それが中内功氏に対する残された私の役割であると考えている。大学の偏差値は、あくまでも入学時点の話である。少なくとも私のゼミの卒業生は、以上のような気概をもった学生であってほしい。

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