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2009年5月26日 (火)

ベトナム人のカンボジアに対する歴史観:司馬遼太郎の指摘を検証する

 司馬遼太郎『人間の集団について:ベトナムから考える』中公文庫(1996年改版)は今読んでも面白い。

 初版が1974年であるから35年前の内容であるが、少しも古さを感じさせない。同書の最初ではベトナムについて辛口に論評されており、少しばかり反論したくなるのだが、「巨匠の司馬遼太郎を批判するわけにはいかん」と思って自制してしまう。

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 しかし読み進めると、ベトナムに対する司馬氏の愛情・親近感そして優しい眼差しを感じ取ることができる。そして読後は、ますますベトナムを好きになるという結果になる。当初の反論したくなる気持ちも、いつの間にか消散してしまう。

 司馬氏の文章の中に「メコンデルタを、ベトナム人がわずか二百年足らずの昔に軍事占領し、カンボジア人から奪ったというのは、もはや時効である」(233頁)という指摘がある。

Dsc06245_2  先日の月曜日のセミナーに出席のベトナム人にカンボジアのビジネスについて言及し、プノンペン市内の王立博物館に展示されたチャンパ・クメール・モン族の最盛期の領土地図を見せた。現在のベトナム中部までがチャンパ族の領土となっている。

 その領土をベトナム人が侵略したのである。これについてベトナム人の反応は、「そんな昔のことは時効だ」というものであった。司馬氏の指摘は実証された。二百年の歳月が歴史問題の「時効」期間なのかもしれない。

 確かに日本でも、明治維新当時の薩摩藩に対する会津藩の遺恨は百年を経過しても残存していると聞いたことがある。しかし今さら、四百年以上も前の「関ヶ原の戦い」の東西の対立に目くじらを立てる日本人は少数であろう。

 ベトナムの格言にあるように「過去を忘れず、されど怨まず」である。この地図がカンボジアの博物館に展示してあることの意味をベトナム人に考えてもらいたいというのが私のコメントであった。ベトナム人には十分に理解できることであったと思う。

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