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2009年5月22日 (金)

ベトナム・ズン首相の積極的な域内市場開放の姿勢を高く評価するべきである

 ベトナムのズン首相が、日本経済新聞社が主催する「第15回国際交流会議:アジアの未来」に出席するために来日し、21日に都内のホテルで講演した。

 ズン首相は、来日前の4月に中国・広東省や香港を訪問してベトナム投資の促進を訴えている。いわば「トップセールス」で中国からの直接投資を促し、ベトナム経済成長の維持を企図しているとみなされる。

 ズン首相は「金融危機の影響を受けた地域経済の回復へ「アジア諸国間の貿易促進」を唱え、域内の需要が主導する成長路線への転換を主張」した。さらに「国際的に台頭する懸念が出ている保護主義の機運を警戒し「保護主義と閉鎖主義に対抗しなければならない」と言明。効果的な貿易体制構築に向けてアジア太平洋経済協力会議(APEC)やアジア欧州会議(ASEM)などの枠組みでアジア諸国が連携する必要がある」とも語った(『日本経済新聞』2009年5月21日夕刊)。

 ベトナムから見れば、米国を始めとする保護主義や閉鎖主義によってベトナムからの輸出が制限されることが懸念材料である。事実、米国人が好んで食べる川魚キャットフィッシュについて、米国内の漁業関係者はベトナム輸入品を排斥しようとする意向が継続している。ズン首相は、このような動きを牽制する意図があると思われる。

 社会主義を指向するベトナムであるが、現実の問題として自由主義貿易の堅持を主張している。「バイ=アメリカン条項」を主張して保護主義を採用する米国と好対照である。自由主義経済を主張するベトナムと、保護主義・閉鎖主義経済を主張する米国という事実は、世界史的な時代の転換を象徴していると私には思われるのだが、日本のマスコミは注目しないようである。

 先入観と既成観念に囚われていては、現代の大きな変化を把握できない。このような時期が今ではないのだろうか。ズン首相の講演の報道を読んで、このようなことを私は考えた。

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