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2009年4月21日 (火)

ベトナムの内需拡大は不十分?(上):政策批判の作法

 世界同時不況における輸出減少に対応して経済成長を維持するためには、国内市場の拡大を誘導する。日本を含めた各国政府の内需拡大政策は、ベトナムでも同様である。

 しかしながらVietnam Investment Review, No908/March 9-15, 2009, p.1, p.4によれば、内需拡大の政策効果には、しばらく時間がかかるようである。

 統計総局によれば、2009年2月の小売業総売上高は179兆8千億ドン(約103億米ドル)であった。これは2008年2月期の20.6%増加である。同時に2月の消費者物価指数は通年で16.13%の上昇となっている。このことは、小売業総売上高の実質的な成長が約5%であることを示している。このことは、それほど内需拡大が進んでいないことを意味している。

 統計総局の2009年1月のデータでは、この小売業総売上高の実質成長は2008年同期の8.2%の増加であった。成長率が8.2%が5%に下落していることから、2月の消費は鈍化していると指摘されうる。

 旧正月(テト)のための特別な需要が1月にあったと解釈できるけれども、2007年1月に比べて2008年1月は11.7%の増加であったから、2009年1月の8.2%という数値は下降している。

 2008年初頭以来、高いインフレと世界金融危機によって国内消費は下落した。2008年のインフレ率は19.98%であり、1993年以来の高率であった。過去2年に渡ってベトナムの平均所得はインフレのために30%下落し、その結果、国内消費も下落したとみなされる。

 そのために政府は、景気刺激策を導入したが、それは購買力を上昇させるには不十分であるとベトナム経済研究所のティエン常務理事は述べている。(以下、続く)

flairflair: 以上のような政府の経済政策に対する批判が、ベトナム国内で新聞報道されていることが改めて注目される。その民主主義の進展の度合いを示す記事である。一党独裁の政治体制のベトナムでは、新聞(=ジャーナリスト)が「野党」の役割を果たしているとみなされる。
 私見では、こういった政府批判は、事実と論理に基づいていることが許容範囲である。現政府を転覆させることを前提にした批判ではなく、現状分析に基づいた論理的な批判はベトナムで許容されているとみなされる。
 ただし、この事実や論理が様々である。ベトナムに富裕層が存在していることも事実だし、依然として貧困層が存在していることも事実である。この事実から、所得格差という事実が発見できる。では、その格差是正をどうするか。その解答のために多様な論理が存在する。唯一絶対の解答はありえない。しかし、この解答のための探究を通して、最適な解答が発見できる。
 この探究の過程では、演繹的思考と帰納的思考の双方が駆使される。私見では、それを米国や日本のMBA(経営大学院)コースでは「クリティカル・シンキング」と呼んでいる。他方、それを「弁証法」とみなすこともできるであろう。

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