« 職場でも大学でも可視化・数値化は有効な教育手段 | トップページ | 「実学」の探究:「宮本理論」から学ぶ »

2009年4月25日 (土)

ラオスの理論水準を見直した:社会主義と市場経済の問題

 私は、社会主義を指向するベトナムが株式市場を開設することについて、それが社会主義と矛盾しないことを以前に指摘したことがある。その根拠は、株式会社そして株式市場が資金調達のための人類共通の「発明」であり、それは政治体制とは無関係に活用されてよいということである。

 このように考えれば、株式市場の開設が社会主義から資本主義に転向したことを意味しないし、他方、そもそも資本主義に転向していないのだから、野放図な市場運営もありえない。つまり、ベトナムの株式市場を政府が管理することは当然という帰結になる。

 より具体的には、過度なマネーゲームもしくはバブルの発生を政府は抑制するべきであるし、それが長期的には健全な株式市場の発展に貢献するとみなされる。

 2008年前半までは、以上のような政府管理の市場運営は恣意的であり、より完全な自由市場でなければベトナムを信用できないという批判があったかもしれない。しかし今や、市場経済の総本山である米国さらに日本までも政府が公的資金を投入して市場に介入している。ベトナムにおける市場経済の管理を批判することはできない。

 このような社会主義と市場経済の問題がラオスでも議論されている。これを私は意外に思った。その政治的な理論水準はけっして低くない。

 「自給自足生産様式は確実に商品経済へと至り、そして、市場経済へと至る。基本的には、商品経済と市場経済の本質は同じであり、違いは範囲と発展度合いだけである。それは、例えば、資本主義体制の市場経済、または、社会主義体制の市場経済のように、各生産様式が独自の市場経済を有するということではない。なぜなら、市場経済はひとつの生産様式ではなく、経済・社会組織の型で、経済を組織する技術であり、経済を常に効率的で日々発展させる目的で人類が発見した成果だからである」。

flairflair出所:ペーンター=ウィラウォン「政府調整を伴う市場経済メカニズムへの移行」『マルン・マイ』1993年7・8月号、pp.21-26,33。引用:山田紀彦「市場経済移行下のラオス人民革命党支配の正当性」天川直子・山田紀彦編『ラオス 一党支配体制下の市場経済化』アジア経済研究所、2005年、p.45。

 おそらくベトナムでも、さらに中国でも、こういった理論的な議論が存在していると想像しているのだが、未確認である。経済発展や経済制度の研究のみならず、いわゆる社会主義国における証券市場の「リスク管理」にとっても、こういった本質的な問題に目配りが必要であると私は思う。

 

 

|

« 職場でも大学でも可視化・数値化は有効な教育手段 | トップページ | 「実学」の探究:「宮本理論」から学ぶ »